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アレクサ、閲覧履歴を消して。

私の恥部である父の話をしたい(暴言)


初対面の恋人タミオ君に
『(結婚関連の)煩わしい席には呼ぶな』と宣い
プレゼントしたスマートウォッチを
『使える機能がねえ』と一括し

私の反感を買った無礼者な父の話をします。


後日『使いこなせないという意味だった』と謝罪…ではなく訂正の連絡があり、ちゃっかり愛用しているようだが

もともと父の日に『スマートウォッチか、AmazonFireStickが欲しい』とねだられていたことを知っていたタミオ君は
責任を感じてFireStickを追加で購入してくるなどした。止めたのに。悪いのはタミオ君じゃないのに。

しかしながらそんなことを知らない父は
タイミング悪く?時期を同じくして 自分でFireStickを買った。


Amazonのアカウントも持ってないのに。


頑張って設定してみるけど無理だったら助けて って話だったので放置していたら、先週末 私が友人宅にいる間にLINEが届いた。


父【今ちょっといい?ヘルプ】

私【今ケイちゃんちにいる】

父【ケイちゃんちってどこ?近く?動ける?】


その日、11月に行われる地域のイベントの打ち合わせで、私は久々にケイちゃんの家にお邪魔していた。

緊急事態なのかと思った私は、断りを入れて電話したが

父は『fire stickの設定がうまくいかない。クレジットカードは作ったんだけどその先どう進むのかわからない、迎えに行くから家の場所を教えてほしい。』と、息継ぎもしない勢いで現状を説明した。

用事があって来てるんだし、まずこっちの予定を聞け。


その後も 今日来てほしい、何時なら来れる、と聞かれたが
夜は宅急便が来るから家には帰るけど出られないと答えると、宅急便が来てからでいいから来いと言う。

明日まで待てんのか、宅急便がもし最終時間なら21時だし、簡単に終わりそうにない作業をするためにそのあとから出動するのは嫌だ、とりあえず今日は無理だからこれ以上状況を説明されても困る と訴えた。

すごく不服そうだったけど受け入れてもらった。

もう。
何?

『アタシ今日はそんな気分じゃないの』って断ってるわけじゃないんだし、大事な予定を中断して連絡しているのに何様なの?

AmazonPrimeが見れないと死ぬんか?



翌朝連絡し、お昼ご飯をご馳走になる代わりに設定することを約束して出動した。

『麺類でよければ作ったるわ』と言っていた父が出してくれたのは、冷凍のジャージャー麺だった。美味しかったけど。

私のジャージャー麺をチンした後に、自分の蕎麦を茹でていた父は、先にジャージャー麺を食べる私の元へ 蕎麦を茹でながらわざわざ『うまいだろ』と言いに来た。とても嬉しそうだった。うまいけど。



firestickの設定は、大して手こずらなかった。
なぜか年間1000円払って郵便局のクレジットカードを発行していたのはビックリしたけど、まぁそこは私の知らないところでやってきてしまったもんだから仕方ない。

無事にAmazonPrimeにも入会し、初回1か月無料の特典も手に入れた。

PrimeやYouTubeの見方をあらかた教え、音声認識との話し方も伝授した。リモコンのボタンを押すタイミングがどうしてもつかめない様だった。

恥ずかしいのか、消え入るような声で『…韓国ドラマ』と呟く父。
小さすぎて聞きとってもらえなかったり
すぐさま別のことをしゃべってしまうので【韓国ドラマ ここ押したままはなせばいいのかな】で検索されたりしてしまう。そりゃ出てこんわ。

『日本のドラマ をかけて アレクサ』

『こいつはアレクサじゃないし、アレクサは先に言わないかん』

『オッケーアレクサ ショッピングはできるのかな 食器棚』

『なんかぐちゃぐちゃになっとるね、ていうか食器棚が欲しいの?』


このあたりのくだりはだいぶ笑った。



結局NETFLIXだけが再生できない疑問を解決できないまま帰ってきたが、父が『自分でやってみる』というので掘り下げなかった。

そもそも私もAmazonの会員ではないし
我が家にも冒頭の理由でfirestickがあるものの、無線ルーターを解約したばっかりに使えないし、NETFLIXだって見たことがない。

だから知らなかったけど、NETFLIXはNETFLIXで契約しないとAmazonprimeでも見れないんだね。

満足した父は、私に
『俺のAmazonPrimeアカウント使っていいぞ』と言った。

ジャージャー麺より結果的に報酬だった。



そして私はiPhoneにAmazonPrimeのアプリを入れて
父のアカウントでログインした。

2日後、せっかくだから何かよさげな映画はないかしらとAmazonPrimeを開いたところ、Amazonから如何わしい番組を次々とおすすめされた。

そう、多くは語らないけど父が如何わしい映画や番組を見ているようだった。

同じアカウントでログインすればお互いの閲覧履歴が見えてしまうことは知っていた。私は自分の履歴が見られたって構わないが、そんなからくりを父は知らないので、きっと私に父の履歴が見えているだなんて思ってもいないであろうと思う。


我々はアカウントを共有しない方がいい。
本能的に思った。

私が知っていることがバレないようにするために、自分の視聴履歴を残すという行為を避けることにした。娘の配慮である。


妹にコソッっと密告したところ
『気持ち悪』と言った。


私はもはや 今更父の性的嗜好に対して気持ち悪いとは思わない。
これまでだって、近所のビデオ屋でピンクのカーテンを潜り抜けていく父の姿を偶然目撃してしまったり
まだ一緒の家に住んで居る頃に発見してしまったアレやコレやも記憶に新しい。

男ってやつはそういう生き物だと思っているので、そういう映画を見ようがそれが父であろうが別になんとも思わないんだけど
70近くなっても処理する必要がある性欲が存在しているんだとしたら逆に拍手だわ と思った。


そんなわけで、報酬になるはずだったAmazonPrimeアカウントを使わせてもらう権利を、父娘の今後のために手放そうと思った昨晩


NETFLIXも契約がいるらしいことを自ら調べた父から電話があり
『俺が見たいのはNETFLIXだから、AmazonPrimeは無料の1か月だけ使って解約しようと思う』と宣告された。


おう、もう好きにするがいい。


父の場合もう仕事もしていないので
通信料だけ気を付ければ両方契約したって元は取れると思うしそう説明してみたけど、勿体ないの一点張りで無理だった。

来月私は再び父のもとを訪れて
AmazonPrimeの解約と、NETFLIXの契約をする予定。


Amazonの月額500円は高いのに
12月の車検に合わせてまた車を変えようかと考えているようだった。『もう10年も乗れないだろうし次は電気がいいかな』と言っていた。


電気自動車に買い替える金はあるのにAmazonPrimeは勿体ない。

そして
『firestickより、今はテレビにその機能が付いてるのがあるらしい。安いのだと3万ぐらいで買えるしそっちにしようかな。』という始末。

fireがあるんだからいいだろ、もう。
なんなんだ、宙に浮くstickを2本にするつもりか。


娘に閲覧履歴が見られているという事実に気付いてしまった場合の父の戸惑いと辱めを避けるために、エロ動画を勧めてくるAmazonのAIから目を背けてあげている私の気遣いがバカらしくなってきた。

いっそのこと1か月間、心を無にしてAmazonPrimeを満喫したい気持ちもヤマヤマではあるが、平和な余生を過ごすためにもう少し考えよう。




無礼者エロおもしろ自己中な父の話でした。

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