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孤島の窓辺から #020「それぞれの理由」

見た目で差別をしてしまうということは
よくあることですよね。

例えば茶髪だというだけで
不良だと決めつけられてしまうこともあるし、
僕なんかは過去に片耳にピアスをしているというだけで
同性愛者だと差別されたこともあります、、、笑

「人は見た目が9割」なんて本も出版されましたが、
視覚的なことで多くの世の中で成り立っている以上は、
やはり仕方ないことなのかなとも想いつつ、、、、

同時に何故そのような格好をしたり、
ものを身につけているのかの「理由」のほうが
大切だったりするのかなと。


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タイに仕事で出張に行った時のことを
思い出しました。

バンコクまで仕事に行った折、
せっかくだからと、東南アジアの海を眺めたいと思い、
滞在期間をのばして、そのままプーケットに行ったんです。

浜辺で一人、東南アジアの風を受けながら、
やはりこの孤島での今の自分のように、
物思いにふけっていました。

そんなプーケットのビーチで
ある少女と出会ったんですね。

水着姿ではしゃぎながら
明るい笑顔を振りまく人懐っこい少女。
笑顔で会話をしてくれるけれど、
無言になると、一瞬ふと遥か水平線の先を眺めるような表情をする、、、
どこかに闇をかかえる、そんな少女でした。

驚いたことが一つありました。

彼女の背中には、
植物と模様が組み合わさった複雑な模様の
タトゥーが背中一面に刻まれていたんですね。

最初はやんちゃな女の子なのかと思っていたのですが、
どうもファッションとしてタトゥーをいれていたのではない。

彼女は生きているために、
自分の心を支えていくために、
そのタトゥーをいれていたんです。

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タイではタトゥーを「サクヤン」といいます。
お坊さんなどの聖職者もその体に刻んでいて、
若者の中にでも、験担ぎとして刻む少女も多いのだそう、

彼女がいうには、
経済的に恵まれていない自分のような人ほど、
こういうものに思いを込めてすがっていくのだそう。

受け入れられない現実を塗り重ねるように
そのようにしてその「サクヤン」とともに
想いを体に刻んでいくのかもしれません。

彼女は、背中の文様について
明るい表情で話をしながら
この国で暖かい家庭を築いていきたいのだと
自分の未来を語ってくれたんです。

あれから数年が経ちました。

彼女は今頃、
どこで何をしているのでしょう。


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最近SNSを通じて、
あるタトゥーをしたフランス人教師の
ことを知りました。

彼は全身にタトゥーをいれながらも教師としても働いていて、
今、SNS界隈で賛否両論の意見が飛び交っているんですね。

写真を見ると、
思わずぎょっとする見た目だけれども、
やはりそのフランス人の教師を、
その見た目だけで解釈することなどできない。

その人がそうしていることには、
やはりその人の人生をかけただけの「何か」があるのだと。

全身刺青の彼は教師として、
なにを教えたいと考えているのか。

プーケットで出会った
少女の背中の模様を思い出しながら、
ふと空を見上げてしまうのです。




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刺激的な写真が含まれますので
興味のある方だけリンクからどうぞ
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「BBCニュースより」
France's most tattooed man told not to teach nursery children
https://www.bbc.com/news/world-europe-54333915


最後までお読みいただきありがとうございます。毎日時間を積み重ねながら、この場所から多くの人の毎日に影響を与えるものを発信できたらと。みなさんの良き日々を願って。