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自作小説に、口笛BGMを付けながら振り返ってみた執筆メモ①『バードマン』

新企画の第1弾として、私が2019年、初めて星新一賞に応募した小説について振り返ってみたいと思います。私にとって人生初の執筆作品でした。

そして、これに口笛でBGM(米津玄師『死神』)を付けました。お読み頂きつつ、ポケカラ伴奏+セルフコラボ(口笛二重奏)を、お楽しみください。以下をお読み頂いた後、なぜこの選曲か?…ご納得頂けると良いのですが。

さて、ここからは自己反省会です。今後のさらなる飛躍のために、5年前の自分を徹底的に叩いてみよう!という企画。もし叩けなければ、この間に少しも成長していないということになるので、私も真剣です。(そもそもなぜ小説を?とか、なぜ星新一賞に応募?…などは前の記事に纏めましたので、今回は執筆の裏側に焦点を当てて書いてみます。)では、始めましょう!


1.テーマ選びから、まずはタイトルを決定

まず「テーマ」を決めなければ!…と思い「ネタ出し」をしました。皆さんならここで、どんな事が浮かびますか?
私は、仕事の関係で「医療」に注目、そこで必然的に向き合う「死」、その裏返しとして「どう生きるか?」…といった事を考えつつ、星新一賞では「理系的発想力」が問われますから、これも仕事上で「医療と周辺分野」(XR・ロボティックス・ドローン・ブロックチェーン・ゲーミフィケーション・アバター)を繋げようとしていたので、そうした技術で将来的にできる事を想像し、さらにはその中で「口笛」が生かせればいいなと…そんな風に考えていた足跡が、創作ノートに残っています。

結局そんな思考から、まずは『バードマン』というタイトルが決まった事を覚えています。口笛吹きは割とみな鳥好きで、鳥の鳴き真似から吹き始めた人が多いので、主人公と(知能が発達した)カラスが口笛で会話できる未来を想像して考えたタイトルでした。すると物語の舞台として、現職の連想でイメージを広げ易い「異能のエージェント会社」を描こう!となり、さらにそのチームが解決する困難って何?と考えた時、前職の金融知識を活かした「M&A」が思い浮かぶ…という具合に、いわゆるタイトル先行でしたね。

2.設定を決めたら、次に伝えたい主張を選ぶ

ちなみに昔、外交官になりたくて大学で勉強会に参加していました。そこで学んだのが「全面展開」。これが一般的な用語なのかは知りませんが、私にとって初の小説執筆において、参考になったことは間違いありません。

私がいた大学の入試もそうでしたが、外交官試験では問題は一行だけ。それに対して解答欄には広大な余白が与えられていて【課題の理解⇒論理の展開⇒解答の記述】まで、全てを膨大な自由度の中から自分で選ぶ形式でした。小説を書こうと思った時、私の脳裏にこれが浮かび、まず「伝えたい主張」を選んで、それを読み手により良く伝える為に、与えられた字数(星新一賞なら1万字)を使い切る…というやり方はどうかと思ったのです。

そう考えると私の内面から、いくつか伝えたい主張が出てきました。
① 将来的にもAIに代替されない、人間の能力
② 凡庸が招く悲劇と、異能ならではの突破劇
③ 資本主義と民主主義が同一視される違和感

全部で40個ほどの主張を挙げましたが、整理すると結局この3つに。そしてこれ以上絞れなかったので、これらを浮かび上がらせる小説に挑戦しよう!と思い定めました。

3.さぁ執筆開始!~思いつくまま一気に

この時点で残り1ヶ月。プロットを緻密に完成させてから書き出す作家さんもおられるようですが、私はまだその手法を使いこなせなかったので、ごく簡単な流れだけを想定して、一気に書き始めました。

その結果、大きな書き直しなく、物語を完結させることが出来ました。後で知ったのですが、プロットを決めずに書き出すタイプは、プロ作家さんでも実際におられるようなので、あながち間違いではなかったのかなと。

また後に創作大賞で「お仕事小説」のウェビナーで、初心者は仕事と絡めて書く方がリアリティーを出しやすい…と知ったので、この点でも結果的には間違っていなかったようです。

1万字以内とのサイズも幸いしたようで、細部に拘り過ぎずに済んだかも。途中であれこれ思い悩むより、書き上げた後に悩む方がよい…そうなので。

こうして書き上げた、私の第1作がこちらです。あらすじを記しておきますので、リンクから本編をお読み頂けると嬉しいですし、ご意見を頂けたり、さらには創作を通じて、互いに高め合える関係が生まれるといいな…と思うので、いいね!して下さった方の作品は、漏れなく読みにゆくつもりです。

『バードマン~陽の当たらぬ場所で口笛を』
2050年の日本。高齢化で就業人口が1/3となり、政策誘導で巨大化した“スマートシティ”東京を舞台に繰り広げられる、VR・AIを駆使した企業間覇権争いの命運は、「バードマン」に託された。エリートに対して脆弱な天才、しかしそこに“エージェント”が加わると?理系と文系、技術と心、科学と文化の間を自在に駆け巡り、人類の未来に光明を見出そうとするバードマン。そして荒廃する地方の行く末は?

2019年 星新一賞へ応募した際に、添付した「あらすじ」から

4.さらなる飛躍へ!~自己大反省会

さぁ!ここからは、自分で自分の作品を徹底的に叩く時間です。

まずは文体。我ながら“ぎこちない”なと。会話と地の文がはっきりと分かれ過ぎですね。今ならもっと読み手を引き込む文章を工夫できると思います。

次に技術の描写。“理系的発想力”=SFと思っていたので、無駄に詳しいなと思いますね。物理でも数学でも「本当の真理は美しい」(正確な表現でないかもしれませんが…)という言葉をよく聞きますから、もっと簡潔に書けばよかったと思います。

それより最大の反省は、SFの本質に関わる事です。発想の飛躍が足りない!と思うのです。VRやAIといった技術を扱ってはいますが、どこまで行っても現在から予測できる未来の域を出ないなぁと。これは今に至るまで克服できていない課題なのですが、最近聴いたウェビナーでは「むしろ流行っている技術用語の使用を禁じる」手法を教わったので、次作で早速使ってみようと思っています。誰も想像したことのない未来を描いてみたいものです。

さらに言えば、もっと人物像を掘り下げて描くことも大事だったのかなと。特にプロットを緻密に作らない作家さんは、代わりに人物像を(裏設定まで含めて)詳細に作り込むことで、作中でキャラクターが勝手に動き出すそうなので。今年の創作大賞で少しその感覚を味わいましたが、短編でもそれが出来たらいいな…と思います。

その延長でもう一つ言うと、憎まれキャラ(愛され悪役)が使いこなせないのですよね。これを強く描けないと主人公の魅力も引き立たないそうなので、このスキルは何とかモノにしたいところ。少し早い来年の抱負ですね。

5.来年(2024年)の抱負+口笛BGMの解説

今年(2023年)の星新一賞に応募した作品がまだ未発表なので、選外が確定したら(来年2月頃?)またここで発表したいと思っています。そしてまたnote創作大賞と星新一賞には挑戦したいなと。

そしてここnoteで、いろんな作家さんと交流したいです。折にふれ作品を読ませて頂いているのですが、コメントでしっかり感想を残したいなと。そうできるレベルまでしっかり読み込まないといけないし、コメントすることで自分の軸(作風)も固まってゆく気がするのです。

さらには口笛作家としての個性として、今回の様な【作品+口笛】は続けてゆきたいですね。このために歌詞を深く読むので想いを言語化するスキルが高まると思うから。

ちなみに、今回BGMに使った米津玄師さんの『死神』。最後にこれを吹いた理由についてお話しましょう。カラスは「死の使い」と呼ばれたりしますが、私は好きだし、想いが通うと素敵だと思う。同様に、世の中でどういう訳か差別されている人やモノがいると、私はそういう少数派に惹かれる傾向があるらしい。今回ご紹介した作品の主人公(新田義一)には、そんな私を投影したので、この曲を相応しいと思ったのかもしれません。落語「死神」をモチーフにしたこの歌詞は、死神が見える力を得た男が、それを悪用して生死の理を歪めた報いを受ける内容。私の小説でも、カラスと交流できる力をどう使うかで明暗を分けた2社の話が出てくるので、そういう意味でも、この小説のBGMに合うのではないかと思いました。

今日も最後まで読んで下さり、有難うございました。小説との連動は今回が初めてですが、既に他にも2作、note記事と口笛のコラボをしているので、よければそちらも聴いて頂けると嬉しいです!ではまた、Happy Whistling!!

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