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[本棚に魚本]魚だって考える (ノンフィクション)

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『魚だって考える キンギョの好奇心、ハゼの空間認知』吉田将之著 (築地書館)

魚の情動に焦点を当てた広島大学の研究室での研究を、こういった研究を物凄く分かりやすく書かれている本。
パラパラとページをめくるとグラフなんかも目に入るので、一瞬怯んでしまったが、いざ読み始めると、素人でも問題無く楽しく読める内容だった!グラフも専門的なものではなく、むしろ一般人がより内容を理解しやすくするために用意されたようなもの。すんごい読みやすい!

面白おかしく書かれている部分もあるが、いかにも笑いを取りにきているような押し付けがましさを感じさせない、クスッと笑える文章なので、あまり読む時の気分を問わないかと思う。

これまで、魚のすみかやエサの取り方、求愛行動などに言及した本やテレビ番組には何度もお目にかかった事があったけれど、魚の心を想像ではなく実験で解き明かす様子なんて見たことが無かったので、この本に書かれている全ての事が私にとっては新鮮だった。
まさか、魚も寂しがったり、酔っ払って気が大きくなったりするなんて。魚の記憶力だって馬鹿にできない!
この本を通して魚たちの心の中を少しだけでも知った事で、魚がより愛おしく感じてしまう。

ただただ実験の内容が分かりやすく書かれているだけでなく、広島大学の准教授である著者と生徒さん達との会話や、実験で使うための魚の捕獲や手作り実験器具の様子も書かれており、(実際にはツライ事もたくさんあるのだろうけど)研究室の楽しい雰囲気が伝わってきて、この研究室に入りたくなる。

この著者は魚の情動についての研究をされているので、魚の脳についても何度も言及されており、人間も含む様々な動物の体重に対する脳重量の割合などのグラフや、魚の種類別の脳の形表した図なども載っている。
そして、それと共にきちんと内容を読むと、脳が大きけりゃ賢いというわけではない事がよく理解できる。
また、同じ魚でも種類によって脳の作りが違い、そこから特技も分かるという事も。

時々、人に対して「お前の頭はニワトリ以下か!」なんて怒って言う人、いるでしょう?
この本を読んでしまうと、うっかり「頭が我々より小さいからと言って、ニワトリが人間以下という前提を作るのはニワトリに失礼かと思います。それとも、脳の特定の部分を比べているのでしょうか?」と、相手の気持ちを逆撫でするような事を言ってしまいそうなので要注意!!

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