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祝・窪美澄さん直木賞受賞!(毎日読書メモ(370)

窪美澄さん、直木賞受賞おめでとうございます。
デビュー作「ミクマリ」を含む『ふがいない僕は空を見た』(新潮社、現在は新潮文庫)が出たのが2010年で、この作品で2011年に第24回 山本周五郎賞を受賞していることを思うと、2022年の直木賞は遅すぎだろ、と思う。一方で、じゃあ窪さんの代表作って何? まさか『ふがいない僕は空を見た』なの???、と思うと複雑な気持ち。この作品は第8回本屋大賞の第2位にも入っていて(この年の大賞が東川篤哉『謎解きはディナーの後で』だったことを思うと、大賞が窪美澄でもよかったじゃん、と思う)、窪美澄作品が本屋大賞にノミネートされたのは、この作品以外は、第10回の『晴天の迷いクジラ』(新潮社)(第6位だった。大賞は百田尚樹『海賊とよばれた男』)だけで、レベルの高い作品を発表し続けているのに、どうも報われてなかった、という印象がある。

読書記録をあんまり残していない時期に何冊か読んでいて、自分の感想が残っていないのが惜しまれる。『ふがいない僕は空を見た』の読書メモはこんな感じ。

本屋大賞でもツイッター文学賞でも上位にランクインしながら大賞を逃した、秀作。タイトルが覚えにくいのはちょっとディスアドバンテージ? 最初の「ミクマリ」が「女による女のためのR-18文学賞」受賞作だったため、困ってしまう位にエロくて(高校生の娘は恥ずかしがって読み進められなかった)、後半で習作的に周囲の人々の生き方を描いているところまで読めればよかったのに。出産のこと、格差のこと、学力のこと、どのテーマも破綻なく描かれていて、本当にいいものを読んだ、と満足。次作にも期待。(2011年4月の読書メモ)

これ以外に読んだ窪作品は、
『晴天の迷いクジラ』(新潮社、のち新潮文庫):良い本だったという記憶だけが残っている。

『よるのふくらみ』(新潮社、のち新潮文庫):妙に閉じた商店街世界とその中でのいびつな三角関係。息苦しさ。

『じっと手を見る』(幻冬舎、のち幻冬舎文庫):山梨とか介護とか、幾つかのキーワードが強く心に残った本。

『アカガミ』(河出書房新社):ディストピアSF。少子化の末について、垣谷美雨などとは全く違ったアプローチで、すごく切なく描いていた。

『たおやかに輪を描いて』(中央公論新社):自分よりほんの少し上の世代の人の葛藤をリアルに描いている、と思って読んだが、実は上ではなくずばり自分の世代か(窪さんもわたしと同世代だし)。同世代の人の惑いは、他人事として読むと突っ込みどころ満載だが、自分のこととしてイメージすると苦しい。設定にはリアルじゃないところもあるが、苦しみの感覚はリアル。
感想文こちら

と、過去作品の断片的な印象を語っただけになってしまったが、直木賞受賞作『夜に星を放つ』(文藝春秋)も出来るだけ早く読んでみたいと思う。

本当におめでとうございます。これをきっかけに窪作品を手に取る人がもっともっと増えますように。

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