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祖母の認知症を感じた日

久しぶりに会った祖母。

歳はもう96を迎える。昔は嫌味臭くて、食い意地が張っていてわがままでとにかく苦手だった。

対照的に祖父は面倒見が良くて、ご飯を作ってくれたり、一緒に遊んでくれたり、色んな所に連れて行ってくれた。当然私はおじいちゃんっ子だった。

祖父が亡くなって何年だろうか。祖父は私の誕生日に亡くなった。闘病していたし、日に日に痩せていく祖父を見るのはとてもつらかった。

祖父は次第に認知症になっていき、自分の年齢を30歳ほど若く言っていたが可愛らしかった。

しかし私の事を分からなくなったらどうしよう。孫ってこと忘れられたらどうしよう。そんな気持ちは少しあった。進行する間もなく亡くなった。

祖父は私の誕生日に亡くなった。なので一生忘れることはない命日。

祖母は足が弱ってきてここ数年で介護が必要になった。前回会った時は確か自分の足で歩いてトイレに行っていたはず。

今は自分の足で歩くのはなかなか困難なため、部屋にポータブルトイレを置いて対応。

自分の足で歩いていた頃とは様子が異なった。

『お客さん?』

私の顔を見るなり祖母がそのように口にした。

(で…でたーっ!!誰だか分からんやつー!!)

と内心ショックだったのだが、その後に母が

『あなたの孫よ〜!◯◯ちゃんよ〜』というと

『◯◯ちゃんね』と祖母は私を自分の孫だと認識した。

母に話を聞いたところここ最近どうやら認知症っぽい発言をする様になったとのこと。

いや、事前に教えておいてよ!!と思いつつも、文句も言わずに介護してくれてる母に心からの花束。

翌朝の朝食で祖母と顔を合わせると

『昨日の子は帰った?』

??????

わーぉ振り出しに戻ったぞ〜!!内心パニックになっている私をよそに

母は『なーに言ってんの。◯◯ちゃんしか昨日から居ないわよ』と言った。

祖母『友達が来てたわ〜?』

母・私『……はははは』

なんと返すのが正解なのか分からず、笑って誤魔化してしまった。

【昨日の私は今日の私の友達…】

哲学かよ…

そして会うたびに何を言われるのかドキドキした。

金髪になった私をみて

『帽子を被ってるのね〜^^』

もちろん帽子など被っておらず、認知症のせいなのか目が悪いのか…。

色々話したが明らかに私の事でない事を懐かしそうに話してくる。

支離滅裂でパラレルワールド

話が噛み合わない事が多く、気の強かった祖母がまるで小さな子どもになったような感覚。

やはり自分の足で歩けなくなったことも原因の一つなのかなぁとぼんやり考えてしまった。

人間の体って本当に不思議。

本当に苦手だったけど、祖母には子どもに戻ってもいいから少しでも長生きして欲しいなと思うまでに成長した孫なのですが、成長した今日の私はきっと『明日の私のお友達。』


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