遥香　まーた本、買ったん？
ワイ　うん、本棚も買って空きスペース確保したけん収集の意欲が湧くね
遥　収集って…もう読むの諦めとるやん(笑)
ワ　あーもちろん読むよ💦死ぬまでに！
　このとき遥香はろくに読みもしない本を神保町で開催する「神田古本まつり」に合わせて大量購入する○○が不思議でたまらなかった。普段はコスパだの、投資だの、ケチとは言わないが趣味も含め支出には厳格なのに、本となるといつも買っただけで満足していたからだ。

遥　〇〇は何のために本を買うん？
ワ　そりゃ知的好奇心を刺激するためよ
遥　ふーん
ワ　まるで無駄遣いというような冷たい目線()
遥　そ、そんなことないって💦ただ…
ワ　ただ？
遥　全然読んでるところ見てないよ、ね？
ワ　う、うん…読んでない
遥　よね？
ワ　はい…
遥　ダメとは言わないけど、ちょっともったいなくない？
　お小遣いの範囲内で趣味のものにお金を費やしてる以上、別に干渉する必要はないが、やっぱり金銭感覚でズレがあるのは「なんか嫌だな」と遥香は思い、つい核心を突く質問をしてしまった。

ワ　やっぱそう思うよね？それは自覚してた
遥　ちなみに今日買った本は？
ワ　『空征かば　ビルマ航空戦記』とか他含めて３冊
遥　何それ(笑)まあ、歴史や戦争とかの理解には役立ちそうやね
ワ　うん(笑)
遥　けど、なんかもったいないから、活用してるところ見せてほしいんよね
ワ　そうやな…どうしようはるちゃん
　○○は遥香の指摘が正論であるし、実際、暇な時間に読書するわけでもなく漫然と過ごしていたことに後ろめたさも感じていた。別に注意されたからといって憤慨する気もなかったし、この際だからと思い遥香にアドバイスを求めた。

遥　毎日15分読書時間作るとかどう？電車の中とかスマホばっかり見ずに
ワ　電車の中ではポイ活してるし眠いしなあ～
遥　大事な小遣い稼ぎやもんね、ふふ(笑)
ワ　昼休みも眠いし、休憩のときは頭を働かせたくないし
遥　それは分かる。じゃあ晩ご飯食べたあとしかないね
ワ　資格の勉強せなアカンからなあ～
遥　ぜんぜんしてへんやん。野球見てるやん
ワ　あっ…
遥　野球、ポイ活、居眠り、この時間を減らしたらええやん
ワ　うっ…
遥　もちろん家事は引き続きやってもらうけど、15分はまず頑張ろ？
ワ　うん
遥　一週間続けたらいいことあるかもよ～
ワ　ご、ご褒美!!!
遥　もちろん逆の場合もあるで
ワ　お、お仕置き!!!
遥　リアクションがどっちもキモイ(笑)
ワ　へへ
遥　やっぱり「妻」がビシバシ管理していかなアカンのかな～
ワ　不徳の致すところです
　○○が自主的に努力するのが得意じゃないのは３年の付き合いの中でしっかり理解していた。重たい腰を上げたら取り組むことも遥香はよく分かっていたし、完全に自分と価値観や性格が一致する人がたとえ将来を共にする人でも存在しないということは聡明な遥香にとってよく理解していた。

遥　じゃあしっかり者のはるちゃんがランダムに読んでないのに本棚に収容された「かわいそーな本」を選んであげよう
ワ　頼むよ
遥　まずは新書から始めないとね
ワ　はーい
遥　これは？
ワ　Amazonで買ったきりのやつや
遥　じゃあこれやね。なんか聞いたことある名前
ワ　いやこの『幣原喜重郎』は戦前の幣原外交と呼ばれるほどの国際協調と権益維持の両立に努めた外交官・政治家の軌跡を辿って…
遥　はいはい、ありがたい話は読み終わったらいくらでも聞くから!!!
ワ　まーた、軽くいなされた
遥　ふふ、でも有言実行になるかは○○にかかっとるから頼んだよ
ワ　頑張るよ、へへ

ステマではないです！リアルのワイが積読してるので読みます！(たぶん…)