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【オススメ本】言葉と無意識/丸山圭三郎

 1970年代生まれの私はというと、20代の私は1990年代半ば。
 バブルが弾ける直前、全てのモノゴトが浮ついていた時代。
 ポストモダンの洗礼を受けた。
 
 全てが浮かれていた。
 何かに対して真剣になることにすら白けていた。
 流行歌は「意味なんてどこにもない」と歌い、哲学では「パラノからスキゾへ」と言っていた。

 そんな頃に出会ったのが、丸山圭三郎だった。
 ソシュールの「一般言語学講義」から、その思想を発展させ、言葉の恣意性、無根拠さを示し、それを人間の思考にまで発展させ、結局は人間とは、関係性の中ですら存在しない、確かなモノなど無いというまさにポストモダンの主流にまでたどりついた。

 しかしそこから、ならばこの状況を謳歌するのがもっとも人間らしいのではないか、というアクロバティックな着地を決めた。
 それは、当時の私にとっては、救いであった。

 「目的が見えないということは、何にでもなれることだ」

 そのように私は受け取った。
(ここまでで10分)


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