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3/25 小説『きょうも芸の夢をみる』を発売して一年が経ちました。


今日、3月25日は自分にとって特別で、自分にとって初の書籍である短編集『きょうも芸の夢をみる』が発売された日です。自分の誕生日と同じくらい好きな日です。

一年前の今日、本屋さんに置いてくれているのが嬉しすぎて、都内の色々な本屋さんを駆け回りました。

自分が考えたことが印字され、色々な人の協力があって製本され、本屋さんに陳列されているのを見た時の感動は格別なものがありました。
うおおお!マジかよ!と、ちっちゃいジャンプたくさんしました!
ドキドキ感は今でも忘れられません。

漫才の初舞台にも似た緊張感と恥ずかしさと、絶対おもろいという自信と、たくさんの人への感謝が変わるがわる押し寄せてくる、そんな感じでした。

また誰かの手に届く存在になったことで、11本の短編が自分のもとを巣立っていったんだなあとしみじみした気持ちもありました。

本は印刷されるまでが勝負で、漫才やコントみたいにイマイチだったところを直したりできません。

初稿が終われば二稿、三稿と改善・改良を重ねていきますが、終わりのない作業だな〜と思いました。物語の改善には終わりはないけれど、納得感を持てるところまで完成させることができたと自信を持って言えます。そんな11本です。

そしてこの1年間で僕の本を買ってくださった皆さま、本当にありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです!

おかげさまで生きてます。

今日は、せっかく一年経ったのでこの一年間を振り返ってみたいと思います。

作品がどこまでも連れていってくれた

本を出版したことで、たくさんの出会いと経験がありました!
出版がなかったらできない経験だらけでした。

地元・徳島の本屋さんが出版イベントを開催してくださり、旧友や担任と再会して手紙をもらったり、地元の文芸ファンの方と交流できたり。収録している小説『藍情』にちなんで藍染めさせてもらったり。

ポップを持って本屋さんに飛び込み、自分の本の横に置いて欲しいとお願いしたり。そのままバックヤード見せてくれたり。サインを書かせてもらったり。

仲の良い先輩・同期・後輩が読んでくれたり、感想をつぶやいてくれたり。それまで交流のなかった先輩がわざわざ連絡先を聞いて感想を伝えてくれたり。

今の軸になっている第一芸人文芸部の活動が始まったのも、文学フリマへの挑戦も、全ては出版できたことから繋がっています。(まさか吉本ばななさんと仕事できるとは……人生何があるかわかりません)

出版前はnoteやショートショートガーデン、インスタなどで短い物語を投稿していましたが、その頃から読んでくれた方、面白いと言ってくれた方には本当に感謝しています。その一つひとつの感想や温かい言葉が自信になり、書き続けることができたことで、出版に、そして出版後の貴重な経験に繋がったんだなと思います。

「作品がどこまでも連れていってくれた」と見出しをつけましたが、『きょうも芸の夢をみる』に収録されている11本の短編だけではなくて、他の作品もです。どこかで読んでくれた方、いいねくれた方が自信をくれたし、僕の活動を知ってくれて本を買ってくれたこともあるだろうし、そういう意味では無駄な作品や書き損なんてなかったんだろうなと思います。

一冊を売る難しさと売れた時の喜び

そして痛感したこととして、「一冊を売る難しさ」がありました。

いくらプロモーションをしても、文学フリマが大好きだと言っても、声を出しても素通りされ、立ち止まってくれた人もパラパラとめくって去っていくなんてこともたくさんあります。

劇場の前でお笑いのチケットを売るときも、その難しさは感じていましたが、共演するコンビがお目当てだからと買ってくれたり、見たいライブと見たいライブの間の暇な時間だから行くよ〜と買ってくれたり、棚からぼたもちみたいなことはありました。

本はアンソロジーでない限り、全く自分1人の勝負です。自分の本をなんと言って売れば良いか、ポップになんと書けば立ち止まってくれるか、そんなところから考え、何度も試行錯誤して声をかけ続けました。

1760円(税込み)なので、読書は高い趣味になりつつあると思います。

映画の料金もそれくらいだし、大御所作家の本も同じくらいか、下手したら僕より安く売ってる本もあります。

それでも面白いものが作れたので読んで欲しい。その気持ちが伝わって、数あるエンタメの中から「読んでみます!」と僕の本を選んで、買ってくれた時の喜びは計り知れないものがあります。本当に感謝しています。

本を買ってもらうことの喜びと重みを、この一年で心の底から味わいました。

それは書き手としてはもちろん、読み手としても大切な経験でした。

最近は、どんな想いでこの小説を書いたのだろうと筆者に寄り添いながら読書ができているし、変な言い方ですが本を愛すことができていると思います。

そして自分はまだ微力も微力ですが、出版業界、文芸を盛り上げたいという気持ちも湧いてきました。

改めて読み返した

そして今日、改めて自分の小説を読み返しましたがちゃんとおもろいです(笑)
良かった。自信を持っておすすめできます。

本当に良い作品が作れたので、まだ読んでない人に届いてほしい。

又吉さんが『傑出した想像力による異色の短編集。芸人の笑いと悲哀と喜びが克明に描かれている。』と帯を書いてくれましたが、こんな嬉しい言葉はありません。

僕は漫才を作っていた時も、どちらかと言うとお客さんの想像力に頼るネタを多く作っていました。漫才コントでコントインしてその状況を見て笑ってもらう、というよりは、格好良く言えば喋りです。明日、透明人間になったらどうする? みたいなやつです。

こういうネタはお客さんの想像力を信用していないと、できません。「それじゃ伝わらない」「もっとわかりやすく」というのはよく言われるダメ出しですが、お客さんは複雑なものは理解できないと決めつけるのはダメだよなといつも感じていました。

見せ方はわかりやすくしても、お客さんの想像力を信じきれずに簡単なボケに差し替えたり、笑いのレベルを下げるのは失礼だよなと思っていました。

執筆でもそんな自分の感覚を大切にして、読者の想像力を信じて、その想像のさらに向こう側に連れていくようなことをやりたいし、やっています。

これからも自分の想像力とお客さん・読者の方の想像力を信じて、自分が面白いと思ったことを書き続けます!

最後に

ほんと、めちゃくちゃ自信作なのでぜひ読んでください!

ちなみに本屋さんでは、文芸コーナーになければ、タレント本コーナーにあるかもしれないです。海外文芸コーナーに置かれていることもありました。

そしてAmazonで買ってくれた方、感想を書いていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです!

またnote、ブクログ読書メーターへの感想もお待ちしています!

ありがたいことにフォロワーさんでもある、とーとさん、椿あやかさんが感想を書いてくれたのでぜひこちらも!

またお試しとして、以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください↓↓

発売すぐに書いた創刊への思いはこちらです↓↓

ニュースクランチさんの取材記事はこちら。詳しいです↓↓

オズワルド伊藤との対談はこちら↓↓


今日を区切りとしてまた一年、新たな執筆もしながら、さらに多くの人に『きょうも芸の夢をみる』が届くように活動していきます!

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