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読書記録:ガリ勉くんと裏アカさん 1 散々お世話になっているエロ系裏垢女子の正体がクラスのアイドルだった件 (HJ文庫) 著 鈴木えんぺら

【二人だけの秘密の共有は、分かち合う事で極上の快感となる】


【あらすじ】
彼女のえっちな裏垢を俺だけが知っている――。


成績優秀だが、SNSでのエロ系裏垢漁りが密かな趣味の少年・勉。

ある日、クラスのアイドル・茉莉花を偶然助けて接点を持った彼は、最推しの裏垢女子・RIKAと茉莉花の共通点に気付く。

そして思わずカマをかけてしまったところ……本当に同一人物だと発覚!?

「ふたりだけの秘密にしてくれる? 私たち、ふたりだけの秘密」

利害関係の一致で秘密を共有した二人だが、接していくうちにむっつりスケベなお互いの相性がバッチリだと分かり……?

画面越しだと大胆なのに対面だと健全な純愛ラブコメ、開幕!

Amazon引用
登場人物紹介


ガリ勉が少女の裏の顔を知る事で始まる物語。


秘密の共有は、親睦を深める中で何よりも武器になる。
それは、互いの弱みを握った状態で、利害関係が一致するからこそ、後腐れなく関係を築ける。
欲望に忠実なのは良い事だ。
そこには打算も欺瞞も存在しない。
成績優秀だが、性格に難がある勉は、期せずして最推しの裏垢女子が、茉莉花だと知る。
そこから二人だけの関係が始まる。
彼女を陥れる周囲から茉莉花を守ろうと、不器用に足掻く勉の躍動に徐々に信頼を築いていく。

SNSの世界には時として「裏アカ」という物が存在する。
有名人の裏アカの呟きが流出して、炎上騒ぎを起こすように。
ネットでの発言は、気をつけねばならない。

それでも、自分とはまったく別の人間を装う事で、歯に衣着せぬ、本来のイメージを損なうような発言が出来るのも確かで。
そんな裏アカを所持している者は細心の注意を払わなければならない。
万が一、表に露呈してしまえば、悪い意味でギャップを裏切り、炎上を招いてしまうからだ。

成績優秀、しかし教師とはぶつかり合ってばかりで内申点は低め。
周りからはガリ勉君と呼ばれる勉には裏の顔があった。
それは、SNSでエロ系の裏アカの画像をあさる事。
自分の信念に従って、日々の暇に捜索に明け暮れる中で。
「RIKA」と名乗るカリスマ系裏アカに、彼は眼が離せなかった。
それは、投稿される身体的特徴が、自分のクラスメートで、学校一の美少女である茉莉花と酷似していたから。

その事実が露呈してしまった茉莉花は、当然慌てふためくが。
化粧を教師から咎められていた所をさり気なく救ってくれたり、秘密を知ってしまっても、それを盾にして脅してくる事もない彼の純朴さに、少しずつ惹かれていく。

秘密を共有した彼らは、時として周りに下世話な想像を抱かれるが、勉が敢えて悪役に徹して、その場を収める事で、相互理解がさらに深まっていく。

今まで出会った人達とは何かが違う。
だからこそ、着飾る事のない等身大の心が、どこか落ち着ける。
そんな日々が、着実に茉莉花の中で恋の芽を育てていく。

勉は、学業優秀なのに教師を見下したり、平気で他人の弱みに付け込んだりする、性格に難のある尖った男だ。
それでも、クラスカーストを牽制し合うような、空気を読む事を是とする茉莉花にとっては、自分の欲望と利益を忠実に見せてくれる勉の姿勢が、とても好ましい。

卑屈で周りを見下していた勉自身も、茉莉花とのコミュニケーションによって、相手に対する気遣いを覚えていく。
ひとえに勉の人間不信も、勉強ばかりやってきた思考力による物で。
内面を見つめる事が出来る人間関係は、己の欠点にも気付ける良いきっかけとなる。

茉莉花自身も、勉にならば本来の自分を曝け出す事が出来る。
互いを分かち合う事で生まれる心地よさ。
それでも、まだ恋愛関係には発展しない二人。
それは、裏垢という奇妙な縁の元で成り立つ関係。
それは、秘密の共有によって成立する繋がり。

思春期特有の拗らせ方をしている勉は、茉莉花と過ごす日々の中で、精神的に成長出来るのか?
そして、茉莉花がネットというリスキーな場所で、
裏垢を使ってあられもない姿を曝すのは何故なのか?

何気なく始まって、少しずつ互いの事を理解していく。
真面目だからこそもどかしい、この恋路は何処へ行くのか?
薄氷を渡り歩くような二人の関係はここからどのように昇華されていくのか?

恋人からではなく、まずは友達から関係を始め直した彼らは。

抗い難い、お互いの魅力という名の引力に惹かれていくのだ。





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