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記事一覧

第3回:骨太の方針とは(政権の最重要政府方針を理解する)

1.はじめに今回のテーマは、骨太の方針(正確には「経済財政運営と改革の基本方針」)です。6月18日に成長戦略と同時に閣議決定(メモ①)されました。
 
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【メモ①:閣議決定とは】
内閣が意思決定のために開く会議。行政府(政府)の方針を定める会議としては最高レベルです。定例閣議として火曜と金曜、その他重要案件に対応するための臨時閣議やサイン

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第4回:官僚の人事 ‐政策実現のキーマンとタイミングをおさえるために‐

7月に入って、事務次官の交代などの官僚の異動情報をニュースで見かけた、という方も多いのではないでしょうか。

そうです、実は毎年7月は官僚の人事異動のシーズンなのです。

通常国会は、毎年1月中旬から6月中旬頃まで150日間開かれることになっており、この会期中は、政府が提出している法案の国会での審議が続いています。
また、政府内でも成長戦略や骨太の方針といった大きな政策の方向性を固める時期に当たり

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第5回:官民の本質的な違い‐官とのコミュニケーションのための必修科目‐

役所をやめてから、しばらくたちました。官僚時代から、民間の方とは積極的に対話をしてきて、官民の違いを強く意識してきましたが、実際に民間の立場に立ってみて、よりその違いを深く感じる日々です。

両方を知る自分たちは、翻訳機能を果たしていかなければという思いを、日々強くしています。

民間の皆さんが、役所の人とコミュニケーションを取る中で、
「何を言っているか理解できない」
「なんで、こんなに方針を変

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第7回:官僚を説得する方法‐官とのコミュニケーションのための必修科目(応用編)‐

1.はじめに官邸の権限が強くなった結果、官僚の裁量が減り、仕事の魅力が減ってきている、と最近のニュースではよく言及されています。

本当に官僚は政策立案における裁量がなくなってきているのでしょうか。省庁で働いていた我々からすると、この理解は、当たっているけども、完全に当たっているわけでもない、と感じます。

確かに、2000年前後から行われてきた一連の行政改革等により、首相を中心とする官邸の力は強

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第8回:税制のプロセスとスケジュールを理解する

1.税制とは何か今回は税制がテーマです。

「税金か。。。なにやら難しそうだな。。。」
「年末調整すら、書き方がわからなくて何度も書き直しているのに、国の税制を理解するなんて無理だ。。。」

なんて声が聞こえてきそうですね。

税制は敷居が高いと感じる方もいるかもしれませんが、この記事では、皆さんが政策を実現するために最低限知っておくべき事項をコンパクトにまとめていますので、ご安心ください。

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第13回:法案の内容に影響を与えるには‐国会提出前‐

1.はじめに10月4日に臨時国会が開催され、岸田総理が誕生しました。
その後の政治スケジュールは、
10月14日まで臨時国会を開催
10月31日に衆院選投開票
というスケジュールが毎日新聞などで報道されています。

いずれにせよ政策について本格的な議論が始まるのは衆議院議員選挙が終わった後の臨時国会でしょう。

自民党が勝利すれば、ですが、総選挙後に開会される臨時国会で、岸田総理の肝いりの補正予算

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第15回:政治家・官僚に刺さる説明の手法

1.「政治家にいえばなんとかなる」の勘違い政策の意思決定構造の話をします。

政策決定にはトップダウン型とボトムアップ型があります。

トップダウン型の代表は官邸による指示で政策の実施が進められるようなものです。官邸の中枢にいる首相や官房長官が「この政策を実現する」というメッセージを発することで、各省庁がその政策の実現に向けて動き出すものです。特に社会から関心を持たれている話題であったり、官邸が重

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第17回:役所の組織と官僚の役職を知る ‐円滑なコミュニケーションのために‐

第17回:役所の組織と官僚の役職を知る ‐円滑なコミュニケーションのために‐

民間の方と話をしていると、政策を実現しようと役所と話す時に、誰に話をすればいいのかよくわからない、という悩みを耳にすることがあります。

課長補佐がよいのか、企画官がよいのか、課長か審議官かなどです。また、よくある相談に、「企画官と課長補佐とどっちが偉い?」「審議官と呼ばれる人の中には、ランクが違う人がいるのはどういうこと?」などといったものもあります。

こうした悩みや疑問のもとをたどってみると

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第23回:税制改正を成し遂げるには‐未婚のひとり親の所得税優遇実現から学ぶ‐

第23回:税制改正を成し遂げるには‐未婚のひとり親の所得税優遇実現から学ぶ‐

1.税制とは何か
今回取り上げるテーマは、税制改正です。税制というと少しとっつきにくいような印象を受けますが、政策を前に進めるためには大事なツールです。

この連載で何度か言及していますが、政策とはいわば、

・お客さんである国民からすると、商品を選べない(例えば法律や制度などはみんなに同じように適用されるので民間の商品のように選べません)
・ほしくない人も、お金は払わないといけない

という厄介

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第25回:官僚の信頼を勝ち取るには‐コミュニケーションのコツ‐

第25回:官僚の信頼を勝ち取るには‐コミュニケーションのコツ‐

1.官僚との円滑なコミュニケーションのためにこの連載では、官僚や政治家など数々のステークホルダーと皆さんが連携し、一緒になって政策づくりをする方法をお伝えしてきました。これまでご紹介した官民連携の成功事例をお読みになった方であれば、政策を変えていくためにステークホルダーと粘り強くコミュニケーションをとることが、成功の基本であることを理解しているのではないでしょうか。

現場で政策の影響を受けている

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第31回:自治体と一緒に政策を進めるコツ―予算のプロセス―

第31回:自治体と一緒に政策を進めるコツ―予算のプロセス―

1.政策を実行しているのは国だけじゃないこの連載では、国の政策形成過程について解説し、政策を実現したい人のサポートをしてきました。日々のニュースで取り扱われる政策テーマは国に関するものが多いですし、確かにインパクトも大きいのですが、もう一つ重要な政策実行の主体である自治体についても理解しておく必要があります。

政策を変えていくためには国との協働も重要ですが、自治体への働きかけも同様に大事なのです

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第33回:自治体職員、議員、首長の政策への関わりを理解する。―自治体と協働して政策を実現するコツ―

第33回:自治体職員、議員、首長の政策への関わりを理解する。―自治体と協働して政策を実現するコツ―

第31回:自治体と一緒に政策を進めるコツ―予算のプロセス―では、自治体の予算がどのように策定されるか、特にそのスケジュールに着目して説明しました。今回の記事の中では、そのスケジュールを踏まえつつ、予算や条例の策定などに自治体の職員、議員、そして首長などのステークホルダーがどのように関わっているかをお示しします。

良い政策を実現するためには国が旗振りをするだけではだめで、全国の自治体がその政策を実

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第34回:内閣府・内閣官房の位置づけを知る‐政策提案のカギとなる 2つの重要官庁‐

第34回:内閣府・内閣官房の位置づけを知る‐政策提案のカギとなる 2つの重要官庁‐

1.謎の官庁、内閣府と内閣官房

内閣府と内閣官房、と聞いて何をしている省庁なのかを正確にイメージできる方は多くはないでしょう。その担当する政策は多岐にわたるので、そのすべてを把握するのはとても難しいものです。また、他の府省庁との関係もつかみにくいと思います。

内閣府の担当分野は、政策の方向性を示す最高レベルの政府決定である骨太の方針の議論や策定に始まり、地方分権、防災、子育て、原子力、クールジ

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第44回:議連の後押しを得て、政策を実現する ‐議連設立のきっかけ、民間サイドの関わり方‐

第44回:議連の後押しを得て、政策を実現する ‐議連設立のきっかけ、民間サイドの関わり方‐

1.政策実現のファストトラック、議連

政策が動くきっかけにはいろいろありますが、その一つが議連です。2022年には厚労省で、大麻に関する規制を議論する会議(以下「大麻小委」)で大麻の産業化に向けた議論が行われ、もうすぐとりまとめがされようとしています。この大麻小委の中で、大麻由来ではありつつ、規制の対象となっていない成分であるCBDの利活用やCBD製品の市場拡大についても取り上げられました。

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