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趣味が仕事になるということ。(カフェ奮闘記3)

このお店を始めるまでは、私の趣味は『カフェに行くこと』でした。

地元だけでは満足できず、新しい街を訪れて、そこで新しいカフェを見つける喜び、癒される時間がとても好きだった。

そして、それを仕事にしたいと思い、スタートさせた自分の店。


この仕事を始めてから、数々の雑誌の取材などに応じることもあり、

必ずと言っていいほど問われる、

「趣味は何ですか」「休日はどのように過ごされていますか」

これらの問いに、私の趣味の中から『カフェに行くこと』という答えはなくなってしまっていた。自分で思い通りの店を立ち上げたら、なぜか、他のカフェには行かなくなっていました。

いつも、言葉に詰まり、答えていたのは、

『仕事が趣味です』という言葉のみ。

考えても、思いつかない趣味。

自分のプライベート時間はすべて仕事時間だったので、遊びに行くこともなかったし、遊びに行きたいと思う気持ちすら抹消されていた。

看護師のころは、どんなに仕事が忙しくても、「カフェ巡り」という自分の趣味があるおかげでストレスなく生きてこられたのに。今は、何が趣味なのかさえ、答えられない・・。

そのうち私は、気力も体力も削がれていく感覚になっていきました。


一度きりの、スピリチュアルカウンセラーからのメッセージ

走り続けていたら、もう1年が経っていた。ちょうど、お店の1周年記念をしようかと考えていた頃、昔からお付き合いのあったカフェのオーナーさんから、東京から鑑定する人が来るのだけど、お店観てもらう?とのお誘いが。

せっかくだから、私は観てもらうことにしました。店を良くしたい一心で。この時の私たちは、かなり疲弊していたと思います。

夫婦で、別々に個人鑑定してもらいました。

店のことを聞きたかったのに、言われる数々の言葉は、仕事のことではなく「生き方について」が大半でした。一番重要だったことが、家族とのこと

家族の時間を、儲けるように・・・とのアドバイスをもらったとき、子供の寂しさを知ることとなりました。いつも、自宅で、愛犬と一緒に泣いていたそうです。寂しくて。

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店をするまでは、毎週一緒にドライブに行ったり、毎月旅行に行ったりしていたような、仲良し家族だったので、それができなくなったばかりか、私が家にあまり帰宅できなくなり、話ができなかったことも原因でした。


『ずっと、休んでないのだから、休みなさい。自然に触れ合うように』

このアドバイスに、素直に従うことにしました。

子供の学校を休ませて、私たちは近場へ旅行に行くことにしました。犬も一緒に泊まれる旅館を探し出し、一泊二日の旅。

車での移動なので、時々、川で遊び、ゆっくりと移動しながら。

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旅館での食事は、私たちにとって、久しぶりの贅沢な時間でした。子供は小さな頃から、海鮮系が大好きだったので、コースはそれをメインとしたものにしました。食事をしているとき、子供が私たちの顔を見て、ニヤニヤ笑っているので、尋ねました。

そしたら、こんなことを告げました。

「お父さんと、お母さんが笑ってる姿見るだけで、ぼくは幸せ!」と。

その言葉に、涙が止まらなくなり、そして、この一年間の突っ走ってきた私たちの事を、見ていたのだと思いました。

今でも、この頃の子供のことを思い出すと、胸が痛くなります。

寂しい思いをさせてしまったこと。本当に申し訳なく思うのです。

数年経って、しばらくの間は、この頃のことを子供と何度も会話をしています。そして、愛犬が、家族の一員として、必死で慰めてくれていたのだと思うと、本当に感謝の気持ちが溢れます。

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この時の、旅行での記念撮影です。

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そして、カウンセラーの方から、最後にいただいたメッセージ。

そんなにフランスに行きたければ、行ったほうがいい。そうすれば、いろんなものを吸収することができ、そのすべてがケーキに繋がる・・・と。


私は、この言葉を胸に、『いつか絶対に行くのだ』と心に決めたのです。


              ・・・・つづく(カフェ奮闘記4へ)

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