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本棚は冷蔵庫に似ている。 月の本棚トークイベント#2

February 18, 2019

本棚は冷蔵庫に似ている。中身をみれば、生き方や、好みがわかる。暮らしが想像できる。そのひとが何でできているかも、わかるかもしれない。『月の本棚』(清水美穂子著 書肆梓 2018)より

月の本棚(書肆梓)出版記念トークイベントの2回目は、下北沢の「本屋B&B」で開かれた。

久しぶりの下北。夕方の通りやカフェの活気になんとなくワクワクするも、参加予定だった方からの急な欠席のお知らせが相次いで、河出書房新社の田中さんと書肆梓の小山さんとデザイナーの福井さんと、台湾料理で腹ごしらえしながら、ちょっとだけ心配になってきたのだった。

でもそれは杞憂に終わった。トークの後半は壇をおりて、参加者と大きなテーブルを囲むインティメートなかたちで進行し、結果、『月の本棚』に書かれていないこともいろいろ話すことができたし、『月の本棚』で紹介した本について、たくさんのひとに読んでいただく機会を得たと思う。

本の好きなひとたち、編集者やライターも多く、フラットな感じで、しかも笑顔で言葉のキャッチボールができたのが、幸せだった。B&Bはセンスのある本棚が並ぶ、心地のよい場所だった。

『BAKERS』のとき、もっとたくさんイベントをしたかったのだけれど、結局一回しかできなかったのを、『月の本棚』はインディペンデント系出版社ということもあって、有名作家でもないのに、あと2回も予定していただいている。ありがとうございます。

前回は月の本棚で紹介したなかから『モモ』と『寂しい生活』、今回は『食べることも愛することも、耕すことから始まる』をはじめとする、「食」の本にスポットをあてた。そして、『食べることも——』の編集者の田中さんに登壇いただいた。これはトクベツな本だから。

ネットの記事の向こう側に何十万単位の読者がいることを思うと、本はものすごく限られている。しかも今回のように、生産者直送の野菜を限られたカフェの店先で手渡しで売るようなやり方をとらせていただいているのは、たんにやってみたかったから、ということにほかならない。

その場限りの知りたい欲を満たす、頓服のような情報ではなく、ゆっくり噛んで味わって消化していただいて、じわじわと栄養になって、あるいは記憶のどこかにしまいこまれ、何年も経ってからふとした拍子に思い出すような、そんな言葉の情報を、本にしていけたらいいといつも思っている。

次のイベントは西荻窪の「古本バル 月よみ堂」にて、今度の日曜日、2月24日です。ここもまた、とても心地のよい場所です。


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