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逆上がりをもう一度

夜走ると、
ふと公園があって、
鉄棒があった。

なんで今までの人生で思い返すことがなかったのかいうと、
苦い思い出があるからだ。

あれは5歳の僕。
好きだった子がいた。
その娘の前で逆上がりができなくて、
自分のカッコ悪さに泣いた。
ライバルたちはすいすいとできるのに。
なんで親は僕をこんなに太らせたのだろう。
食べさせたのだろう。と結構本気で恨んだ。

だから小学校、中学校、高校、大学、社会人になっても思い出さなかった。
いや振り返ろうとしなかった。

でも、今。
目に入ったのは、
きっと今が塗り替える好機なのだと感じた。 

つまりここ2年ぐらい鍛え続けてきたお前なら、
逆上がりできるって、
神か、何かが示してくれたんだと思う。

そうと決まれば、
視線に入った幸運を信じてリベンジだ。 

あのとき好きな子の前でドヤ顔で逆上がりを決めたアイツにじゃない。
不甲斐なく逃げ続けた自分自身に。

普段入らない暗闇の公園は少し畏まる。
鳥居をくぐったような感覚で入った。
鉄棒を握る。
少し心臓の鼓動が聞こえてくる。
緊張とかしてる時に来るやつだ。
ノーオーディエンスで笑。
ビビるなよ俺。

一息ついて、アラサーの冷静な自分に戻る。

グッと鉄棒を握ったまま、
重力に逆らうようにグルンと回った。
昔はここから逆さになるのが怖くて、
手を離して落っこちたりした。 

でも今は違う。
25年越えて成長した自分は、
一周して足を地につけた。

できたんだ。おれ。
なんか、感慨深かった。

そいやこれ、
嫁さんの「痩せなさい」から始まったんだっけ。 
帰り道にささいな知性を振り絞って、
夜中でもやってるセイユーを見つけた。
赤ワイン買ってありがとうって伝えよう。

んでリベンジ成功したって。
(何言ってんだコイツって顔されました。)

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計画的偶発性理論って
やっぱあるのかなと思います。
とりあえず強くなりたい、
痩せたいって鍛えてたら、
昔のリベンジチャンス来るんだもの。
正に捲土重来でした。
こんな故事成語あっちの世界でも作れたらなぁ。


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