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小説・フィクション

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小説や詩、フィクションのお話をまとめています。かなり短い作品ばかりですが、一部前編・後編ものや連載しているシリーズも入っています。書き始めたときは誰かに読んでもらうのがあまりにも… もっと読む
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2019年6月の記事一覧

また夏が来る。

「誰かに恋しなよ」 ってあなたが言った。笑いながらそう言った。ひどい男。あなたはとっても…

椿 -TSUBAKI-
4年前
20

僕の羊ちゃん

合コンに行くって君が言う。 ちょっとだけ目の奥をキラッとさせて「ねぇ、友達に誘われたんだ…

椿 -TSUBAKI-
4年前
18

言葉の向こうに

言葉じゃ足りない。 今の気持ちをうまく表せない。 好きとか愛してるとかそういうあふれる気…

椿 -TSUBAKI-
4年前
20

雨が形を変える。 打ちつけられる面に合わせて、形を変える。 ざらざらの茶褐色の地面に打ち…

椿 -TSUBAKI-
4年前
16

ただよう

ゆらりゆらりとただよって、私はここにたどり着いた。 広い広い海をただよった。 ただ波にゆ…

椿 -TSUBAKI-
4年前
23

王様のルール

「ドキドキとかワクワクとかそういうのがほしいんだよ」 と目の前の君が言った。 ドキドキと…

椿 -TSUBAKI-
4年前
19

私はまた。

「私でいいのかな・・・」 迷う心の声をまた私は漏らした。 週に一度は言ってしまうその言葉。不安と切なさで心を支えられなくなると、そう呟いてしまう。 「君がいいんだよ」 いつも同じ返事をくれるあなたにホッとした顔してあなたの腕に入る。 私でいいわけないのに。 でもそう言ってくれるならその言葉に甘えていたい。 私たちの時間は夢物語。 現実じゃなくて本当じゃない。 だけどあなたの温もりとあなたの優しさとあなたの愛情は本物だと信じたい。 どれも私が目を覚ませば消え

赤い糸

「赤い糸をたぐってみようよ」って君が言った。 僕たちの左手の小指には赤い糸が繋がっている…

椿 -TSUBAKI-
4年前
20

ゆらめく煙

「もう終わりにしよう」 ベッド脇にあるテーブルの上のタバコを手に取りながら、あなたがゆっ…

椿 -TSUBAKI-
4年前
17

『中山さん』のことをいくつか。

「まさか書いてしまった小説たち」の中に「まさか連載してしまった小説」があります。それが『…

椿 -TSUBAKI-
4年前
15

僕だけの笑顔

ねぇ、ピンクの桜に見とれてないで。 こっちだよ。 僕はここに隠れているよ。 うーん、気づ…

椿 -TSUBAKI-
4年前
22

嘘つきくん、バイバイ

好きって言ったのは嘘だったの? 私だけって言ったじゃない。 ずっと一緒だよって言ったよね…

椿 -TSUBAKI-
4年前
15

#20 中山は浮気をしています。(妻編)

中山はおそらく浮気をしています。 私は中山の妻の利香子です。私たちは大学のときに付き合い…

椿 -TSUBAKI-
4年前
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#19 背中を押す手

月曜日は会社で中山さんに会える。中山さんに会えなくて寂しい土曜と日曜が終わったら必ず月曜日が来て、会社で中山さんに会えるし話せる。だから毎週、月曜日を楽しみに思うようになった。 「おはようございます」 だいたい8時40分くらいに出社する中山さんの朝一番の「おはようございます」が聞きたくて、中山さんが出社するより先に会社に来るようになったのはいつからだろうか。もう思い出せない。ずっと彼に片思いしていた2年の間のいつからか、少し早起きするようになったんだ。 奥さんのいる中山