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「心に留めておきたい一行」を書き留めることで、自分自身を発見する。

 たとえ何気ない一行だったとしても、その言葉を読んだことで、自分の中で何かを発見する時もある。たとえそれが本の趣旨と違っていても構わない。その言葉自体だけではなく、その言葉から得た自分の感覚も大切にしていきたい。

 今までの自分の中で眠っていた何かに気づいたり、「これってこういうことなのかも」と気づいたりすること。言葉から「インスピレーション」を得ることは、読書の楽しみの一つでもあるだろう。

 たった一冊の本や、たった一行の言葉が、世界を変えてしまう。今まで見えなかった景色が見えるようになったり、聞こえてこなかった音が聞こえてくるようになったり、今まで味わえなかった味を味わうことができたりする。
 本の言葉は、自分なりの答えを見つけたり、自分の言葉を持つための架け橋となってくれるかもしれない。

 その一つ一つを、どんなに覚えていようとしても、時間と共に流れていってしまう。だから私は、心に残った言葉と、それを読んで感じたことを読書ノートに書き留める。自分の感じたことを深堀していくと、気づけば本の内容から逸れたりしてしまうこともある。


 中学生の頃、好きな言葉をメモ帳に書き留めて、壁一面に貼っていたことがある。それはやめてしまったが、最近そのことをふと思い出し、また言葉をメモ帳に好きな言葉を書いて、集めてみようと思った。
 そして私は「言葉のスクラップブック」を始めた。好きな言葉を忘れないために、お気に入りのメモ帳に書いて、スクラップブックに貼って、言葉を集めていくことにした。

 コレクター気質な私は、言葉を集めるのが楽しくて、日毎に増えていくのを感じるたび、なんだか嬉しく思えてきた。
 手書きで、ペンで、言葉を書き写す。シンプルな動作の中には、その言葉の意味が腕を伝わって、自分の心に直接届くような感覚を覚えた。一つ一つの言葉とまっすぐに向き合うことができるような気がした。


 影響を受けたり、何か気づきを得る読書に限ったことではない。その感覚を表現したり、受け取る媒体には、さまざまな形があるのだと、読書をするようになって、気づくようになった。

 たとえば、本や音楽、一枚の絵や写真、映画やドラマ。あるいは、毎日の散歩道で見える朝の景色、朝の一杯のコーヒーの匂い、舞い散る桜の花びら、お気に入りのパン屋さんで買ったサンドイッチの味の中にもあったりもする。

 読書で得た感覚を、言葉じゃ表しきれなくて、音楽にする。音楽で得た感動を、言葉にせずにはいられなくなる。美術館や展覧会へ行ったとき。映画を見に行ったとき。大好きなアーティストのコンサートやライブへ行ったとき。一冊の本を読んだとき。

 見える景色も、聞こえる音楽も、世界がガラリと変わってしまうような衝撃が走るときがあれば、部屋に一輪の花を飾って、毎日にほんの少し彩りが加わるようなときもある。

 それは目に見えるものよりもずっと不確かで、だけどすごく大切なもの。目に見えないから、失っても気付きにくいけど、それを得るだけで「ああ、ちゃんとここにあるんだ」とわかるから不思議だ。


 誰かの言葉を盲信するのではなく、いろんなものから吸収して、自分の軸を築いたり、感情を育てていく。
 自分の言葉を持って生きること。自分自身を見つけるために、いろんな言葉に触れて、いろんな言葉を集めていきたい。

 さまざまな言葉や音楽、絵や写真、景色や匂い、味など、いろんなものに触れる。本を読んで、読書ノートを書いたり、日記をつけたりする。感じたことを書き留めていく。言葉を通じて得た自分の感性は、きっと一生の宝物になってくれるはずだ。


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