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ごっこ遊びからショートコント修行へ

 先日、音楽随筆集「Rainbow In The Dark」DIO

の中で書いたが、最近息子との遊びで「悟空とベジータごっこ一時間ぶっ通し」といったパターンが多い。しかし冬休み明けの幼稚園での一週間が疲れたのか、金曜の夜は「パパ全部やって!」とこちらに全振りしてきた。ごっこ遊びではなく、一人でショートコントを続けろというのだ。無茶振りされながらもそれなりにやっていたが、やがてネタが尽きた。
「健ちゃん、何か別のお題を出して」
「じゃあ、アイスクリーム屋さんごっこ!」
 よかった、二人でやり取りできる。
「いらっしゃいませー、どんなアイスがいいですか」
「パパ、お客さんやって!」
「そっか、健ちゃんが店員さんか」
「パパがお客さんと店員さん両方!」
 結局一人ショートコントとなる。もうやけくそだ。

 以下一人二役。役柄が変わる度に立ち位置も変わるので忙しい。

「アイス食べたいな。お、新しいアイスクリーム屋さんができてる。入ってみるか。カランコロン」
「いらっしゃいませー。コーンにしますか、カップにしますか?」
「カップで」
「すいませんカップが切れてまして。代わりにバケツになります」
「なんでバケツにアイスを入れるんだよ! じゃあコーンで」
「すいませんコーンも切れてました。剣でいいですか(剣のおもちゃを出して剣先にアイスをぶっ刺し始める)?」
「剣に刺したら食べてる最中に怪我するやろ! もうバケツでええわ」
「すいませんアイスが切れてました。はいどうぞ。バケツいっぱいの白い米です」
「なんでアイスクリーム屋で米出すんだよ!」
「だってバニラアイスって白いじゃないですか。ソフトクリームも。お米も白い。何か間違ってますか? 1500円です」
「何もかも間違ってる! もういい!」

「あーもう何だったんだ今のアイスクリーム屋は。おや、隣にもアイスクリーム屋があるじゃないか。こっちに入ってみよう。カランコロン」
「いらっしゃいませー。いろいろな味がありますよ。チョコ、イチゴ、全部の味が入ったレインボーアイス」
「よかった、まともそうな店だ。全部の味が混ざるとどんな味になるんだろう。レインボーアイスください」
「わかりましたー。レインボー一丁! チョコ、ミント、レモン、メロン、イチゴ……全部混ぜますからねー」
「でも全部の色混ぜたら、レインボーというより、黒に近い、あまりきれいな色じゃなくなるんじゃないかなあ」
「はい出来ました、バケツいっぱいの白い米!」
「なんでだよ! いろいろアイス混ぜてたじゃないか! 結論が隣の店と一緒だよ!」
「最後に混ぜたバニラの白さが強かったんですねー。1800円です」
「バニラを混ぜても白い米にはならない!」

 息子のお題追加により、さらに隣の店は「トレーニングしてレベルが上がるところ」。風呂場では「おじいさんとおばあさんが戦闘力を高めるために悟空に修行を教わる」という劇を演じさせられる。

 という日常。

(了)


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