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ヴィチェンツァと天正少年使節団

建築にあまり興味のない⽅でも、ヴィチェンツァでルネサンスの

建築家パッラーディオが⼿がけた美しい建物をご覧になれば、

きっと⼼を動かされるはず・・・

ヴェネト州ヴィチェンツァには個⼈の名前でその建物が呼ばれる

「スタイル」を⽣み出した建築家パッラーディオの傑作

パッラディアーナ聖堂と、世界最古の屋内劇場オリンピコが

あります。

セルリアーナ式と呼ばれる、ヴェネツィアの建築において

よく⾒掛ける窓や⾨で、アーチと柱を組み合わせた開⼝部、

それを連続させることでこの聖堂の美しさが⼀層際⽴っています。

ルネサンス期前後、約4世紀に渡ってヴィチェンツァは

ヴェネツィア共和国の⽀配下にあり平和を享受し、

経済的繁栄をもたらしました。そしてこのことは⽂化・芸術の発展に

⼤きく貢献することになります。

パッラディアーナ聖堂の脇にアンドレア・パッラーディオの堂々とした像が

ありました。もともとはパドヴァ出⾝のパッラーディオですが、

ヴィチェンツァでの仕事が彼の⼈⽣で重要な位置を占めている証。

パッラーディオ通りをブラブラと歩き、パッラーディオの遺作となった

オリンピコ劇場へも是非足を運んでみましょう。

1585年7⽉、天正少年使節もこの⾨をくぐったのでしょうか。

若い彼らはどんな思いでこの門をくぐったのでしょうね・・・

古代ローマの円形劇場を模して作られたオリンピコ劇場。

遠近法やだまし絵技法を駆使しているので実際よりも劇場が

⼤きく⾒えました。中に⼊った瞬間、⽬がくらんでしまう感じ。

こんなに美しい劇場を⾒るのは初めて︕と⾔っても過⾔ではありません。

屋内劇場としては世界最古のもので、完璧な形で現存するルネサンス期の

劇場としても世界唯⼀です。

今も冷暖房の設備はないので、真夏と真冬は⾒学のみ。

春と秋にだけオペラやコンサートが企画されるようです。

客席も椅⼦はなく、完成してから約500年、ほぼ何も変わっていない

(照明だけ 電気になった)本当に美しい劇場でした。

そういえば1786年9⽉、ゲーテもヴィチェンツァのオリンピコ劇場で

観劇していて、『イタリア紀⾏』でパッラーディオについて

⾔及しています。

真に内⾯的に偉⼤にしてかつ内部 から偉⼤性を発揮した⼈物であったと。

そして「オリンピコ劇場は古代⼈の劇場を⼩規模に実現したもので、

えもいわれぬほど美しい」と。

オリンピコ劇場の待合室(現ミュージアム・ショップ)の壁上⽅に

天正少年使節団を描いたフレスコ画がありました

(⾼い所にあるので写真がブレてしまって、

ハッキリ⾒えないのですが・・・)

前段の右から2, 3, 4番⽬の⼈物が少年達だといわれています。

4⼈ではなく3⼈になっていて、和装ではなく洋装で観劇したことが

分かります(彼らだけ他の⼈と帽⼦も少し違う形のを被っている?)

それにしても今から約500年前に、この同じ場所で、同じ景⾊を⾒た

⽇本⼈がいたことを、このフレスコ画を⾒て強く感じ、なんだか

とても感動してしまいました。

そういえば、余談なのですが、イタリアでは道の名前に

「Via」や「Corso」などがついて「◎◎通り」となるのですが、

ヴィチェンツァでは⽅⾔の「Contra」が使われているのに少々驚きました!


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