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いぬ

ウールのマフラーが肌に刺さって、これが合図だった。こっちにおいでよと叫んだが、だいたい朝も昼も感傷的なんだよ。夜のコンビニには規制が張られていたから一晩中蹲る羽目になった。手探りで見つけた有線イヤホンを解く。耳に刺して生きる頃には朝だった。複数個の理由は無くて、生きる為に電線コイルの入ったイヤホンを刺していた。同意を得ずに息継ぎをする。腹は減らない、満たされない不安で胃は埋まり続ける。

柔らかな毛糸のセーターを着たいが胸の膨らみが煩わしい。華奢かつ猫っ毛の女の子になりたいけれど叶わない。24年が始まったと同時に25年の約束を交わした。

私はSサイズの珈琲で3時間居座る男がどうも好きになれない。適度に無干渉で言葉の持つ重みを大切にする人が好きだ。黒と黄緑色の組み合わせが好きになれない。桃色と青色のコーディネートが好きだ。

おやすみの響きは美しい。さよならの響きは醜い。私達しか分からない美しさと醜さ。私達、肩を寄せ合おう。猫に懐かれる私は犬にはどうだろうか。終電には間に合った。駅から徒歩4分。

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