見出し画像

平成最後に、卒論を書きました。

April 30. 2019

明日から令和。平成最後の晦日は、連休ということもあって、どこか大晦日のような気配が漂っている。メディアではこの30年を振り返る特集が目立つ。

来月発売になる『料理通信』誌の6月号で、わたしは日本のパンのシーンを振り返る、この20年の総まとめとなるような記事を書かせていただいた。

昨年末、All Aboutで編集方針が変わり、20年近く携わってきた「All Aboutパン」で、これまでのように記事を更新することができなくなった。
わたしはジャーナリストとして、書く場所を模索していたので、料理通信のKさんから執筆依頼があったときには、とても嬉しかった。

彼女が携わったパン特集は、ちょうどAll Aboutがスタートした2001年頃から必ず読んでいる。All About以外、特定の媒体にも、業界の団体にも、愛好家のグループにも属さず、先輩もおらず、ひとり、情報の海の中にいたわたしは、彼女の仕事によって新たな気づきを得たし、自分が向かっている方角や視点が間違っていないことを確認した。その丁寧な仕事をお手本にしたいと思ってきた。

All Aboutで、20年近くやってきた、清水さんだからこそ、書けることを書いてください。

それが今回のお題だった。打合せで提案した、もしくは編集部で決めた職人さんの取材をするものと思っていたわたしはそのメールに驚いて、MacBookをぱたんと閉じた。これは責任重大だ。動悸がおさまるのを待って、そーっと開いて、なんども読んだ。

わたしだからこそ、伝えられること。それは記事を書くときに常に考えてきたことだった。最初に書いた原稿は、でも、そこに20年分のトピックスを盛りに盛り込んだため、表面的な概論になってしまい、「清水さんらしさが感じられない」と言われて、内容を絞ることになった。申し訳ないと思ったし、大変だったけれど、嬉しかった。書き直した原稿に

日本のパンの現場が目に見える。
あぁ、よかった。本当によかった。

と、言ってもらえたときには、わたしもほっとした。有り難かった。

All Aboutのことは、読者の方々にはなんの挨拶もできずに、大変申し訳なく思っているのだけれど、辞めたわけではなく、待ちの姿勢なのです。
でも、おそらく今までの発信スタイルに戻ることはなさそうな気がしています。これからどうなるのか、まったくわかりません。でも、All Aboutでの20年があったから、料理通信で書かせていただくことができました。

それは卒業論文みたいなものかもしれません。

時代が令和になる前に、このことを書いておきたかったのです。

わたしに仕事をくださった皆さまに、そして、読んでくださる皆さまに、心から感謝しています。ありがとう。これからも精進します。

料理通信のパン特集、今年も楽しみです。ぜひ読んでください。




サポートしていただいたら、noteに書く記事の取材経費にしたいと思います。よろしくお願いいたします。