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「想像力を働かせて相手の気持ちを考える」力を養う!


鎌田雄一郎(2020)『16歳からのはじめてのゲーム理論』ダイヤモンド社を読了。

将来、子供に読ませたい系の本である。できれば嫁さんにも読んでほしい(何年先かは知らない)。

そのくらい「身近な社会」を良くする本である。

ゲーム理論は、経済学部生であれば必ず耳にする程「ミクロ経済学」における重要分野である。

さて、本書では、ありふれた人間社会と、それをひっそりと覗き見(鳥瞰ならぬ鼠瞰(チュウカン))するネズミの親子の会話を中心に進行する。

人間ドラマとネズミドラマそれ自体も中々に凝っていて面白い。

物語「自体」も楽しみながら知らず知らずのうちに、ゲーム理論の考え方や、経済学の重要な概念を体得できる本である。

ざっくり本書を説明すると「小さな社会」を「客観視すること」を通じて「大きな社会」を考えるという思考プロセスの重要性と意義を我々に教えてくれる本である。

以上の思考プロセスは、一見「大人なら誰でも辿ることのできる」ことだが、どうやら「できるのにできていない」場合が多そうだ。

個人的に私は3.5章(サンテンゴショウ)の「後ろ向き帰納法」にはっとさせられた。まさに、「数学的思考」が世の中で生きる実例をここで学べる。ここで、私は、数列の「一般項」を求めるプロセスを思い出した。やはり数学的思考は、「戦略的思考」として現実に生きる。しかし、「論理の糸が長すぎると」人は必ずしも「合理的」に動かないということも記述されていて、非常に意義深い。

3章と4章は、価格メカニズムと財の同質性、均衡など経済学の核となる概念がさらっと理解できる。

投票についてゲーム理論的に記述された、1章も政治的に重要。

最後の6章は社会的に最重要。「人の行動の裏には理由がある」という一見当たり前の概念を用いて展開された本章は、やはり、教養とはあらゆる立場を想像できることだと改めて実感させられる章になっている。

私も常々使う言葉だが、
「目の前の現実を雑に解釈しない」人こそが「考えられる人」であり、もっと言えば「思いやりのある人」であると思う。

本書は、「目の前の現実を丁寧に解釈しようとする、考える人」に読んだ者を近づけてくれるに違いない。

中学、高校の課題図書としても非常に有用である。

「頭がやわらかい人」にも「頭がかたい人」にも読んでほしい。

読書の秋も終盤ですが『16歳からのはじめてのゲーム理論』で、世の中を「俯瞰」できる力を養いましょう。

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