しえ

会社員です。 うつくしいものと、おいしいものと、おかしなものが好きです。菓子や歌詞や瑕…

しえ

会社員です。 うつくしいものと、おいしいものと、おかしなものが好きです。菓子や歌詞や瑕疵に関する内容が多いです。 ほぼ日曜更新、書いていることは一個人の見解です。

最近の記事

自慢のフルーツポンチ

ついに手に入れたぞー。 近江屋洋菓子店のガシャポン、大人の手土産コレクション。 去年は取扱店が少なく逃してしまったが、ありがたいことに再販していた。 2回目で目当てのフルーツポンチを引き当て、気が大きくなって3回目をまわしたら、いちごサンドショートまで出た。大満足。 歴史を感じる紙袋も、ファンシーな包装紙も、オーガンジーのリボンの透け感も、見事に再現されている。 そういえば、前回近江屋洋菓子店を訪れたとき「次はフルーツポンチを赤子のように抱いて帰る」と宣言していた。

    • 柑橘への愛を確かめた

      近所のスーパーの青果コーナーが、柑橘で埋め尽くされている。 オレンジと黄色の柑橘連峰、絶景なり。 清見オレンジ、デコポン、河内晩柑、マーコット、そして神奈川が誇る湘南ゴールド。 スピッツの「めぐりめぐって」の歌詞にも出てくるデコポンにしようか。 と手を伸ばしかけたところで、そのとなりに、見つけてしまった。 ブラッドオレンジ、愛媛県産。 ブラッドオレンジジュースは「なんかいい感じの店」に行くと出会えることがあるが、リアルブラッドオレンジ、というか果実そのものには初め

      • 原画展をはしごしたら

        食べてばかりだというのに、1日の歩数がぐんぐん減っている。 春だ。外に出よう。 おいしいものだけでなく、うつくしいものも摂取したい。 神奈川県民、国境(と書いて多摩川と読む)を越えて、東京へ。 渋谷の公園通りは外国人観光客のほうが多く、本当に国境を越えたのではと錯覚するくらいだった。 今日は、原画展のはしごだ。 ■ ひみつストレンジャー展 スピッツのアルバム『ひみつスタジオ』におさめられた全13曲の歌詞を、画家のjunaidaさんが物語として可視化した歌画本『ひみ

        • 今日がイースターだと

          目下、ホワイトデーの贈り物の消費にいそしむ日々。 菓子メーカー勤務ゆえ、社内でのやり取りはもはや業務で、差し上げた分はきっちり返ってくるのだ。 今日はどれを開けようか、と贅沢に悩みながら、ふと、今日(3月31日)がイースターだと思い出す。 イースターは、キリストの復活を祝う移動祝祭日。毎年日にちが変わるので、気に留めている人のほうが少ないだろう。 春分の日の後の最初の満月の次の日曜日、がその日にあたる。 父の妹の旦那さんの弟のいとこの娘のご子息、くらい関係性が入って

        自慢のフルーツポンチ

          思い出がいっぱいの缶

          新入社員のとき、泊まり込みで神戸の本社へ研修に行った。 阪急も阪神も海側も山側もわからない東京組を、地元の関西組が花見に連れ出してくれた。 さくら夙川という花見専用のような駅で降り、河川敷にビニールシートを広げた20人強は、いまだに7割が勤続している。 見知らぬ土地の夜桜はやけに白っぽく見えたし、夙川(しゅくがわ)という難読地名が脳裏に焼き付いた。 あれは何年前? ホワイトデーに頂いたこれを見て、そんなことを思い出す。 子供服メーカー《ファミリア》と、《エルベラン

          思い出がいっぱいの缶

          ココアになったワンコ

          猫ブームはとどまるところを知らず、ちまたには猫モチーフの商品がたくさん並んでいる。 猫は種類によって極端な個体差がないから、シルエットだけでも十分伝わる。 いっぽう、ボルゾイとフレンチブルドックでは、アルフィーの高見沢さんと俳優の中尾彬さんくらいちがう。 同じ犬好きでも、犬種によって好みも分かれるから、なかなかむずかしいのだ。 でも、やっぱり犬が好きである。 犬モチーフが少なくてさみしいな…と思っていたところに見つけたのが、これだ。 京都の老舗和菓子屋《亀屋良長》

          ココアになったワンコ

          ほおずきの味を知った

          10ヶ月ぶりに、美容院へ行った。 黒髪なのをいいことに、無頓着が過ぎる。 のびた分だけばっさり切ってください、と告げたら、こう尋ねられた。 「ショッカクどうします?」 ショッカク…? 美容師さんが、わたしの前髪の両サイドを指で滑らせている。なるほど。 知らぬ間に、その毛にそんな呼称が。 インセクトワールドに迷い込んでしまったかと思った。 10ヶ月の間、前髪は自分で切っていた。 意図せずサイドが伸びて、わたしにもショッカクとやらが生えていたのである。 触「覚」表

          ほおずきの味を知った

          インドネシアのチョコ

          インドネシア出張のおみやげで、チョコレートをもらった。 インドネシアは、赤道直下の熱帯地域の国。 年間通じて27~28度で、10月~3月は雨季にあたり、湿度も高い。 チョコレートには過酷な環境のはずだ。 菓子メーカーに勤めて以来、チョコレートは「直射日光・高温多湿を避けて25℃以下で保存」と叩き込まれている。 暖房の効いた部屋に放置されていたり、直射日光が当たっていたりすると、チョコレートから「さよなら…」と聞こえてくるようになったくらいだ(幻聴)。 ーーインドネシ

          インドネシアのチョコ

          うなぎは入っていない

          旅先では ① その街の住人であるかのようにふるまう ② 定番過ぎないおみやげを買う ようにしている。 ①は、どこまで現地に擬態できるか、非日常を日常にできるか、という矛盾した挑戦である。 先日姫路に行ったとき、①は良くも悪くもクリアしたようだ。 目的地に向かってずんずん歩いていると、向かいから歩いてきたご婦人に呼び止められ、 「おたずねします、しまむらはどちら?」 と道を聞かれた。 小ぶりのリュックだったから、見た目にも観光客には見えなかったのだろう。 でも

          うなぎは入っていない

          めぐりめぐって神戸牛

          半年を経て、ふたたび姫路へ向かった冬の終わり。 夏の終わりに開催されるはずだった、スピッツ《JAMBOREE TOUR'23-'24 ”HIMITSU STUDIO”》姫路公演。 ボーカル草野さんが流行り病につかまり、その後の3公演も延期に。 姫路公演は、めぐりめぐって、なんとこのホール・アリーナツアー自体の大千秋楽となった。 自分の繁忙期中なら潔くあきらめようと思っていたが、かろうじてそれた。 しかも、会場入りしてから分かる座席はメンバーのまぶたの動きすら肉眼で見

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          心づかいのお菓子たち

          予想以上の積雪、配送遅延、残荷、在庫数差異と、バレンタインの出荷ピークはトラブルがてんこもりだ。 とくに週末とトラブルは、ただならぬ関係。 在庫数の差異が解決し一安心して、きっと今は自由に意識飛べるはずと思った午後三時。 背後から「買えたの…!」と小さな声をかけられ、これをそっと机に置かれた。 もはや鎌倉みやげの定番になった《鎌倉紅谷》のクルミッ子と、横浜発のチョコレート専門店《VANILLA BEANS》のチョコサンドクッキーがコラボした商品。 数年前からバレンタ

          心づかいのお菓子たち

          徒歩20分のマフィン

          最近歩いていない。 思い立って《あの店》に行ってみることにした。 行きたい店リストに入れていた、鎌倉駅から約1,5km、徒歩22分の《okashi.nikaido》。 地図通りに二の鳥居前のファミマを右折し、若宮大路の裏道をひたすら進む。 それほど道幅は広くないし、閑静な住宅街ながら、車はよく通るので要注意。 そのまま道なりに進んでいき、うん、遠いな!と思った頃に、妙な名前の交差点に出会う。 この交差点、名前がそのまんますぎて、電話で説明するとき大変そうだ。 大

          徒歩20分のマフィン

          果肉を楽しむグレープ

          その昔、部室で後輩がこう言った。 「先輩って、いちごミルクっぽいですよね!」 わたしの横にいた、同級生に向けられた言葉である。 小柄で目がくりっとしていて、穏やかな性格で持ち物が大体淡いピンク。 いちごミルクのような愛らしさ、異論はない。 となりにいるわたしにも何か言わなければ、と思ったのか、後輩は絞り出すようにこう続けた。 「先輩は…ぶどうミルク…」 たしかに、持ち物は大体濃紺だった。 果物といえば?という問いに、ぶどうが一番に出てくることはあまりない気がする

          果肉を楽しむグレープ

          あの日、なに食べた?

          最近、記憶力が衰えてきた気がする。 立ち上げたExcelで、何をしようとしていたのか。 脳トレゲームは多々あれど、「光った場所を押せ」ゲームは反射神経が鈍すぎて論外だし、「お釣りはいくら?」ゲームは、そもそも暗算ができないから絶望しやめてしまう。 わたしには、わたしにふさわしい脳トレがある。 Googleフォトが「今日は何食べよう?」と表示してくる写真をみて、どこで食べた何かを思い出す、というもの。 これは、鎌倉の西口すぐそばにある、鎌倉野菜と味噌を使った料理がいた

          あの日、なに食べた?

          バターサンドとのWA

          共通テストの翌日、新聞に掲載される問題を、毎年なんとなく眺める。 月日とともに「かろうじて解ける」から 「かろうじて見える」に変化してきた。 字が小さすぎやしないかね。 センター試験から共通テストに名前が変わっても、国語の問題構成はまったく変わっていない。 「傍線部に該当する漢字を含むものを選べ」という現代文冒頭のお決まりの問題は、目を細めながらなんとか突破。 同じ読みでこんなに複数の漢字が存在するのか、とあらためて辟易する。 粉飾決算のフンが紛ではなく粉なのは、じ

          バターサンドとのWA

          曲がり角にあるガトー

          枯れ葉と配管と警告が目立つ、線路沿いの曲がり角。 そこに、シュークリーム、プリン、ティグレとやわらかな甘い文字が並ぶ。 焦げ茶色のボードは、京都の景観条例が適用されているのかと思うくらい背景にすっかり溶け込んでいて、うっかり見逃してしまう。 鎌倉駅の西口のすぐ脇にありながら、この路地は行き交う人も少なく、ひっそりとしている。 看板にも注意書きがあるように、東口に行けそうで行けない、不思議な道だからだろうか(東口へは地下道を使う)。 はたまた、路地手前にある店の抹茶ソ

          曲がり角にあるガトー