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アジサイ

今回はいつもと違う話をしたいと思います。庭の話ではなく、遠い場所の話です。そう考えながら、ベンチに腰掛けます。バックグラウンドで私には珍しい波の音が流れています。

青空に浮かんでいる太陽の光が肌を優しく温めながら、江ノ島の景色に癒されています。空と海の無限な青色が水平線で混ざり合い、なんともシュールな眺めです。湿度に囲まれて体がだるいけれど、あったかい空気に包まれているような気持ちが心地よいです。

チェコでは夏でも時折14度の日があり、本当にとても寒い国ですが、日本の良いところは冬も寒くなく、夏も寒くなく、逆に溶けそうなほど暑いことです。しかし、構わないです。

そうして散歩を続けるか悩んだ末、立ち上がりました。浜辺を後にして、島の中心の方へ歩き始めました。和風の建物を通り抜ける光景に、桃色の髪の私の姿が歩くのはとても不思議だと思います。

店通りの坂を登ると、神社への階段の前にたどり着きました。小さいポンドの池畔の石にまた座ります。さすがに、この天気では長く歩いて休憩しないといけませんが、全然悪くないです。緑のおかげで日陰があって、ゆっくりとくつろげます。水を飲み、知らない鳥の鳴き声を聞いています。

綺麗な歌の鳥が目につくように、歌の方に向くでしょう。でも、目についたのは鳥ではなく、壮大な優しい青紫と空の色、明るい薄紅色の様々な色のアジサイが美しく咲いています。私の庭のアジサイと同じものですが、大きさが異なります。チェコは寒くて梅雨がなく、庭のアジサイは小さいですが、毎年たくさん咲いてくれます。アジサイが咲く時には、庭の雰囲気がとても落ち着いたように感じます。

私の気持ちはこの二つの別々の場所に咲いているアジサイに似ています。チェコで咲いていても、日本の食事、文化、言語に馴染んで楽しんでいます。それでも、躾や母語はまだ私の中にあります。つまり、このアジサイと同じようで二つの違っている世界で生きているということです。

江の島だけではなく、日本の新たな場所を訪れ、様々な体験をし、心の中にたくさんの思い出を刻んでいくのです。それが私の人生の一部ですと改めて感じています。

日本の文化に触れるたびに、私の心は温かな喜びに包まれます。おいしい食事、美しい自然、優雅な伝統芸能、全てが私を魅了し、ここに居場所を感じさせてくれます。本当の幸せを見つけたとしか思えないです。

江ノ島のアジサイも、庭のアジサイも、私の心の中で色鮮やかに咲き誇っています。時折異なっているのを感じることもありますが、私は自分の存在を認識し、違う世界で輝いている花々と同じように生きていきます。

これからもこういう風にこの旅を続け、私の人生のページを埋めていきたいと思います。そして、どんな時もアジサイのように、心豊かで美しい存在でありたいのです。

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