榎木(えのき)ともひで

商業造形家。美少女、ロボット、ヒーローなどのキャラクター全般。スタティックな彫像、可動…

榎木(えのき)ともひで

商業造形家。美少女、ロボット、ヒーローなどのキャラクター全般。スタティックな彫像、可動アクションフィギュア、小型ジオラマ(ヴィネット)まで。なんでも作るオールラウンダー。 2023年、造形家生活25周年を自分で勝手に記念して、これまでの作品のポートフォリオを作ります。

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ようこそ、「フィギュアの技法」に

はじめに ここは、商業フィギュア造形家(俗に原型師などと呼ばれる)榎木ともひでのこれまでの作品紹介と、それらの作品の技術的なテーマをまとめておくためのページである。他の造形家があまり扱わない話も多いと思うので、ぜひゆっくりご覧になっていただきたい。 タイトルについて 今、最も夢中になって観ている仏のミステリドラマ『アストリッドとラファエル』に上記のような台詞が出てくる。バッハの音楽がいかに精緻に組み立てられているか、それはパズルに例えられるようだ・・・という、亡き父の

    • ワンフェス2024冬 榎木ともひでブースまとめ

      2024年2月11日に開催されたワンダーフェステバルに榎木ともひでは「eyewater」という屋号で出店しています。 初出店は1998年夏。今回で26年目になります。 今回の出店作品をまとめて紹介します。 今回のメインは「富井アンナ」全身バージョン 「富井アンナ」全身バージョンとは 商品説明より抜粋 旧Twitterで話題になったあの 「二次元的骨格標本少女 富井アンナ」を全身バージョンにして3Dプリント出力品でキット化。 各パーツを色ごとに分割カラー出力すること

      • 【点睛開眼/プレリュード】二次元美少女の瞳

        新しいカテゴリのnoteを始めたいと思います。題して【点睛開眼】。「画竜点睛」と同じ語源、意味を持つ言葉のようです。 このカテゴリでは、眼の造形表現ーー特に「二次元美少女の眼の立体化」について扱いたいと思います。 これは、アニメ美少女フィギュア造形家でもある僕の、長年の最重要テーマでもあります。 二次元美少女の異常性 日本の漫画、アニメの、二次元美少女の顔面には、リアルな人間とは明らかに異なる法則や矛盾がお約束として存在していることは、それらに一度でも触れたことがある皆

        • 【ヴィネットの魔法】浮揚術(3)

          浮揚術の実例として、浮かせる技法オンパレードともいえる、ポケモンフィギュアを見ながら解説していきましょう。 僕が手掛けるポケモンは、トミーから『食玩によるゲームの駒』として発売されたものが最初でした。もちろん、ポケモンは当時から山ほどグッズやフィギュアの類が発売されていましたから、それらとは全く違うポーズや能力表現、生き生きした活躍を産み出すのが造形屋としての矜持だと考え、「誰も見たこと無いポケモン立体」であることを心がけてデザインし、造形してきました。 その後も、(株)

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        ようこそ、「フィギュアの技法」に

          拙作漫画『ホビロビ』の作品解説再録(2)

          本編の始まり 榎木唯一の発売された漫画作品『ホビロビ』の作品解説の再録の続きです。 漫画の成り立ちや、榎木の(客観的な)立ち位置をお読みいただいたので、ここからは漫画の「作品解説」そのものになっていきます。 もちろん漫画を読んでいただければ、倍楽しいので、ぜひw。 作品解説 3.第一部前半【いきあたりばったり編】 誕生とともに「萌え」の呪いがかかったヒロイン二人・・・。 フィギュア=(イコール)萌えキャラの立体化・・・という「新常識」に対する違和感はたしかにありまし

          拙作漫画『ホビロビ』の作品解説再録(2)

          【ヴィネットの魔法】浮揚術(2)

          榎木の考える「浮かせる基本」については前回述べましたので、今回はこれまで作ってきたヴィネットで、その考えをどう実践しているかを見ていきます。基本に忠実なものから、かなりの応用編まで、25年間で、山ほど浮かせてきました。 ◆浮揚最新作アオサギ男 これはできたてホヤホヤです。前回「ヴィネットの魔法・浮揚術1」をポストした後、「よりによってあのキャラを選ぶのは安易すぎだろ」と突っ込まれて、粘土で数日で作ってみたアオサギ男です。映画は、ご存知のように資料が十分には出回ってないので

          【ヴィネットの魔法】浮揚術(2)

          拙作漫画『ホビロビ』の作品解説再録(1)

          ご存知ですか?榎木ともひで唯一の漫画作品を プロフィールには、もともと漫画家を目指していたと書かれていますが、実はプロ漫画家デビューをしているのです!しかも比較的近年です。 それが『ホビロビ』(2019年トイズプレス刊)。薄い本ですが、同人誌ではありません。ちゃんとアマゾンでも販売されてます。買ってくれた人には、ワンフェスなどで見かけたら、言ってくれればサインでもなんでもしますので、どーぞよろしく。 「ホビロビ」は各模型誌の海洋堂広告ページの一角で、2002年6月号から

          拙作漫画『ホビロビ』の作品解説再録(1)

          【ヴィネットの魔法】浮揚術(1)

          ヴィネットは榎木の作品群を支える大きなテーマのひとつです。長く熱心にやってきた割には、ユーザーの評価も反応も薄く、理解されているとは言い難いのは残念至極です。【ヴィネットの魔法】カテゴリでは、この表現に欠かせない技法や考え方を示していきます。 ヴィネットとは 小型のジオラマというのは定義としては正しいのかもしれません。しかし、ジオラマのことを「土の地面があり木が植わった飾り台があれば一丁上がり」ぐらいに考えている人がほとんどの現状では、誤解を生む表現だともいえます。 僕に

          【ヴィネットの魔法】浮揚術(1)

          【不可能立体】漫画的不可能図形「スネ夫ヘアー」

          ●漫画的不可能図形 いわゆる不可能図形といわれる、ペンローズの三角形の立体化については、以前に別記事にて書きました。今回は漫画やアニメ的な表現としてお約束的に許容されている「漫画的不可能図形」への挑戦です。 漫画やアニメなどのキャラクターには、作画時に作者の都合のいいデフォルメが施されることがあります。それが「不可能図形」のように見えるのです。微細なものから大胆なものまでいろいろありますが、多くの人に共有されているそれとして「不思議な髪型」があります。 よく言われるのが、

          【不可能立体】漫画的不可能図形「スネ夫ヘアー」

          【不可能立体】ペンローズの三角形の立体化

          ●不可能図形・不可能立体 こちらは2022年5月にTwitterに投稿したものです。 いわゆる不可能図形といわれる、「ペンローズの三角形」。その不可能を現実にする・・という実験造形です。 二次元で表現できても、三次元では実際にはありえないだろう図形を、どう立体で成立させるか・・・これは矛盾だらけの二次元の漫画・アニメキャラを、造形するときに、明確に意識していなくても、誰もが脳内で様々な変換を行うのと通じているのだと思います。 もちろん、「不可能」図形ですから、そこに

          【不可能立体】ペンローズの三角形の立体化

          陶芸の森陶芸館「岡本太郎アートの夢」展への参加

          ◆陶芸の森美術館の展示に参加【イベント概要】 【展示スペースの画像】 【なぜ岡本太郎展に榎木?】 詳細は陶芸の森のサイトなどをご覧ください。 こういった趣旨で、僕を含めた13人のフィギュア作家が参加することになりました。 ある日、「岡本太郎アートの夢」のフィギュアパートをプロデュースしているほっぺふき子氏から、連絡があって展示が決まりました。コネでもなく、友達から声をかけられたのでもなく、ご自身の目と判断で突然連絡をくれたのです。単なる職業フィギュア造形家の自分をち

          陶芸の森陶芸館「岡本太郎アートの夢」展への参加