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本好きさん集合!2024年に読んだおすすめの読書本を紹介する。

今年こそははたくさん本を読むのだー!
そう決意した2024年が明けて1か月半。中々に順調に本を読めている。

もちろん、量がすべてではないし、ちまたのビジネス本のタイトルにあるように、何千冊も毎年読んでいるわけではないけれど。

数十冊、数百冊のうちの何冊かに出会う、運命の1冊に心が動く瞬間……あの体験が今日も私を本へと向かわせてくれる。

ということで早速、2024年読んだ本の中で、特におもしろかったという本を共有していくよー!

もし、この記事を読んでくれあなたが読書好きならば「この本面白かったよー」というものや、「私も読んだ!」ということがあれば、感想でもおすすめでも是非、教えていただけると有難い。ありがたすぎる。

東京都同情塔

2024年の芥川賞受賞。九段理江さん著『東京都同情塔』

あらすじ

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。

九段理江 『東京都同情塔』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)

2024年の芥川賞受賞!言葉を大切にしたい人たちに刺さる

実はこの本、筆者が「言葉での対話を諦めない人たちへ」というメッセージで書かれている。
この本の主人公である牧名沙羅は、常日頃から言葉を適格な場所で、相手に使いたいと思っている。”言葉のコンプライアンスに気を付ける”とも言うかもしれない。

だからこそ、この本は言葉による表現を大事にしたい人には刺さる。

加えて、最初から最後まで九段さんの挑戦的で、やや皮肉った表現が個人的には爽快で読んでいて気持ちよかった。

「行き過ぎた多様性への寛容は、未来的にこうなりますけど?ほら」と言われている……いや代弁してくれているようで、昨今感じている日常での違和感、その事実に目を背けるのは終わりなのだ、と目が覚めたような気になった。

ちなみにこの『東京都同情塔』は、『マチネの終わりに』や『ある男』で知られる作家、平野啓一郎さんがXで押ししていた作品でもある。(平野さんは2020年から芥川賞選考委員に選任されていて、私が大好きな作家のひとりなのだ)

おかげで期待値が上がったにも関わらず、過去作品の中でも『東京都同情塔』はかなり群を抜いて良い作品でした。

ナチスは『良いこと』もしたのか?

今年は世界史を学ぶ年!として選んだ一冊。やはり、ナチスについては現代に生きる私たちにとっても知らなければならない歴史の一部であると思う。

あらすじ

「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? - 岩波書店 (iwanami.co.jp)

事実の一端を"切り取る"のは意見と言ってはいけない

近年、インターネットでは、「ナチスは良いこともした」と主張する人が増えているらしい。
この現象は、トランプ大統領の当選や、イギリスのEU離脱をはじめとして、ナショナリズム的な運動が強まっているのも関係しているのかもしれない、とこの本では述べられている。

”良いこと”という言葉は、とても主観に寄っている。
そもそも、善悪というのは人によって異なるのがほとんど。

この書籍では、ナチスが行った政策の一部を”切り取って”見るのではなく、あくまで全体をじっくり色んな角度から検証してから、良いことなのかを判断しようよ、と訴えている。

XやInstagramなど、ありとあらゆる情報が飛び交う時代、たったひとつの事実だけで、そこから意見へと飛躍してしまうと、誤った判断をしてしまうのも少なくない。
個人的に、書籍の中で用いられている事実から解釈を導き出し、そこから意見を形成していく歴史的思考力という力は、日常生活でも応用していきたい。

黄色い家

こちらは私が大好きな川上作品。本年度の本屋大賞にノミネートされているのでご紹介。また、第75回読売文学賞・小説賞受賞作。

あらすじ

2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶――黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな〝シノギ〞に手を出すことになる。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい......。

黄色い家|特設ページ|中央公論新社 (chuko.co.jp)

お金をテーマにした傑作品。善と悪、生きるとは……

ある1つのニュースを題材にして書かれたこの本、読了すると最初とラストでニュースの解釈が全く異なってくるのがおもしろい。

ハードカバーで、なんと600ページ以上あるのだが、物語に引き込む力が強くてスラスラ読める。

また、川上さんは貧乏を描くのが大変上手な作家なのだが、本作はお金をテーマにしていることもあり、川上さんの文章の秀逸さが綺麗に現れていたと思う。
サスペンスでもあるため、純文学じゃなくストーリー性重視の方でも楽しめる一冊。

22世紀の民主主義

実業家、成田祐輔さんによる現代の政治についての問題提起本。

あらすじ

断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命であるーー。22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。

22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書) | 成田悠輔 |本 | 通販 | Amazon

大胆な革命で現代政治をぶった斬る

20代の選挙での投票率が低い……というのは叫ばれて始めてから随分経つ。

投票を呼びかけるCMや、インフルエンサーなどが出てきたが、やはり投票率は中々あがらない。
成田悠輔さんは、本著で「じゃあ20代が投票に行けば、日本ってよくなるの?」というと違う・・・・・・そうこの本で断言している。
そこで、政治学者でも政治家でもない、起業家、経済学者としての立場から今の日本選挙をどうすればいいのか持論を展開しているのだが、これが大胆ですごくおもしろい。
もはや極論……で「そんなの現実的にあるかな~」と笑ってしまう部分もあったのだが、案外、そういった思いっきり大胆で斬新なアイディアじゃなければ、既存の政治というのは壊せないのかもしれない。


以上!2024年の読書記録でした。
これからも、どしどし本読むぞ~~と誓う私です。


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