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求職者は求人を見ているようで見ていない。だから、注力すべき項目がある。

求人を書く側としては、きちんと隅々まで読んで企業や仕事を理解してほしいと思うもの。しかし、残念なお知らせです。求職者のほとんどは求人を斜め読みしています。

採用担当や求人ライターからすると、非常に悲しい事実ですが、これが真実です。だからこそ、私はつねに「分かりやすさ」を重視しましょうと企業にお伝えしています。斜め読みでも内容を理解できるよう中高生でも分かる表現・内容にし、見出しなどで目を引く工夫が必要だからです。

では求職者は斜め読みしながらも、どの項目に注目しているのか。それは「仕事内容」「応募資格」「給与」の3つです。その3つ以外は見ていないと言っても過言ではありません。

この傾向は経験者であればあるほど顕著です。もちろん、人によっては福利厚生が大切という人もいます。しかし、多くの場合、福利厚生は足切りラインであって入社の決め手にはなりません。(つまり、求人を検索する際の要素くらいだということ)

求職者は(1)今の給与より上か、または自分の納得できる給与か、(2)仕事に面白みはあるか、自分ができる仕事か、(3)自分は対象になっているかを見ます。

求職者が求人を探す流れは以下のとおりです。

  1. 勤務地、残業時間などの働きやすさ、給与で検索

  2. 出てきた求人の中から自分にとってやりがいのある、しかもできそうな仕事かをチェック

  3. 自分のスキル・経験で応募可能か

勤務地・働きやすさ・給与が悪かったら歯牙にもかけられないじゃんという恨み節が聞こえてきそうですが。ただ給与が良ければ、ほかが悪くてもある程度リカバリーできます。給与が悪いと検索にヒットされません。その求人はないものと同じです。この点はGoogle検索と同じ論理です。

しかし、給与がいいから応募するわけではありません。さらに選別され、どんどんふるいに掛けられていきます。

運良く残っても「仕事は面白いか、自分にできる仕事か」が見られます。特に経験者の場合、仕事に見合った給与かも考慮されます。だから、市場の相場感が大切になるのです。

採用最難関の一つ、ITエンジニアはもっと過酷です。給与は前職よりも上は当たり前。スキルによっては年収ベースで100万円以上も上げないと見向きもされないことも。さらに働きやすさも当然のように要求されます。

そこで初めて「御社の仕事内容は?」となります。若手であるほど将来性のある仕事がしたく、ベテランであるほど自分のスキルを活かせる仕事を求める傾向です。

一定以上の経験・スキルをもったエンジニアは、ここまで満たしてようやく応募してくれます。転職メディアも人材紹介も求人を出せば応募されるのは5年以上も前に終わりました。

だからこそ、経験者を採用したい場合は求職者がいくらもらえそうなのか、給与例を明示する。できれば諸手当・賞与の内訳まで記載し、求職者がある程度、想定できるようしたほうがよいです。

また仕事内容も何をするのか、何を期待しているのか、どういうキャリアパス(キャリアアップ)が可能なのか、入社したあとの働き方がイメージできることが大切です。

こういう仕事だから求める経験・スキルにこういうものが必要と、妥当性が必要になります。たとえば仕事内容はテスト業務なのに、応募資格はプログラミング実務3年以上、設計以上の経験があり、DevOps体制での開発経験といわれたらどうでしょうか。

高校野球の試合に大谷選手を呼ぶようなもの。明らかにオーバースペックです。ここまで極端でなくとも、仕事と求めるスキルがチグハグな募集をかなり見掛けます。

求めるターゲットはおろか応募そのものがないことがほとんどです。なぜなら経験者ほど仕事と応募資格のチグハグさに気づき、「テストと言いながら何をやらされるんだ?」と不審・不安になるからです。

「仕事内容」「給与」「応募資格」を詳細に書くだけでなく、内容や条件が妥当かも考えなければなりません。これも経験者であるほど妥当性を考慮します。採用において市況感が大切になるのはこのためです。

ここまでをまとめると。

  1. 求人で注力するのは「仕事内容」「給与」「応募資格」

  2. この3項目は詳細かつ分かりやすく記載する

  3. 妥当性のある内容にする

ここを改善するだけで、応募効果は大きく変わります。

押さえるべきポイントを知っているだけで、採用効果は変えられます。求職者が重要だと思うポイントを理解し、必要な情報を正しく提供することが大切です。ぜひ参考にしてください。

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