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美しいから僕らは

ざわついた商店街を歩く。
ヘッドホン装着して顎を尖らせほんの少しだけ早歩きで歩く。所々解れているトートバッグに文具と本を詰め込んで歩く。

又吉直樹の劇場を読んで流れた涙は透明で冷たかった。安達千夏のモルヒネを読んで流れた涙には湯気が上がり、梨木香歩の西の魔女が死んだを読んで流れた涙は渦を巻いていた。

ツインテールが似合う女の子になりたかった。
猫みたいな女の子になりたかった。
真っ白く、かつ透明な女の子になりたかった。 

しっかりとした気持ちでいたい
自ら選んだ人と友達になって
穏やかじゃなくていい毎日は
屋根の色は自分で決める

静かなロックを聴きながらすまし顔で歩く。
ローファーの踵を擦り減らしながら歩く。

彼女の吐く息は震え、彼の吐く息は熱かった。
私の吐く息は濁り、僕の吐く息はアルコールの匂いがした。

苦いヒップホップを聴きながら歩く。
目的も定めず歩く。

君のこと嫌いにならないように頑張ってる
こちらは

ポケットに手を突っ込んで前を睨みつけて歩く。

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ほろ酔い文学

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