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リスキリング(Reskilling)のた・・・

 リスキリング(Reskilling)のため、職業人が大学院へと進学することも、それほど珍しいことではなくなってきました。

 進学動機はいろいろでしょう。自らの職における課題を解決すべく研究に取り組みたいという人もいるでしょうし、経営や情報技術などの専門職としての技量を高めたい、あるいは、キャリアチェンジして法曹界に進みたいという人もいるでしょう。

 わたしが大学院へ進学したのは49歳になる年でした。その頃のわたしは、保険会社で教育プログラムの開発に携わっており、また、人材育成を今後のビジネスキャリアの主軸にしようと考えていたこともあって、「いまのうちに職業人の育成に関する学問を体系的に学んでおこう」というのがその主な動機でした。

 進学先に選んだのは、東洋大学大学院文学研究科教育学専攻です。

 当時のわたしは、経営学における人材開発、つまり、「人」を「材」料と見なして「開発」するという表現になんとなく違和感を覚えていて(今から思えば子供じみていますね)、人の成長支援を学ぶならば大本の学問である成人教育学を学んでおくべきだろうと考え、辿り着いたのが昼夜開講コースがあって教育学の学べる同大学院でした。

 創設者である井上円了博士(哲学者)の「諸学の基礎は哲学にあり」という建学の精神がわたしにはしっくり来ましたし、同大学の看板学科である哲学科や教育学科では、その分野の一流の先生方が教鞭をとっておられたのが進学の決め手となりました。

 とはいえ、思い返せば、当時のわたしは、研究大学院(=いわゆる普通の大学院)と専門職大学院の違いすらよく理解できていませんでした。わたしの当時の本来ニーズから云えば、進むべきは、やはり専門職大学院のMBAコースであってしかるべきだったのでしょう、そんなこともあってか、博士後期課程も含めて、結局、働きながらも10年間在籍することになります。何をか云わんやです。

 しかし、この無知による選択は、結果的にわたしの人生における最高の選択だったと考えています。

 果たして、大学院での成果は何かと問われれば、博士論文(出来はともかくとして)と応えるのが本筋でしょうが、わたしは、ここでは敢えて、論文執筆過程で学んだ、①課題設定の大切さを身をもって理解できたことと、②課題設定の方法を習得できたことの2つを挙げておきたいと思います。

 研究活動には、先人の成果を引き継いでこれに勤しみ、その結果として新たに見出した成果を次代へ引き継ぐという機能があります。そうした活動では、先行研究を広く、深く読み込むことが肝要で、その分析を通して適切な課題設定が出来さえすれば、後は課題を考え抜くことに注力する(実行ある)のみ。

 指導教授は、専門家として、ときにファシリテーターとして、研究活動を親身に支援してくださいましたが、そのおかげで、わたしは、こうしたことを身をもって実感し、習得することができました。

 ところで、こうしたプロセスは何かとよく似ていると思いませんか?

 誤解を恐れずに云えば、これは正に「業務改善」のプロセスです。

研究活動は業務改善活動と同じプロセス!

 さしずめ、現状把握と現状分析は、先行研究のレビューに当たるでしょう。仕事でも現状把握を疎かにして思い込みよる安易な仮説で事に当たると大概は上手くいきません。このことは研究活動も企業活動も全く同じです。

 大学院での研究活動を通して、わたしには、課題設定のためのスキルが格段に向上した実感があります。また、社会科学系統の論文であれば、専門分野以外の領域でも、多少の時間を掛ければ、概ね正確に読み込むことができるようになったと思いますし、加えて、学会発表を通して、専門家を前にプレゼンテーションするスキルに磨きをかけることもできました。

 これらはいまのわたしの仕事(経営コンサルタント・行政書士)に大いに役立っています。みなさんも、(研究)大学院に進めば、きっと、こうした知識やスキルを習得することができるでしょう。
 
 ただし、わたしのように、迷走しないためにも、これから(研究)大学院への進学を考えている皆さんには、志望の大学院の専門領域の教授に事前に・直接お会いして・研究テーマについて相談してておくことを強くお勧めします(院試のための参考書を紐解きながら「研究計画書」をしこしこ書いていた当時のわたしにはそんなことは思いもよりませんでした)。

 なお、博士論文への取り組み方には、明らかに効果的な方法(テクニック・作法・適切な手順)があることにも気づきました。わたしはそれほど要領のいい方でもないので、自ら回り道をしながら見つけ出したものですが、その方法に予め気付いていれば、おそらく半分の年月で博士論文を書き上げることが来たんじゃないかと思っています。

 これについては、いつか改めてノートいたします。

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