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覚醒された「前世」の生き方

個人事業主=フリーランスと聞くと、

組織の中にいる会社員よりも、自由でいられるイメージが強いはずなのに、私の働き方は、まるで、戦場にいる兵士のようでした。

店を始めた頃の私は、メンタルを保つために、数々の歴史の物語を観るようになりました。今思えば、歴史上の人物の生き方から、何か学びたかったのかもしれません。当時、お金がなさ過ぎて本さえも買えなかったため、無料配信のものを観るようになったのだと思います。

「三国志」「項羽と劉邦」「朱元璋」「呉越」など中国ものばかりでした。

そう、すべて、男性目線でみていました。私は女性なのに、女性を参考にしたことは一度もありません。

権力も何も持たないところから、今の国を良りよくしたいという、希望の光だけを持ち続け、どんなことが起きても心が折れずに前を進む主人公。いつも自分だけを信じて、戦っていく主人公が自分と重なり続けました。

しかし、頂点に立った時、ほとんどの主人公が、誰も信じられないという孤独感に満ちていました。この状態も、まさに、この頃の私自身でした。

そして、もう一つ気が付いたことが、戦い方。

例えば隣の地区へ戦いに出るために、3か月で城を落とすことを目的として遠征に出るならば、その期間の自分たちの食べるもの=食糧を確保して出陣します。もし戦が長引いて、食糧がなくなれば、どんなにいい武器があっても、戦うことはできない。生きるか死ぬか。戦いに決着がつけられないのならば、どこで、潔く負けることを見極めればいいのか。もし、それを見誤ったら、もう引くことすらできないのです。

私は、この食糧が、自分たちの運転資金なのだと思いました。しかし、この頃はすでに、運転資金は尽きており、後に引けない状態でした。そう、借入額が大きすぎて、引けないのです。


もし、続けられなくなったら・・・

そんなことを考えるだけで、ぞっとしました。きっと、自己破産しかないからです。急に、魔が差したようにこういう気分が入り込むときは、とにかく脳裏から消し去る努力をしました。

たくさんのスポーツ選手(男性)のメンタル強化も参考にしていました。

とにかく、引くことが許されない。

ということは、前に進むしかない。

すごいスピードで、めいっぱい動いて、止まることは考えず、ただ目の前の仕事をこなしていきました。

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カフェ業務の他に、お菓子教室もやっていました。

私のお菓子教室(3~4人制)は、一人一台制なので、約4~5時間かかります。週に2回だけの教室も、すぐに、週4ペースになりました。しかし、さらに希望される方を漏らさないために、途中から、一日2クールすることにしたのです。自分の仕事は、どんどん加速していきます。

1クール目は11時頃スタートし、そのレッスンが16時頃終わり、食事も休憩も取らずに、2クール目は18時半スタート。夜の部は23時前に終わり、片付けなどをしていると0時過ぎて、気が付けば、もう朝が来ます。レッスンの合間に、持ち帰り用のショーケースのケーキの仕込みをして・・・というスタイルでした。

少しずつ、自分の中から「楽しみ」というものが削られていくようになり、化粧をするときの自分の顔=表情が別人格のように見えていました。

ある日、いつものように教室の準備をしてるとき、模様替えがしたくなり、いつも自分が立っている場所から立つ位置を変えたくなりました。東向きだったのを、南向きに変えたのです。

そして、いつものように仕事をこなしていましたが、だんだんと「やる気」を失っていく感覚になっていきました。

自分に、問いかけてみました。

「いつまで、このやり方で働くの?」と。すると、答えはいつも同じ。

「この体がつぶれるまで」と。そう言い返す自分がいるのです。


ある女性整体師との出逢い

仕事の量に関しては、これが特別多いとは思っていませんでした。

自分の店なのだから当たり前だという気持ちが強く、自分に厳しいのは、自分にとっては、当たり前のことでした。

座らないのも当たり前、睡眠削るのも当たり前、食事抜くのも当たり前。

すべては、自分の仕事のために。

厳しくしているからこそ、自分が育ち、成長するのだと思っていました。

だから、弱音というものを、言葉で出すことも嫌だし、涙で出すこともありえないことでした。弱音を吐くということは、マイナスだ。この頃の私の受け取り方は、このような考え方でした。


お店を始めて2年が過ぎたころ、お客様が、ある女性整体師さんをカフェに連れてきてくれました。その方と少し話をしていくうちに、整体なんて必要ないと思っていた自分が、受けてみたいという気持ちになりました。

この方の整体法は、少々変わっていて、仙骨に手を当てて悪い部分を探り、気を見ながら進めていくやり方でした。心と身体は一心同体であり、その時に応じて心の整体が必要な人もいれば、身体の整体が必要な人もいる。

私が、真っ先に手を当てられたのは、みぞおちよりも上の胸部でした。急に自分ではないような感情が湧き出てきて、涙が溢れたのでした。そして、教室の模様替えをしたくなった理由がここで明らかになります。

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