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「好きな映画ベスト3」すぐに答えられますか?

先日、私が働く蕎麦屋「ありまさ」のカウンターで映画のお話になりました。
私も夫も映画が大好き、映画館に頻繁に出かけますし、外出が難しかったコロナ禍の日々は観ていなかったDVDを1日1本ペースで鑑賞(図書館で借りたものや、録りためていたものなどを含む)。
年間365本は観た計算になります。

つまり出かけても、出かけなくても常に映画濃度の濃ゆい日々(^▽^;)。
こんなマニア生活を大学時代から続けて現在50歳…
もうね、全部覚えていられません(笑)。
忘れてる、かなり忘れてる、深く感動しても忘れてる(ひどい…)。
映画だけでなくドラマやドキュメンタリー、ミュージックビデオやゲーム、最近はYouTubeもあって映像っていっぱいあるし…。

そしてこれだけ観たから言えることがあります。

素晴らしい映画は星の数ほどある!!
世界は名作で溢れている。
けれど、実は、自分にとって大切な映画はそれほど多くない。
逆に私には「刺さる」けれど、一般的には「どこがいいの?」という作品もまあまああるような気がする。

もうこのあたりは恋愛と同じで、世界中に素敵な人は沢山、それこそ星の数ほどいらっしゃるわけです。
でも全部の人に惹かれるわけではないし、会えるわけでもない(世界中のすべての映画を観るなんて無理)。
そして釣書きが最高でも(〇〇さん絶賛、■■賞受賞、(国名)が涙した…)
と言われても、私自身はピンと来ないこともある。
みんなが太鼓判を押したとしても、自分自身は
「うーん…あなたには良いのかもしれないけど、ね…(゜-゜)」
ってことはありますよね。

カウンターで
「映画がお好きなんですね? あなたのおすすめは?」
と聞かれ、過去に観たいろいろな映画が去来しすぎてぼんやりしてしまったのですが、とはいえ私も映画好きな人がいたら
「あなたのベストは?」
などと聞いてみたくなります、やっぱり。
その時はモゴモゴされるより、とりあえずでも「これが好き!」を聞かせてほしい。

というわけで、私自身もこの機会にベスト3(暫定、そして極私的)とその周辺をまとめておくのは無駄ではないかも…と思いました。
「そうそう、これ忘れてた!」
ということがあれば、順位は後で入れ替えればいいのです。

ちなみに夫のように不動の最愛監督がいて…

同じく生涯不動のベスト1作品がある…という人もいて、ひと口に映画ファンと言ってもいろいろなタイプがいますね。
私はベスト1を決めるのは難しいし、決まったとしても不動にはならないかも…。
あ、ベスト1が何かは夫から直接聞いて下さいね(^_-)-☆。

さて、今のところのマイベスト3を決めるに当たり、私にとって大切な作品をとりあえず思いつくままにざざっと挙げてみましょう。
()内は監督名です。

メッセージ (ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
デカローグ (クシシュトフ・キェシロフスキ)
永遠と1日 (テオ・アンゲロプロス)
エンドレス・ワルツ (若松考二)
ある女流作家の罪と罰 (マリエル・ヘラー)
ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス (フレデリック・ワイズマン)
ダークシティ (アレックス・プロヤス)
12モンキーズ (テリー・ギリアム)
バンテッドQ (テリー・ギリアム)
Pina ピナ・バウシュ踊り続ける命 (ヴィム・ヴェンダース)
Soul (ピート・ドクター)
Alice in Wonderland (ディズニー)
ペパーミントキャンディー (イ・チャンドン)
春夏秋冬、そして春 (キム・ギドク)
夏物語 (エリック・ロメール)
秋日和 (小津安二郎)
Inside Out (ピート・ドクター)
風の谷のナウシカ (宮崎駿)
ピアソラ 永遠のリベルタンゴ (ダニエル・ローゼンフェルド)
ひみつの花園 (矢口史靖)
Sleep マックス・リヒターからの招待状 (ナタリー・ジョンズ)
レモニー・スニケットの世にも不幸せなものがたり (ブラッド・シルバーリング)
ギルバート・グレイプ (ラッセ・ハレストレム)
銀河鉄道の夜 (杉井ギサブロー)
リトル・ダンサー (スティーブン・ダルドリー)
ヤング≒アダルト (ジェイソン・ライトマン)
リップヴァンウィンクルの花嫁 (岩井俊二)
ハイ・フィデリティ (スティーブン・フリアーズ)
さんかく (吉田恵輔)
ミツバチのささやき (ビクトル・エリセ)

・・・・

すみません、止まらなくなってしまいました。
それに一つ作品を挙げると、
「この監督はこの他にもいい作品があるよね~」
とか
「この国にはこんな作品も~」
となってキリがない…。
例えばここには入っていませんが私はインド映画に興味があって「きっと、うまくいく」「きっと、強くなる」「あなたの名前を呼べたなら」「めぐり逢わせのお弁当」「パッドマン」「ガリーボーイ」などを観ましたが、ずっと気になっている「バーフバリ」「RRR」が未見だから、ベストに入れるかはこれらを観てから決めようかと思っていて…とかうじうじ考えていると収集がつかない。

それからものすごく好きだったのは確かだけれど、観たのが昔すぎてもう一度確認してからじゃないと…というのもありますね。エミール・クストリッツァの「アンダーグラウンド」、大好きでしたが私の脳内で他の映画(「黒猫・白猫」)と混じってごっちゃになってる。まあどちらもスキだし、ごっちゃになって大きな弊害があるかというとそんなこともないような気がしますが…とはいえ…

というわけで混乱してきましたので、今日のところはここで〆切って、
この中から3つ本当に「刺さった」映画を…。
刺さった、つまりある意味で私はその作品に驚き、傷つき、傷つくほどに関わったから、具体的に人生が変わってしまった
そんな作品は…

ある女流作家の罪と罰
■ニューヨーク公共図書館
■メッセージ


この3つかしら…(暫定ということで)。

ある女流作家の罪と罰 Can you ever forgive me?
は日本未公開で、たまたま夫が図書館でDVDを借りてきてくれたので何気なく観たのです。本当に偶然。
売れない伝記作家リー(ネコ好き)が食い詰めて、ひょんなことから有名人の親書を偽造する詐欺に手を染める…という実話がベースになっています。

主人公の作家を演じるメリッサ・マッカーシーの演技が素晴らしいのですが、観ているうちにこの作家のダメ~な感じが自分にしか思えなくなり、いつの間にか私はこの作品にすっぽりと嵌まり込んでいました。
普段は店の仕事が忙しくて、原稿を書くと言えばインタビューのまとめくらい…という自分の現状が「仕事がほとんどない伝記作家」といやになるほど似ていて、なんだかんだと他人の話を書いては自分と向き合うことを避けている物書き(イタタタ…)の姿が、おもろうてやがて悲しき水鏡。
しばらくは「小さな犯罪」が上手くいきますが、そうこうしているうちに詐欺がばれ、訴えられ、堕ちるところまで堕ちて、不甲斐ない自分と向き合わざるを得なくなったリー…
ものすごく痛かったけれど、だからこそ励まされた作品です。

原作(右)も買いました

■ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
ニューヨーク公共図書館と図書館で働いている人達の様子を記録したドキュメンタリーです。エクス・リブリスとは蔵書票のこと。
ドキュメンタリー映画界の巨匠フレデリック・ワイズマン監督、最近は「ボストン市庁舎」も話題でしたね。

映画好きの夫が「さすがにマニアックすぎる」と行ってついてこなかったので恵比寿まで一人で観に行きましたが、客席に人はいないし(ガラガラ)、いたとしても寝ているし、それなのに3時間以上あって今時休憩があるほど長いし…(以前水道橋まで見に行った12時間40分の大作「アウト ワン」を思い出しました。頑張っても寝てしまう…)
観客があまりにも寝ているので
「マックス・リヒターのSleepか?!」
と今ならツッコめますが、こちらの作品が先なので当時はツッコめず(笑)…
な静謐で力強い傑作。

私はニューヨーク公共図書館で働く人達が知力体力を尽くして活字文化を死守しようとする姿勢に本当に驚いてしまって、刺さるどころかぶん殴られたような衝撃を受けていました(この映画はもう一度観ました)。
「店が忙しくて書く時間がないんだよね」
と言っている自分のなんと恥ずかしいことよ…。
真摯に生きる人の姿って、じわじわと人を変える力があるのです。
「台湾人生」(酒井充子)を観たときも、台湾の人達の佇まいや言葉が、観ている自分の言葉や生き方を変えていく…そんなパワーを感じました。
ドキュメンタリーって凄い…!!

好きすぎてチラシも捨てられない、
グッズも購入(^▽^;)

■メッセージ
これはご覧になった方も少なくないと思います。
大好きな監督、最近は「DUNE」「ブレードランナー2049」でも有名なドゥニ・ヴィルヌーヴのSFです。
原作はテッド・チャン「あなたの人生の物語」(こちらもぜひ!! )。

突如地上に降り立った巨大な宇宙船。

謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら"が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。

そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――

Amazonの商品説明より

いわゆるファーストコンタクトものです。 テッド・チャンの原作を読むと納得できるのですが、「面白いけれど、映像化は不可能」と思われていました。でも、しかし、かなりの部分で成功していると思います。
企みのあるストーリーを破綻なく観客に伝えていますし、ヴィルヌーヴ監督らしい絵の美しさが堪能でき、役者さん達の演技もすごく素敵(≧▽≦)。

以前も書きましたが、私は子供の頃に言葉がしゃべれなくなった時期があり、言語や文字を使ってのコミュニケーションにとても興味があります。
コミュニケーションが成立するということはどういうことなのか、そもそも言語を通して理解し合えるということは可能なのか、もし可能だとしてもそれが幸福につながるのか…
すごく考えさせられますし、言葉について考える喜びと悲しみを味わえる作品です。

また外国語を勉強していると、その言語独特の発想みたいなものがあるんだな…と感じることがありますが(不勉強なので印象論で申し訳ありませんが…(^▽^;))言語や文法、文字の持つ意味について、言語の持つ「宿命のようなもの」について想わずにはいられなくなる作品です。

これもうちにありますが、ボロボロなのでこちらの画像で…

とりあえず3作挙げられてホッとしています。
でもこれからいろいろ思い出すだろうなあ…。
映画マイベスト3、随時更新していこうと思います。

ちなみに昨年観た映画とドラマのリストはこちら⇩

私が言葉に興味がある理由⇩

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