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自作時代小説紹介

自己紹介をいつまでも書けない。
簡単に言えば、「昔々、掌編小説の賞を取ったり、ネットで発表した童話がバズったことのある」素人もの書き、に過ぎない(現在主夫)。

2009年ごろからは、漫画と小説を投稿出来る「新都社」というサイトで、マイペースに小説を投稿している。仕事と育児に忙しく、そういう形でしか創作出来なかった、ということもある。

幻想的な掌編やら、子育てエッセイ的な作品が多いが、今回はその中から時代小説をピックアップして紹介していく。
小・中学生時代にプレイした「信長の野望」の影響なので、あのあたりの人物ばかり取り上げている。

下に行くほど発表年代が古くなる。
どれも大体「最新の史料に基づいて書いた」と大嘘ぶっこいてる。

「音楽小説集」より「Lose Yourself」Eminem
桶狭間の戦いについての話。戦国大名今川義元の嫡男、今川氏真メイン。



 いつの世にもどのようなジャンルにおいても、否応なしに天才は現れる。それまで連綿と続いてきたジャンルそのものをぶっ潰してしまうような、全ての作品を過去のものとしてしまうようなパワーを持った天才が現れてしまう。
 私は歴史の片隅に消え去る側の存在だ。天才によって蹴散らされる塵芥だ。凡将として今川家を衰退させた。長く歌を作り続けながら、際立ったものは残せなかった。
 だが私はそれらのことを誇りに思う。


「音楽小説集」より「Ulysses」Franz Ferdinand
備中高松城攻めを書いた。清水宗治についての話。


 織田軍の中国方面先遣隊隊長である羽柴秀吉は焦り始めていた。攻め手の足を阻む沼城として名高い備中高松城に籠もるのは、毛利家の武将清水宗治率いる五千の軍勢である。対する秀吉軍は三万。大軍に包囲されている状況であるというのに、兵達は混乱も脱出もしていない。城内に潜ませた間者からの報告によれば、城主負担で全兵士の望むサブスクリプションサービスを提供させており、音楽や動画や電子書籍を兵達は大いに楽しんでいるという。籠城戦(ステイホーム)を考慮した戦略といえよう。


「音楽小説集」より「More Than Words」EXTREME
珍しく時代が違う。鴨長明の伝記。
https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=21721&story=107

 その頃音楽はまだ不自由なものであった。師が許可した曲しか、人前での演奏は許されなかった。長明にはそれが納得出来なかった。師が亡くなり、たがの外れた長明は禁忌を犯した。秘曲と呼ばれる、師からの許しを得ていない曲目ばかりを選んでライブステージで披露した。モトリー・クルー「キックスタート・マイ・ハート」、ジューダス・プリースト「ペインキラー」、そしてマキシマムザホルモン「恋のメガラバ」。結果、長明の演奏に熱狂したオーディエンスにより、ステージは崩壊し、多数の負傷者も出た。長明は全ての歌会から追放され、全国のライブハウスを出入り禁止となった。


「音楽小説集」より「Supersonic Generation」布袋寅泰
氷室京介派の斎藤龍興と、布袋寅泰派の織田信長のソリが合わない、という話。


 各地に突出した強者が現れた。大名となった彼らはそれぞれの方法で天下取りへと動いた。この時代を後の世の人々はこう呼んだ。
 群雄割拠の戦国時代(スーパーソニック・ジェネレーション)。


「音楽小説集」より「Bob Dylan」Fall Out Boy
関ヶ原の戦いの勝敗を決定づけた寝返りの首謀者、小早川秀秋(幼名秀俊)についての話。

https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=21721&story=43

 秀俊は齢七歳にして酒の味を覚えた。秀俊の叔父は国で一番の権力者であったが、彼には子がなく、秀俊が後継者の有力候補と目されていた。叔父に取り入る連中が秀俊に何もかもを貢いだ。その中で秀俊は酒に溺れた。世の中の事もろくに知らない七歳の少年が、「酔っ払う」という言葉を覚える前に酔っ払った。酔っ払い続けた。何が正気かなんて知らないまま正気を失い、それがいつしか常体となった。


「音楽小説集」より「Island In The Sun」Weezer
小田原征伐に向かう道中の伊達政宗と片倉景綱とのやり取り。

https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=21721&story=14

 秀吉に誘われての小田原征伐に向かう途中である。この時代にはまだ東北新幹線など開通していないので、寝台列車に分乗しての行軍となった。慣れぬ布団と枕で眠れない政宗は、好きなバンドの動画などを見て暇を潰していたが、Weezerの「Island In The Sun」を久し振りに聴いた所で、幾つかのバージョン違いの同じ曲を聴き続けた。バンドのメンバーが動物達と戯れている動画では、「猿や子グマや、子ライオン? まではまあいいとしよう。このクロヒョウとかって本物なの? 危なくね?」と景綱に見せてみた。
「それ以上喋ると、見えてる方の目玉を抉り取りますよ」
「怖いよ! 独眼竜じゃなくなっちゃうよ! 暗い洞窟内に生息している目の退化した魚じゃないんだから」
 近くで寝ている兵士の舌打ちが聞こえた。政宗は少し涙ぐんだ。


「音楽小説集」より「Snow(Hey Oh)」Red Hot Chili Peppers
雪の峠を超えて派兵するかどうか思い悩む上杉謙信の話。

https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=21721&story=3

 最新の史料により、当時のレッドブル社と上杉謙信の関係が明らかになっている。戦国時代最強の名高い謙信の強さの秘密は、レッドブル社からの無償提供によるレッドブルの常飲及び兵士への支給によるものが大きかったのである。兵士達には戦時に一日一本支給されたが、謙信個人は毎日ロング缶を五本飲んでいたというから、レッドブル社の提供力及びそれを受け止めきれる謙信の肉体も尋常なものではない。


「千文字前後掌編小説集」より「本能寺の変態」
変態が本能寺で本能寺の変に遭う話。懐かしい。


 織田信長が本能寺にて森蘭丸のアナルに男根大の木彫りの仏像を突っ込んでいると、配下の忍から携帯電話に着信があり、明智光秀の謀反を報せてきた。送られてきた動画には「敵は本能寺にAryyyyYYYyyyy!!!」とカメラ目線で叫ぶ光秀の姿が映し出されていた。
 さっそく信長はTwitterに書き込んだよ。
nobunobu 織田信長
みっちゃん謀反。まじヤバイ(>_<)


時代小説はたまに思い出したように書く。とても楽しい。

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