あの日、なに食べた?
最近、記憶力が衰えてきた気がする。
立ち上げたExcelで、何をしようとしていたのか。
脳トレゲームは多々あれど、「光った場所を押せ」ゲームは反射神経が鈍すぎて論外だし、「お釣りはいくら?」ゲームは、そもそも暗算ができないから絶望しやめてしまう。
わたしには、わたしにふさわしい脳トレがある。
Googleフォトが「今日は何食べよう?」と表示してくる写真をみて、どこで食べた何かを思い出す、というもの。
これは、鎌倉の西口すぐそばにある、鎌倉野菜と味噌を使った料理がいただける《Trattoria INOUE》のランチ。
もう5年以上前の夏だ。
カウンター席のみのこじんまりしたお店で、現在は店名が《味噌ダイニング コトカマ》に変わっている。
店員さんとの距離が物理的に近いので
という業界人ぶったやり取りをしたのを思い出した。
あと、会計時に
という愉快なやり取りをしたのも思い出した。
これはわたしのいちばん好きな居酒屋、《わらやき屋》のカツオの塩たたき。
もう長らく行っていないが、イントロクイズなら最初の1音くらいのスピードで思い出した。
分厚すぎのカツオだけでなく、はちきん地鶏や高知の食材を、豪快なわら焼きで提供してくれる。
ぶわっと上がる炎が迫力満点で、厨房に近い席だと、自分もわら焼きにされているような感覚に陥る。
カツオを、旧字表記のかつを、と表記しているので
と、くだらないことを考えたのを思い出した。
炎は、人から冷静な判断力を奪う。
ランチ営業している店舗もあるらしい。
行きたい。ほおばりたいんだな、かつを。
2013年9月に、島根へ行ったときに食べた出雲そば。言わずとしれた、島根の郷土料理。
色黒の麺は香りが高く、食感もしっかり残っていて、また食べたいと思わせるおそば。
「段取り・運転・マシンガントーク」を買って出てくれた友人に対し、わたしは「恣意的な選局・目に入る看板を適当に読み上げる・適当な相づち」という役割だった。
たまたまラジオから流れてきたスピッツの「僕はきっと旅に出る」という曲を聞き、友人が「このひと一生旅に出なさそう」と言い放ったのは忘れない。
羽田に戻り友人と解散したところで、エスカレーターを上がってきた共通の友人とばったり出くわし、再度3人で集合したのも忘れない。
大泉洋さんが所属するTEAM NACSの公演を観に、仙台へ行ったときに食べた青葉亭の牛タンシチュー。
牛の舌、という事実だけでなんとなく敬遠してしまっていて、このとき初めて牛タンというものを食べた。
一口食べて、そりゃ名物になるわ、みんな食べたがるわと納得した。
とろけた。
春の嵐で新幹線が動くかどうかと、牛タンがちゃんと食べられるか心配だったが、杞憂に終わった。
友人が「ヤスケン(安田顕さん)は爺さんの役やらせたら天下一品だな」と的確な感想をつぶやいたのは忘れない。
ポスターと自撮りしようとしている赤の他人のカメラに、ガラス越しに映り込もうとしていたのも忘れない。
鎌倉駅から数分の路地裏にある、知る人ぞ知るカフェ、ワンダーキッチン。
世界各国の家庭料理が頂けるというなんとも心おどるカフェ。メニューが豊富すぎて選ぶのに相当悩んだ。
どこの国の料理だったかどうしても思い出せなくて自分のSNSで答え合わせしたら、セルビアのピエスカビッツァという料理だった。
つなぎなしの豚のハンバーグに、ヨーグルトを使ったソースがかかっていて、初めて食べる味だがかなり好みだったのを覚えている。
知る人ぞ知るカフェすぎて、ここ数年はクラウドファンディングもやっていたようだ。
また行きたいからなくなってほしくないので、広く知られてほしい。
ちゃんと覚えていた。この脳トレは大得意だ。
記憶力が衰えていないというより、食い意地の問題だろうか。
いや、各店の料理がすばらしいのだ。
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