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■大河ドラマ『光る君へ』第16話「華の影」感想―キャッキャウフフなイケメンからしか摂れないビタミン

さて、あっという間に第16話です。気が付けば、物語の3分の1近くが放送されたことになります。月日の流れが速すぎて、ちょっと何を言ってるのか分からない…(白目)

そうして、そろそろ中関白家物語の向こう側の構想を模索せねば…と一方では思い知りつつ、それでも最期の日までは中関白家全力推しを尽くすべきであろうと千々に思い乱れてもいて、なかなかにそわそわしてしまう今日この頃です。

えぇ、どうあろうとも主人公ふたりの物語について書こうという気持ちがないことだけは揺るがないようで♡ そして、今週もそんな通常運転のまま、感想を書き連ねるのですが。

相変わらずの中関白家激推しな今週の感想の前に、先週のおさらいはコチラです。

ではでは、第16話「華の影」の感想に行ってみましょう。


■今日の中関白家

■今日も道隆さまはうるわしいのです

井浦新さんのXよりお借りしました♪

牛車のなかのお姿をご自身でお撮りになっており。しかも、そこからの眺めまで教えてくださるやさしさよ…(感涙)

しかも、皆さま、ご覧になりまして? こちらのご投稿を!

都に蔓延している疫病を
実は道隆なりに心配はしている
しかしヴィランの関白としていなければならないので
早朝こっそり誰にも悟られないように散策してみた

(太字は引用者)

道隆さま、おやさしい…(感涙/1行ぶり2度目)

「ヴィランの関白」とはなかなかなパワーワードですが。
(*ヴィラン=主人公に敵対する者。悪役、悪人。)

ふと思うのは、道隆さまがなさる政(まつりごと)に対して、道長どんは今は嫌悪感を示しています。

でも、結局は道長どんもお兄ちゃんと同じ道を歩むことになるですよね。

ともすれば、兼家パパりんとも同じ轍を踏んでいたりする。一人の帝に二人の后を強引に立たせたり、帝の一声で貴族たちを黙らせたり、帝を引き下ろし奉ったり。しかも、道隆兄ぃを「前例」として使って、それらを行うことさえある。

もちろん、道長どんの政と父、兄の政とは異なるところも多くありましょうが。それでも、同じ穴のムジナ感はじんわりとあるわけです。

そう考えると、現在「ヴィランの関白」として道隆さまが君臨すればするほど、のちの道長どんの現在との落差が際立つのかなぁと思ったりもするのです。

だからこそ、道隆さまは本当はおやさしいのに、わざわざ「ヴィランの関白」を演じてしまう……なんてことは私の妄想でしょうが(笑)

それにしても、道隆さまが道長どんに上から凄む場面。

これまでの、やわらかなお兄ちゃんっぷりはどこぞへ消えた?というほどの迫力で。超目力というか、目線で射る気満々というか、圧が画面越しにも伝わるというか。兎にも角にも、めちゃくちゃドキドキしちゃいました…

■忍び寄る病の影

そうして、政治の場で「俺に逆らおうなんて、誰も考えてないよな?」という独裁者っぷりを遺憾なく発揮する道隆さま。それは、ご自身の体調の悪化と比例するかのように肥大していく焦りにも見えるのでした。

事実、お水をひっきりなしに飲んでいらっしゃったり(糖尿病はこの時代「飲水病」とも言われました)、あるいは、既に目にも病状が出ているのか、陽射しに対してひどく眩し気な仕草をなさったり。

…なんかもう、これでもかというくらい、全力であちこちにフラグを立てまくっていらっしゃいます(号泣)

しかも、第16話は994年のお話。えぇ、もう近い未来を見据えると、全私が号泣する準備は万端です。

・ ・ ・

以前、書いたことがありますが、道隆さまは兼家パパりん花山天皇を下ろし奉った事変以降にようやく朝議の場に参加しました。それまでは、兼家パパりんが雌伏することを余儀なくされていたこともあり、その嫡男である道隆さまの昇進は遅々として進まなかったのです。

事変が成り、兼家パパりんは一夜にして摂政の座に就き、子息たちの官職をずずいっと一本釣りの要領で引き上げました。そうして、それはそれで貴族たちの反感を買いまくったわけですが。

一方で、その貴族たちは、兼家パパりんの政治力だったり、胆力だったりを長い付き合いのなかで知っていたと思うのです。あるいは、兼家パパりんの為政者としての実力さえも。

ですから、彼の所業を認めざるを得ないと、納得にも近いような心持ちを持っていたのではないかと推測できます。

だから、皆追従した。

でも、道隆さまは。

上にも書いたように、兼家パパりんの後ろ盾があってようやく官職を得た、親の七光りを全力で発光させたような昇進の仕方でした。つまり、貴族たちから見れば「何の実績もない、ぺーぺーの兄ちゃんが何を言ってやがる」的な見方もどこかにあったように思うのです。

しかも、道隆さまが摂政になられてから、世情は悪化の一途をたどり、内裏の放火だって止まらない

ロバート実資さまでなくとも、「あいつ、自分たちの出世のことしか興味ないじゃん。政をしようなんて気、これっぽっちもないじゃん」という反感が朝廷に蔓延するのも想像に難くないわけです。

そう考えると。

今の道隆さまの所業は、政治家としての兼家パパりんの「一部」を模倣し、先鋭化しているだけであり。しかも、そのことに道隆さまご自身がお気づきになっていない状態であって。

そんな、ぎりぎりで生きていたいからって、思い切りぶち破って手に入れたずんどこなリアルを「あの」伊周さまが背負いきれるはずもなく。そりゃ、「中関白家」などという、ある種不名誉な名前を後世で付けられてしまうよねと、遠い目をしてしまうわけです。

*「中関白家」とは、兼家と道長の間の繋ぎとしてあった関白家、みたいな意味です。「中先代の乱」の「中」と同じですね。

もう少し時間があれば。あるいは、敦康親王(定子さま所生の一条天皇第一皇子)が生まれるとき(999年)に道隆さまがご存命だったら。と想像することは止められませんが…すでに第17話の予告で、道隆さまが倒れていらっしゃいますし(号泣)

おそらく、決戦は第18話。涙をぬぐうバスタオルを用意して、そのときを粛々と待ちたいと思います。

■うるわし男子列伝

まさかのレギュラー化コーナー「うるわし男子列伝」(笑)いや、自分でもびっくりです…正気か、自分?

■キャッキャウフフな公任さま

あの雪遊びの場面。

実は、F3のキャッキャウフフな戯れの場面を切り抜き動画であげていらっしゃる方がいて、たまたま見つけた私はそれを見ていたのですが。

もうね、ずっと見ていられます

ほんとにずっと見ていられる。
一生見ていられる。
むしろ、ずっと見させてください。

パトラッシュ、ここは極楽なの?」と、西洋なのかアジアなのか分からない世界観で目をこしこしこすっちゃう動画に、こちらまでほんわかとした気持ちに。

いやぁ、かわいい。公任さまかわいい。イケメンなのにかわいい。イケメンがかわいらしさで刺しに来てる(え)

あの、斉信さまのお顔に雪をどんっとぶつけて、「な、なにを?」と言われたあとの「ん?」なキョト顔。めちゃくちゃかわいらしいです…(そして、無事に昇天)

■畏き帝王であろうとする少年

このときまだ15歳の一条天皇。えぇ、イケメンとして完成されておりますが、思春期真っ盛りな正真正銘15歳です。

…が、おそらく思春期とか、反抗期とか、そういったものは許されないまま、幼い頃から「畏き帝」であることを強いられた少年なのでしょう。

でも、彼はそれに全力で応えるように学びます。『貞観政要』はじめ、漢籍にも通じ、漢詩や音曲などの文化面でも完全無欠な英雄であることを周りから求められ、またそうであるように己を律していった一条天皇。

おそらく、彼が年相応の少年、ただ一人の「懐仁(やすひと)」でいられるのは愛妻定子さまの前でだけ、だったのでしょう。そう思うと、あの雪の場面での無邪気な姿がとてもとてもかわいらしく、また、いとおしく思えます。

その一方で、一条天皇は誰の言葉もすでに届かなくなっている祖父道隆に意見しようと試みます

位階の秩序で言えば、道隆さまの上位にいるのは、もう詮子さま(東三条院)と一条天皇のお二人しかいません。それも、詮子さまは道隆さまの妹であり、一条天皇も道隆さまの孫。だから、実は切り札としての弱さは正直否めません。

それでも、自分は天皇だから。世を照らす帝であり、民のために世を良くすることが自分の務めなのだからと、道隆さまに意見をするのです。

あのときの、少し怯えたような顔で、それでも凛とまっすぐに道隆さまを見据え意見を述べる一条天皇のお姿はほんとうにすばらしいものであると…自分の地位の後ろ盾になっている人物に意見することの怖さも十分にご承知であったでしょうに…それでも憂いをきちんと伝える率直さは、一条天皇がのちの世で賢帝と目される一歩であったろうと思うのです。

■まとめにかえて―まさかのナレで(泣)

さきほど上にさらりと書きましたが、991年に詮子さまが史上初の女院号を与えられます。以後、「東三条院」と称されます。二人目は、話題の彰子さまですね。…え、「あきこ」縛り…?(違います)

これには、一条帝の父である円融院がなくなったことも影響しています。円融院、まさかのナレでの崩御宣告でしたが(泣)、、、

このとき、円融院の前の天皇である「冷泉院」はまだご存命です。しかも、冷泉院の息子である花山院も全然元気なやんちゃ盛り。つまり、円融院の崩御によって、円融院から続く皇統の基盤が少々弱まってしまったのですね。

しかも、このときの皇太子は冷泉院と超子(兼家長女)の息子である「居貞親王」です。つまり、一条天皇に何かあれば冷泉院の側に皇統の嫡流が移ってしまう可能性があったのです。

そのため、通常は退位した天皇にのみ贈られていた「院号」を一条天皇の母である詮子に与えることで、基盤の弱体化を防ごうとしたのでした。

ともあれ、ワタクシ、ひそかに円融帝のファンでもありましたので、ナレでの宣告は(分かっていたとはいえ)ちょっと悲しかった……

・ ・ ・

あれ、、、今回もフツーに4000字超えてる(滝汗)しかも、ガチで主人公が出てきてないのに…うむ、そういうこともある。

というわけで。

どんなわけだか分かりませんが。第17話、18話あたりは私の情緒はおそらくジェットコースターです。でも、ここまでがっつり中関白家にフォーカスして物語を追いかけた人もいなかろうと思いますので、兎にも角にも最後の最期まで「中関白家激推し」を貫きたいと思います。

次のお話もみなさまとご一緒に楽しめたら、嬉しいです。


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