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映画『ロスト・キング 500年越しの運命』を観た

アクを抜いたロキって感じ

『ロスト・キング 500年越しの運命』を観た。

 ツイッターで情報が流れて来て、面白そうなストーリーに楽しみにしていた。先週公開され、タイミングを見つけて鑑賞。劇場に着くと満員のお客さん。平日だからかご年配の方ばかり。コメディ描写で素直に笑われていたり、パンフレットを買う人が多かったり、すごく素敵な空間だった。

 内容もちゃんと面白い! 実話ベースの作品は、脚色を足し過ぎてしまうことも多い(個人的には反対ってわけでも無いけど)。それに対し、本作は事実の肝を上手く抽出し、その上で監督の想いを存分に乗せた快作だった。そもそもこの出来事自体が面白いっつーのもあるけど、そこにここまでのメッセージを込められるのは本当にすごいこと。綿密な取材を重ねて、フィリッパ・ラングレーとリチャード三世をオーバーラップさせる作り方に、製作陣の美徳を感じた。過去は言わずもがな現代でも、病気のみならず性差や人種で、不当な立場に追いやられている人たちが多い。それでも、懸命な取り組みや正当な発信をすることで、誰かの心がきっと動く。よく言う「お天道様は見てくれている」ってこう言うことか〜、と胸に沁み入る内容だった。あと、インタビューで「ユーモアを交えて、多くの人に届けたい」って脚本 & 旦那役のスティーヴ・クーガンが言っていたけど、まさにその思惑通りで、説教臭さが全然感じられなかった。本当に絶妙なバランスで作られている。素晴らしい。それと余談だけど、シェイクスピアファンからしても、「シェイクスピアの書く史実は信用できないよな〜」と思われているらしい。まあ、司馬遼太郎ファンと同じですね。

 何かに夢中になって、自分の生き方を肯定することは非常に意義深いと思える作品でした。これでリチャード三世が、改めてめっちゃくちゃ悪いやつだったらウケる。そう言うこともあるから歴史研究って面白いんだろうね〜!

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