梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テ…

梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テクノ・ガイドブック』『History of Japanese Hardcore Techno』著者 https://murderchannel.bandcamp.com/

最近の記事

ドゥーム/サイケデリック・ラップ

ロック~ハードコア~ノイズを飲み込んだ鬼ドープでヘヴィーウエイトなヒップホップを追求しているアメリカのDälekが5月10日にデビュー作『Negro Necro Nekros』の再発盤を発表する。1998年にCD/LPでリリースされた『Negro Necro Nekros』に6曲のボーナストラックが追加され、LPには12PGのブックレットが付いてくるという豪華仕様。現在、DälekのBandcampにて予約が開始している。 今作は90'sアンダーグラウンド・ヒップホップにお

    • UKハードコアとジャングル

      今年2月29日にOblivion UndergroundからリリースされたThe DJ Producerの復帰作『Metaphysical EP』はUKハードコア・ファンの期待に完璧に応えてくれた素晴らしい作品であり、The DJ Producerが真の意味でUKハードコアのパイオニアであることを証明してくれた。 昨年、The DJ Producerは脳卒中となってしまい一時期は危険な状態にあったというが、治療期間を経て少しづつ現場でのDJプレイを復帰され、遂に『Metaph

      • D-JUNGLE/ドイツのジャングルとブレイクコア

        先月末、ブレイクコアとレフトフィールドなドラムンべース/ジャングルの発展に多大な影響を与えたドイツのChristoph de Babalonが新作『Ach, Mensch』を発表した。1994年にレコード・デビューを果たして以来、Christoph de Babalonの音楽は常にジャングルとアンビエントがコアパートにあったが、『Ach, Mensch』でも現代的なドラムンベース/ジャングル〜アンビエント/ネオクラシックの要素を巧みに取り込みながら彼が長年に渡って追求していた

        • 今のハードコア・テクノが存在しなかったら?

          先日、FacebookにあるPCP / Planet Core Productionsのファンが集う公開グループに興味深い投稿があった。それは、1990年にドイツのPlanet Core Productions(以降PCP)が発表したハードコア・テクノの始まりとされるMescalinum United(Marc Acardipane)の「We Have Arrived」が存在しなかった場合、誰がハードコア・テクノ・サウンドを作っていたか、という投稿。それに対してハードコア・テ

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          企画盤再考

          ヒップホップとロックのコラボレーションを実現させた企画盤『Judgment Night』(1993年作)は、後に爆発的に流行化するミクスチャー・ロックの土台を作り、ヒップホップ/ロックの最良なクロスオーバーを生み出せた奇跡的な作品として語り継がれている名盤だ。収録曲はどれも素晴らしいが、特にHelmet & House of Pain「Just Another Victim」やBiohazard & Onyx「Judgment Night」は双方のコアなサウンド/スタイルがぶ

          企画盤再考

          BABA a.k.a. “BB”SHOT (THINK TANK)インタビュー

          いよいよ来週3月2日(土)に渋谷Circusで開催されるMURDER CHANNEL VOL.29。 今回はTHINK TANKのオリジナル・メンバーであり、MUROCHIN(WRENCH)とのユニットDOOOMBOYSとしても活躍するBABA a.k.a. “BB”SHOTのインタビューを公開します。 BABAさんとは個人的にも付き合いが長く、THINK TANKの頃から追いかけていて、自分が10代の頃からずっと憧れ続けている本当にカッコいい人です。MURDER CHA

          BABA a.k.a. “BB”SHOT (THINK TANK)インタビュー

          G36(The Bug+Gorgonn)

          The BugとGorgonnによるアナーコ・ダブ・コレクティブG36。これまでに2枚の12"レコード、JK Fleshとのスプリット・アルバムをリリースしており、パンクな反骨精神を激らせたノイジーでヘヴィーウエイトな彼等の曲は世界中のコアヘッズから絶賛された。 2018年にPressureから発表されたジャマイカのダブポエットNazambaのソロデビュー作『Vex』のプロデューサーとしてクレジットされたのがG36の始まりであり、当初はThe BugとGorgonnのユニッ

          G36(The Bug+Gorgonn)

          Selected 10 song of DJ SHARPNEL classics

          『History of Japanese Hardcore Techno』発売記念の第三弾として、本書におけるキーパーソンの一人であるDJ SHARPNEL氏の特集記事を公開。 SHARPNEL氏といえばナードコアの代表的なアーティストであり、J-Coreのパイオニアとしてハードコア・テクノに限らず、国内外の様々なジャンルのアーティストに多大な影響を与えた偉大な人物。国内でいち早くニュースタイルやハードテックを取り入れた作品を発表し、2010年代中頃には既にVRへと活動の拠

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          Gorgonn(G36/Devilman/Dokkebi Q) インタビュー

          3月2日渋谷Circusにて開催されるMURDER CHANNEL VOL.29に出演するGorgonnのインタビューを公開。去年リリースされたアルバム『Six Paths』についてや最近のライブセット、サウンドシステムのエンジニアリング、ドイツでの生活など興味深い話を聞かせてくれました。 MURDER CHANNEL VOL.29のADVをご予約してくださった方には特典としてGorgonn、CycheoutsG、Dubcontractor、codesight.の新曲が入手

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          History of Japanese Hardcore Techno - Mixed by TANUKI / ショートインタビュー公開

          『History of Japanese Hardcore Techno』のプロモーション・ミックス第二弾は、M-Projectとのコラボレーションや『J-Core Masterz』『Bastard Pop Terrorists』への参加で国内外のJ-Coreファンから高い評価を受けているイギリスのTANUKIがミックスを提供してくれました。 2000年代のメロディアスな初期J-Coreスタイルとマッシブさのある伝統的なUKハードコアを組み合わせたTANUKIのハードコア・

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          The SATANの華麗な変遷

          デスメタル〜スカルステップ/ハード・ドラムンベース〜ハードコアといったエクストリームなサウンドをブレイクコアに落とし込んだ邪悪で残虐な楽曲で人気を博していたロシアのSA†AN。 2010年代中頃からハードコア要素が強くなり、10年代後半からThe SATANと名義を少し変えてスタイルをハードコアにシフトしたことで大きく飛躍。 キッカケとなったのは2019年にオランダのハードコア・フェスティバルDominatorのMix CDを担当したことや、AngerfistとMiss K

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          3/2(土) - MURDER CHANNEL VOL.29@Circus Tokyo -

          私が主催しているMURDER CHANNELのイベントを3月2日渋谷Circusにて開催します。 MURDER CHANNEL からDokkebi Q、DevilmanとしてアルバムをリリースしているGorgonnがドイツから来日。インダストリアル〜テクノ〜スラッジ〜ドローンをDUB/ステッパーに配合させた唯一無二のSci-fiステッパスサウンドを展開するGorgonnのライブは必見です。 グラインドコア・バンドEgo FixとNEW WORLD、GOTH-TRAD、Ma

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          History of Japanese Hardcore Techno - Mixed by Shimon_Harbig - ショートインタビュー公開

          MURDER CHANNELから自主出版した『History of Japanese Hardcore Techno』の通常版をMxCx online storeにて販売開始しました。 Amazonや書店/レコードショップでの販売は予定していないので、MxCx Online Storeでのみ販売となります。ご興味があれば是非こちらからチェックしてみてください。 通常版の販売開始に合わせて、MURDER CHANNELからEPをリリースしてくれているShimon_Harbig

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          D&B SHOW-Localize!!- #537 : ニューロファンク&クロスブリード特集

          TETSUJI TANAKA氏とCARDZ氏がblock.fmにて行っている国内唯一のドラムンベース専門プログラムLocalize!!に出演させていただいた回がアーカイブ公開されました。NoisiaのレーベルであるVISIONからEPをリリースしたばかりのBillain、KAIZAN RECORDSのMC D2、Murder ChannelからMiyuki Omuraと自分が出演しており、こちらからアーカイブが聴けます。 ニューロファンク&クロスブリード特集ということで、自

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          Nine Inch NailsとNothing Recordsの業績

          Nine Inch Nailsのアルバム/シングルを発表していたNothing Recordsは、インダストリアル・メタルの歴史において最重要レーベルの一つであるのは異論ないだろうが、アメリカの音楽市場にエレクトロニカ~IDM~ブレイクビーツ・ダンスミュージックを広めたという功績もある。 Trent Reznor(Nine Inch Nails)とJohn Malm Jr.によってInterscope Recordsの傘下レーベルとして1992年に設立されたNothing

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          Ministryが日本のV系に与えた影響

          2024年3月1日に16枚目となるアルバム『Hopium for the Masses』の発売を控えているアメリカのインダストリアル・メタル・バンドMinistry。 バンドの中心人物であるAl Jourgensenは現在65歳であるが、未だ精力的にライブを行っており各国のメタル系フェスティバルに出演。去年はGary Numan、Front Line Assemblyとのツアーを成功させ、来月から再び怒涛のツアーが始まる。 2018年に発表された『AmeriKKKant』以

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