社員の6割超が管理職になることに前向き
今週、日経新聞で「ワクワク働いていますか」というタイトルの連載がありました。働きがいを追求する個人と企業の取り組みを取り上げたものです。前回の投稿に引き続き、今回も同記事に関連して考えてみます。
同連載から一部抜粋してみます。以下は、2月5日の「ワクワク働いていますか1 事業撤退、それでも表彰」からです。
以下は、2月7日の「「私も管理職になりたい」 カルビー社員、6割が前向き ワクワク働いていますか(3)」からです。
これらの取り組み事例から、改めて3つのことを考えました。ひとつは、一人ひとりの多様性・主体性を活かすということです。
前提として、一人ひとりがどのような特徴を持っているのか、認識・把握することが必要です。それは、本人の側と企業の側、双方に言えることです。
本人の側としては、能動的なキャリア自律が必要です。従来通り企業側に人材育成やキャリア開発のサポートを期待するとしても、どのようなキャリアの進み方ができるのかの可能性・選択肢が多様になりました。自分は何者でどうなっていきたいのか、そのために何に取り組みたいのかを、ますます能動的に考える必要があります。記事中にあるように、自分発で公募ポストや社外メンターを使っていくような姿勢が大切だと思います。
企業の側としても、先入観で相手を見ずに、一人ひとりを見ることです。「この世代は~」「うちの会社の社員は~」などの先入観で見ていると、各人材の職業観、スキル、マインド、強み、弱みなどの多様性は見えてきません。
例えば、一般的には管理職になりたいと思う人が減っていると言われます。管理職になりたくないと回答する人が7割以上という上記にある調査結果は、一般的に言われている傾向として私たちの肌感覚に合っていると思います。社員の6割超が管理職になることに前向きというカルビーはこれに真っ向から反する現状で、意外感と驚きをもってこの結果を見る人も多いのではないでしょうか。
「管理職」と一括りにしているだけでは、「得体の知れない大変そうなもの」と映るだけかもしれません。管理職に期待されている役割や成果は何かの定義、会社が提供できるサポートと自助努力に委ねることの定義、職務を明確にすることなどの取り組みで、興味とやりがいを見出す人もいることを、カルビーの例は示唆していると思います。
いわゆるジョブ型と言われる評価・賃金制度などにしていくかどうかはともかく、職務の明確化と組織としてできることのサポートは、どの会社にも共通して求められることだと考えられます。
先日の投稿「シニア層の人事制度を考える」では、シニア人材の積極的な活用のために人事制度改定を行うことの必要性を取り上げました。上記記事からは、改めてそのことも感じます。
2つ目は、幹部人材が輝くことです。
連載のタイトルは「ワクワク働いていますか」です。全社員とはいかないかもしれませんが、少なくとも大半の人材が生き生きと働いていないような会社では、新しく入ってくる人材が生き生き働きこうとはしないはずです。
時々、「部下が仕事でのステップアップにあまり意欲的でない。どうすれば意欲が持てるようになるだろうか」という質問を受けることがあります。私なりの答えは、「最も効くのは、上長であるあなたが生き生きと働くことではないか」です。上記記事で取り上げられた方は、すべてその点が共通していると思います。
3つ目は、まず成果を上げることです。
これは、若手人材にとって特に当てはまる視点です。
自分なりの思い描く仕事のイメージや、希望する職務があったとして、いきなりその機会が得られるとは限りません。会社は、その会社なりの商品・サービスをお客さまに提供し喜んでいただく、それも組織として行うことを営むための場です。チャレンジや新たな試みに臨むとしても、その大原則を度外視してまでジョブアサインをすることはできません。
上記記事で冒頭の社員の方も、営業サポートの職務で成果を上げたからこそ、やりたい仕事であるデータアナリストの職務に就くことができたという面があるはずだと想像します。
「目の前のお客さま(あるいは社内顧客)の困りごとが何かを考え抜き、それに応える」というエッセンスはどの職務にも共通しています。個人として長期的なキャリアビジョンを描いてそれを目指すことも大切ながら、「今、ここ」の職務に集中し、成果を上げることもそこへの道のりの一部だと認識するのがよいと考えます。
<まとめ>
「ワクワク働いていますか」の問いに対しては、個人・組織双方にできることの余地がいろいろある。
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