おっさんずラブから考えた恋と愛の話

みなさん、おっさんずラブは見ましたか?
私は先日その最終話によせて感想を書いたのですが(https://note.mu/eruru/n/n985c99932e89)
そのとき自分で書いて、もっと深く掘りたいと思ったフレーズがあったので、今日はそれについて深く考察してみようと思います。

気になったのはおっさんずラブの感想に書いたこれ。

「今、一緒にいて楽」が信頼・友情だとしたら、恋は「ずっとずっと一緒にいてほしい」と思うことだから。

書いているときはストンときて、ああ、そういうことだったんだ、なんて思いながら書いていたんだけれど。

私は自分が書いたnoteを何度も読み直すタイプで、今回もその例に漏れず読んでいたら笑、この言葉の裏にはもっと深い意味がある気がしてきて。

何が気になったのか早く言えよって感じですね。
前置き長くてすみません。

言ってしまえば

「恋って時間的拘束を伴う欲求なんじゃないか」

ってことです。少なくともおっさんずラブにおいてはそう捉えられていたように思います。

ここでの「恋」は思想的なものを指しています。性的・肉体的欲求は一旦抜きにして論議します、悪しからず。

感想に書いたときは、単に友情との対比がはっきりわかるようにしようと思ってこういう表現にしたんですけど、
でもあの言葉を踏まえて友情と恋の違いってなんなのか?って言ったら「今」だけじゃなく「未来」を望んでいるということなわけで。

考えてみたらそうかもしれない。

恋をしている相手に対して

「ずっと一緒にいたい」と思うのも、

今目の前で一緒にいるのに、“他の人の事が気になっていた時があった”というだけでやきもちを焼いてしまうのも

「過去も未来も私と一緒にいて」

という思いの現れだから。

そしてその思いこそがまさしく「恋」なのだと思う。

「好きな人は今頃何をしているのだろうか」
「離れる未来なんて考えられない」
「過去の恋人にちょっとやきもち妬いちゃう」
「もっと早く出会っていたかった」
「死ぬまで添い遂げます」

これらは皆、一緒にいる時間以外を気にしているという点で、時間的広がりを持って相手を拘束したいという欲求だと言えます。

時々、「今あなたが見ているのが私であればそれでいい」「あなたの過去なんて知らなくていい」という恋愛もあるけど、
あの類で本当に「今」だけで良かった例を私は知らない。

本当に過去や未来への欲求がないならそもそも言わないだろうし。

彼らは、好きな人の過去も未来も喉から手が出るほど欲しいのに、
過去や未来も求めることは相手を傷つけることになると知って
自分の思いに蓋をしているのだと思います。

でもそれだって蓋をすべき「思い」があるわけで。

「未来や過去のことなんて考えたこともないけど好き」というのはもはや恋ではないような気がする。

そこでここでは「恋とは時間的拘束を伴った欲求」だとします。

ではここで「時間」を恋の指標として据えた時、直行するのは何だろう。

「時間」の対義語は「空間」であり、「恋」との差が論じられるのは「愛」です。

よって以下の仮説を立てる事ができます。

「愛とは空間的広がりを持つ感情である」

これも一理あると言えそう。

特に推しに対する感情に多いかもしれませんが

「あなたの存在丸ごとが好き!あなたが存在している世界が好き!あなたのいるこの空間がもう好き!」

というのは空間的広がりを持った「愛」です。

あるいは赤ちゃんに対する母親の気持ちのようなものかもしれない。

赤ちゃん自体はもちろん、赤ちゃんのいる空間まで愛おしくて仕方なくなってくる。

「今目の前にいるあなたを、あなたに関わる全てを、あなたのいる世界を守りたい」

というのは、紛れもなく究極の愛の形なのではないかと思うのです。

ここでキーとなるのは、「今目の前にいるあなた」というところ。
愛だけなら、いない時まで相手を追い求めたりしないのです。


つまり、
恋は時間的拘束を伴った欲求、愛は空間的広がりを持った感情
といえるのではないでしょうか。

これが、「恋であって愛ではない」「愛であって恋ではない」というものの正体でもあると思います。

「この人のここが好き!そこがなくなったら私の好きなあなたじゃない!」とすぐ言えてしまうのは、好きなところが限定されている(空間的広がりの欠如)からで、それは恋であったとしても本気の愛ではない。

「この先ずっと好きかなんてわかんないよ」「今一緒にいて楽だけどこれから先一緒にいたいかっていうとそれはまた別」というのは今のことしか思いがない(時間的広がりの欠如)から、愛であったとしても本気の恋ではない。

この、愛であって恋じゃなかったのが部長に対するはるたんの思いですね。(突如おっさんずラブに戻るシステム)

そして、「あなたの全てを愛していて、これからもずっと一緒いたい」というのが「恋愛」感情なんじゃないのかなあと思います。程度の差はあれど。
これがはるたんのプロポーズですね。

はるたん…。

「愛される」という事が「存在ごと、空間ごと認められる」ことで、
「恋をされる」事が「過去や未来も隣にいたいと思われる」事ならば、

「愛されやすい人」っていうのは「突出した長所があるというよりは総合的に魅力のある人」で、
「恋をされやすい人」というのは「過去や未来をちらつかせるのが上手い人」なのかもしれませんね。



恋とか愛とかは人によって何通りもの形がありそれを簡単に言葉なんかで定義してはいけないのかもしれないけど、
私がこのドラマを見ていてぐるぐると考えていたのはこういうことでした。

しかし長いな、これ。おっさんずラブでここまで考えるとは思わなかった。

あくまで私の思うままに書いたものなので論理的には筋が通ってないかもしれませんがご容赦ください。
例外だってたくさんあると思いますが、そこは一つの仮説として。

あなたの大切な人のことを考えるちょっとしたきっかけになっていたらこんなに嬉しいことはないです。

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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