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第二次世界大戦時にドイツが英領ジブラルタルを占領していれば?[第3回目]

~ 映画や書籍で考える歴史と時事 ~

前回の記事にて、ドイツ軍の進駐に係るスペインの対応について考察した。スペイン側の協力の可否に関係なく、スペインに進駐したドイツ軍が英領ジブラルタルを攻略した場合、その後の歴史はどのようになっていたのであろうか。

地中海におけるイギリスのシー・パワーが後退するのは明らかであろう。

地中海の出入口がドイツ側に陥落したのであるから、地中海へと艦艇を送り込むためにはスエズ運河を経由せざるをえず、それには日数を要することになる。この場合、地中海における英海軍の拠点はアレキサンドリア(エジプト)になることが予想される。

また史実では、マルタ島の英軍機が独伊の輸送船団を爆撃することで、北アフリカ戦線の独伊軍に補給上のダメージを与えていたのだが、ジブラルタルが陥落していれば、マルタ島そのものが独伊に占領されたいた可能性がある。ジブラルタルに次いでマルタ島もイギリスの手を離れれば、北アフリカ戦線の流れはかなり違った展開となっていたであろう。

史実では北アフリカの戦いは、エルアラメインが独伊の進出限界エリアであったものの、スエズ運河の占領、そして更なる中東進撃が予想される。とはいえ、どこまで進撃が可能なのだろうか。もし、イラクやイランにまでドイツ軍が進出することになれば、イギリスは石油利権を実質上失うことになり、その裏返しとしてドイツは石油を獲得することになる(ドイツ本国までの円滑な輸送が可能か否かは、ここでは度外視する。)

また、スエズを失ったイギリスは、インドやアジアとのつながりを交通・輸送路という観点では、喜望峰経由という時間を要するルートでしか対応できなくなる。経済的損失はいかなるものであろうか。

イギリスは現実の歴史よりも切迫した状況となり、独伊は史実よりも有利な状況となる。

では、ドイツにとって夢のような結末が待ち受けているのかといえば、それは違うと私は考えている(→ 続き


参考までに、以下の書籍を紹介しておきます。

● マルタ島への補給をめぐる戦いを描いた書籍


〇 映画や書籍で考える歴史と時事


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