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ドラゴンボールごっこ詩篇2

 息子によるドラゴンボールごっこ遊び熱は止まず、休日以外はおもちゃを手に取ることも少なくなってきた。100均の剣は時折「未来からきたトランクス」が使用する。

 鳥山明先生の訃報についてはまだ息子には知らせてはいない。元々作者の存在を感じながら遊んでいるわけではなかったし、言ってもうまく伝わらないかもしれない。卒園式が無事終了するまでは心身の調子を崩さないようにという考えもある。

 WEB漫画で「ベジータを好きすぎるフリーザ」の漫画を描いておられた方がいた。ナメック星人の協力を得て、ベジータが自分のことを好きになるように、フリーザはドラゴンボールで願いを叶える話。私は息子との遊びの最中にその話を思い出し、意識的にベジータとフリーザの絡みを増やしたりした。息子との遊びの内容を作品のコメント欄に書き込んだりした。その結果、私と息子とのやり取りが、作中で反映され、デンデをあやす優しいベジータなども描いていただいた。

 その作者の方が、鳥山明先生の訃報を聞き、大きくショックを受け、創作を止められた。自分の描いている物はドラゴンボールに対する冒涜だとも思ってしまったらしい。コメント欄には、作者を励ます言葉、ここまで描いてくれたことに対する感謝の言葉、構想だけ発表された最終回への賛辞などが書き込まれていた。その流れを見て私は涙が出た。

 私自身、昨年は大江健三郎、チバユウスケという、自分に多大なる影響を与えた二人を亡くした。その直後には感傷的な文章を吐き出した。大江健三郎については寿命ということもあり、回復は早かったが、チバユウスケの死は長く引きずっているし、その影はまだある。私にとっては「創作継続=回復」でもあった。先述の漫画作者の方が私と同じとは限らないが、また創作に戻られたら読みに行きたいと思っている。人の人生にそれほどの影響を与える鳥山明先生の偉大さも感じた。

「53万です」

ドラゴンボール学園では
ミスターサタンが先生となり
問題児だらけの生徒に立ち向かう
どのような問題を出しても
フリーザは「53万です」としか答えない

授業参観の日
父であるコルド大王と
兄のクウラが来ているのに緊張したのか
サタンの出したサービス問題
「52万足す1万は?」
という問いに対して
フリーザは自分の前に答えた悟空と同じ
「18です」と答えてしまう
「なんでそこで53万じゃないんだ!」
サタン先生は嘆く

教室の後ろでは
メタルクウラに変身したクウラが
自重に耐えきれず床に沈み込んでいく

※小さな椅子を持ってきた息子が様々な生徒役。演じるキャラが変わると椅子の位置も変わる。息子は悟空を始めとしたかっこよいキャラ系。サタン役の私は、教師役と各ボケキャラ役を行ったり来たり。


「魔人ブウの優しさ」

家族でカレーを食いながら
ドラゴンボール超を見ていると
第六宇宙と第七宇宙の格闘試合の話になっていた
選手の一人として
魔人ブウを誘いに行く悟空たち
渋るブウに対して
「スーパードラゴンボールで願いを叶える権利をあげるよ」
と勝手に提案する悟空
何かとんでもない願いを言い出すのじゃないかと
心配する悟空以外の面々に対して
ブウは
「欲しい物は全部サタンがくれるから
 サタンの欲しい物を願ってくれ」
といったことを言う

ドラゴンボールを読み返したのは
20代半ばだったろうか
子どもの頃はむしろ疎ましく思っていたミスターサタンを
ブウとのやり取りで大好きになった
そんなことを思い出しながら
涙ぐむ私に
子どもたちは気づかずカレーを食べつくしていた


「ブロリーの子ども」

ブロリーの出てくる劇場版を
一度も見たことがないのにも関わらず
ムキムキのブロリーは息子のお気に入りである
ドラゴンボール学園ごっこでは
巨体ゆえに毎日教室のドアを破壊しながら登校してくる
ついには「ブロリーの子ども」という
オリジナルキャラまで考案し始めた
名前の候補を思いついた私が
「コブッロリー」はどうか
いやもうむしろ「ブロッコリー」では
と提案するも一蹴され
「ブロト」に決定する
親と同じ体形のブロトにより
教室はさらに破壊され
サタンは頭をかきむしる
教室の端でヤムチャは爆発している




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