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山桜桃 えみ
2020年10月10日 18:30
1本をさして1本を手に持ち きみを迎えに雨降る駅へ今頃は横浜のあたりだろうか きみが電車に忘れた傘は「叱らないよ ちゃんと反省してるから」母のことばをふと思い出すねえ、そんな落ち込まなくて大丈夫 また同じ傘買ってあげるね週末は2人で買い物に行こう 来週きみが濡れないように・・・私の実家は教育熱心な家庭でしたが、成績が思うように振るわなかったとき、母は決して私を叱りません
2020年1月10日 21:31
上質な嘘をまとった姫君は振り返らずに駆け去っていく。優秀な魔法使いがしつらえた靴は彼女にジャストフィットで、あの晩に脱げようはずもなかったが、王子はそれに気づかなかった。選ばれる者は待つふりをしながら、テーブル上の選択カードを巧妙に、かつ着実に切っていた。嘘と駆け引きは紙一重だ。もし今夜、魔法使いに出会うのがあの子じゃなくて私だったら?姫君を追って主賓が出て行った舞踏会では、取り残された姫
2019年12月8日 22:00
聖なる夜に12月 どこか浮き足立つ街に無垢なあなたと溶け込んでいく昼下がり小さな路地の先にある茶色いドアを押し開けてみた 窓際に並ぶ木箱を開けたとき爪弾かれた音の粒子が結ばれて いつかの冬に君とみた映画のエンドロールをなぞる「意味があることだけを成す人生は味気ないよ」と笑った君の横顔が"救済"の意味をもつことは 僕とサンタだけの秘密だ静寂が夜といっしょに訪れて 明日をたのしみに
2019年11月1日 21:45
うそだってことは互いにわかってた。それでも笑顔でハグをし合った。触れない手、合わない視線、寝るときは背中合わせで「ねえ、こんなのは違う」って告げる勇気も持てなくて、結局私は弱いまんまだ。「鳥たちが一斉に鳴きはじめたら夕立がくる合図だよ」ってベランダで洗濯物を取り込んだあなたの顔も思い出せない。不確かな記憶をさぐってみたけれど、あなたに触れた指の先までつめたくてまるで作り話みたい。セピ