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#35 【本】さよならは小さい声で

丁寧な暮らしや文章が好きだ。

松浦弥太郎さんは、丁寧を綴る代表と言っても過言ではないお方だ。

しかし実は、以前松浦弥太郎さんの本を立ち読みしたときに、最後まで読むことができなかった。
読んでみたら、想像を超えた丁寧だった。丁寧すぎて私の中の"丁寧"を受け入れるキャパが途中でオーバーしてしまったのだ。いわば"丁寧の飽和"だ。エマージェンシー丁寧が起こってしまって、途中で読むのをやめてしまった。

そんなトラウマを抱えていた私だが(大袈裟パラダイス)、この前偶然後輩にオススメしてもらった本がなんと松浦弥太郎さんの本。

これはもう一度弥太郎さんに挑戦するよい機会だ!掛かってこい丁寧!という気持ちで今回「さよならは小さい声で」を読んでみました。


この本は、弥太郎さんが出逢った素敵な人たちを紹介している。

前に立ち読みした本は「こうあるべき」ということが多かったけど、今回読んだ本はひたすら"すてき"を紹介しているものだったので無限に読めた。
2時間で読破だよ。


肉体は老いても、心が若ければ、目は澄んで、きらきらしている。目の輝きは老いを測るバロメーターでもある。

弥太郎さんは、自分の目の輝きを鏡で確認するそうだ。目の輝きを確認したことなんて無かったわ。でも、たしかに、素敵だなあと思う人は瞳が綺麗だし、赤ちゃんや子供の目はキラキラと輝いているイメージがある。カラコンでは決して表すことが出来ない、内側からの瞳の輝きを持った大人になりたいなあ。

「わたしね、この物語みたいに、なんにも起こらない普通の生活というのかしら、そんな生活の中にある小さなしあわせとか、ささやかな喜びとか、なんてことない楽しさとか、そういうのがほんとうに好きなの。」

何かを起こしている人はわかりやすくかっこいいよね。例えば芸能人やYouTuberは、その活動がダイレクトに伝わってくる。成功者の本や話を見ると、人生に起伏があり、どん底から這い上がった、などのいかにもなキャッチーなコピーが沢山並んでいる。そういうのを目にすると、すごい、と思う反面、それが成功!それが正解!と言われている気がして、なんてことないことが余計にちっぽけに見えてしまう時がある。

しかし、なんにも起こらない中の何気ないことにすてきを感じること、それを堂々と好きだと言っているこの弥太郎さんが出逢ったおばあさまのこの言葉。なんとも厚みがあって、なによりあたたかい。この文章でしか知らないお方だが、私はこのおばあさまに会ってみたいし、こういうおばあさまになりたいな。

日常のちいさなしあわせ、ささやかな喜び、なんてことないたのしさを大事に大事にしよう、大事にしていることに誇りを持とう、と思った。それはきっと自分の軸になる。きっとなる。


「値段で迷っているならそしてその使い方にお金が喜んでくれると思うなら、無理してでも買うようにしているわ。もし値段以外で悩んでいて、その使い方でお金が悲しみそうなら絶対に買わない。」

これは最近の私のモットーでもある。
最近GUやUNIQLOのセールを見たりすると、あまりにも安くて、まあまあかわいくて、このワンシーズン着るにはいいかな、と衝動買いしてしまいそうになる。だってニットが990円だよ!?新しい服欲しいよ!?!?そう激しく思うが、きっとそれは大事に着ないしいずれタンスの肥やしへの道を歩ませることになる。

まあまあなものに囲まれている自分より、大好きなものに囲まれている自分のほうが絶対に輝きを放つだろう。クオリティ・オブ・ライフだろう!?

最近だとこの前記事にしたホワイトハイテーブルと、iPadを買って、確信した。自分の周りにお気に入りのものをおくことで、気持ちが全然違う。いつも欲しいと思っているけど、高いからと言って目を背けているもの、意外とちょっと無理すれば買える。そして買ったら世界が広がる。家と自分の時間が格段に好きになる。

自分がどうしてもグッと来るものなら、高くても買う。安いからと言ってまあまあなものを買わない。この2つ、人生の教訓だな。



あ、この人のお話を聞きたい。この人の生活を見てみたい。きっと弥太郎さんは、弥太郎さんだと知らなくて出会ったとしてもそう思わせてくれるお方だと思う。そういう人っているよね。うわ、なんかこの人良い。もっと知りたい。っていう人。

そんな人が紹介する素敵な人は、本当に素敵な人だらけでした。私、丁寧は飽和するけど、素敵は飽和しないみたいだ。

あとこの本を読んでいたら、海外に行ってみたくなった。全然知らない人に声を掛けられたり、掛けたりしてみたい、爽やかな感じで。その服素敵ですね、と言いたい。知らない人と文通をしてみたい。

新しい発見と、自分の感覚の見直しができた。
松浦弥太郎さんの他の本も、また読んでみたいと思った1冊でした。

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