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この一冊に出会ってから確かに人生は変わり始めた、かもしれない

本を読むのが苦手だった。

子どもの頃はよく絵本やら児童書やら読んでいたみたいだが、小学校高学年の頃からほとんど読まなくなった。

もっぱらテレビばかり、アホみたいにみていた。そして、本当のアホになった。

本を読み出したのは、ここ10年くらいのことだ。

それでも、最初はテレビから入った。

「100分de名著」(NHK・Eテレ)である。

これは良い。
テレビを見ながら本が読めるのだ。

そこで取り上げられていたのが、夏目漱石の「こころ」であった。

大体、教科書に載っている類の大作家の作品なんて難しそうで読めそうにないと思っていた。

そーゆーのを番組では分かりやすく、かつ面白く魅力を伝えてくれる。

100分が終わる頃には、もう読みたくて仕方なくなっていた。

予習はバッチリなので、全然苦もなく最後まで読むことができた。

夏目漱石を読んだ、ということもなんだか誇らしい気分だ。

そこから、100分de名著で紹介されて、読みたくなったものは読むようになった。

色々読んだ。

エーリッヒ・フロム「愛するということ」
アルベール・カミュ「ペスト」
アンネ・フランク「アンネの日記」
北条民雄「いのちの初夜」
三木清「人生論ノート」
谷崎潤一郎「痴人の愛」「陰影礼賛」
サン・テグジュペリ「星の王子さま」
大岡昇平「野火」(映画を見たかも)
などなど

今まで本を読んでこなかった私が、なかなかすごいと自分でも思うくらい読んでいる。しかも難解そうなものも、分からないなりに最後まで読み通してきた。偉い!

本を読むことが習慣になったことで、多少アホから脱却しつつあるのかな、と思う今日このごろ。


「人生を変えた○○」と言う表現に出会うたびに思うのは、羨ましさと諦めのようなものだった。

人生なんて劇的に変わることがないのがほとんどだろう。

緩やかに変わっていくのが人生だと、平凡な私なんかは思うのだけど。
だからこそ、「全然変化なんて感じられない」ってのが人生のある地点におけるほとんどの感想ではないだろうか
。その連続なので、やっぱり人生は変わらないと思ってしまう。

それでも、振り返って見ると、これだけの本を読んできたんだと。そして、読む前と読んだあとでは、私の中身は変化しているのではないだろうかと。

少しの変化なのかもしれない。

けど、それは間違いなく変化である。

私は「こころ」を読んでから、確実に変わったのだ。

本を読まない人生から、本を読む人生に。

そして、何も表現しない人生から、何か表現する人生に。

そこからは?

どうなるだろう。

でも確かに、人生は変わりつつあるのだ。良い方向へ。

ゆっくりと、ゆっくりと。

夏目漱石の「こころ」
#人生を変えた一冊


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