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子宮頸がん予防ワクチン フィンランドの接種率などについて

基礎情報

世界では通常、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンと呼ばれるこのワクチン。

はじめから政治的態度で臨むのではなくて、基本情報を押さえた上でものを考えなければ意味がないので、改めて調べてみた。

日本の厚生労働省のサイトから要点を抜粋 ↓

●HPVはごくありふれたウイルスで、性行為の経験がある女性のうち50%~80%は、生涯で一度はHPVの感染機会があると推計されています。

↑※ちなみに数値の出典は海外での調査研究による推計。こうした推計が、どれほど日本人に当てはまるのか。まさか日本人だけが特殊な環境にあるとか、特殊な性行動をしているとか、特殊な体質を持っているなどとは毛頭言うつもりはないが、要するに、日本は日本独自で調査をしたらどうか、と思う。何らかの機関が既に行っているのだろうか?

●ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、90%以上の場合、2年以内にウイルスは自然に排出されるとされています。しかし、ウイルスが自然に排出されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合には、がんになることがあると報告されています。

●HPVが持続的に長く感染し続けると、子宮頚部の細胞に変化が生じて、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成・上皮内がんという前がん病変を経て、数年かかって子宮頸がん(浸潤がん)が発生することがあります。

●子宮頸がんの患者さんは、年間10,000人程度(2008年)と報告されています。子宮頸がんで亡くなる方は、年間3,000人程度(2011年)と報告されています。

↑※患者数、死亡者数については日本国内のデータ。

●子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(16型と18型)などに持続感染等の予防効果をもつワクチンです。現在、サーバリックスとガーダシルの2種類のワクチンが販売されており、これまで、16型と18型の感染やがんになる手前の異常(異形成)を90%以上予防したと報告されています。

日本では厚労省が積極的な推奨を控えてきたため、近年のHPVワクチン接種率は1%未満とかなり低いという。

なぜ推奨が控えられているかは、私がここに書き出す間でもなく、ウィキペディアに詳しくまとめられており、ここを読むだけでもHPVワクチン接種のリスクについてよく分かる。

しかし。これからフィンランドの一例を紹介するように、世界では接種率の高い国も多く、決して日本の状況がスタンダードなわけではない。

前置きはいいからさっさとフィンランドの接種率を出せよ、という方、お待たせしました💦

フィンランドでの接種率は約70%

フィンランドの接種率は近年の調査結果では69.7%(2006年生まれの女子対象)。ただし地域によってかなりばらつきはある。

以下のサイトで簡単に見ることができる。

さらに、最新のニュース(2019.10.21 国営放送yle)は、接種率が90%に及ぶ地域もあれば、50%を下回っている地域もあることを伝えている。自治体や医療関係者の力の入れ具合に差があるのだろう。


しかも、ワクチン接種は国家的予防接種プログラムになったことが認知されたため、今後学校は、これまでは必要だった保護者の「許可を取る」という手続きを踏むことなく、子どもたちに接種させることができるようになるという。(2018.8.15日のyleニュース記事より)

※フィンランドのワクチンが、日本で現在使用されているワクチンと同じ種類のものかどうかは不明。

じゃあ、ワクチンに反対する親の意見はどうなるのか。そのことはこの記事には書かれていないが、おそらく、親が事前に家庭の意向を申し出るなり、子ども自身が「受けたくない」と意思表示すれば、受けない自由が許されるのだろうと私は推測している。いくらなんでも100%強制はなかろう?

フィンランドでも、もちろん日本同様、副作用を心配したり、ワクチンの必要性を認めない保護者もいる。

異なるのは、フィンランドでは日本のように「このワクチンは副作用があるのだから接種すべきでない」「いや、ワクチンで防げる病気なのだから接種すべき」と、極論でお互いをつぶし合うような対話を見ることが少ないことだ。

あくまで「私は、受けない」「私は、受ける」という自己決定の態度が基本のようだ。

え、看護師が?インフルエンザワクチン接種を拒否

2015年にはこんな報道もあった。ある病院で、インフルエンザワクチン接種が積極的に推奨されているはずの看護師たちの接種が25%に満たなかったというのだ。「体に良くない」などの信念が接種しない理由だったようだ。

さらに、上記の記事に後日談はないが、私の家族の話によると、最終的には「接種の強制はできない」として、看護師側の主張が世間的に認められたそうである。もちろん、医師たちはそうした主張をナンセンスだと批判しているが。

こうした報道も影響しているのどうか分からないが、データによるとインフルエンザワクチンの実施率は年々増えてきており、2018-2019年シーズンの調査では42.5%。ちなみに日本は平成29年のデータでは49%。


全体主義にも反科学主義にも陥らないよう…

一般的にワクチン接種というのは、インフルエンザワクチンに代表されるように、一定以上、より多くの人が打つほど集団において感染が減ると考えられ、公益性が高いものとされている。

※ただし近年ではインフルエンザワクチンは重症化を防ぐ効果があるもので、感染そのものを防ぐものではないことが認められている! 以下、厚労省のサイトより抜粋↓

インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。~中略~インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。

一方で、次のような見解もあって、悩ましい。集団接種には集団免疫をつくる効果がある、という。これが正しければ、インフルエンザワクチンを接種するのは自分のためというより他人の命を救うため、ということになる。

私は自身の体験と信念からワクチン接種という予防法自体に抵抗を感じていて、インフルエンザワクチンももうずーっと接種していないが、実はこれは、全体主義に対する抵抗も含んでいるかもしれないと、今回この記事を書いていて気付いた。

しかし全体主義のにおいを敏感に感じ取りすぎて、反科学主義に陥り、自分自身にとって安全性が高く有益なワクチンさえも拒否してしまうことはおそらく愚かなことだろう。

政治の問題である前に、科学の問題としてとらえる。そして自己決定する。

ワクチン推進派に利権があるのではと疑ったり、逆にワクチン反対派を「非科学的」と馬鹿にしたり、お互いに否定したくなるのはよーくわかる。

しかし、こういう健康に関わることばかりは、他人がどうするかよりは、自分で納得できるまでデータを調べて態度を決めるしかない。

万が一利権が絡んでいるにしろ、いくらなんでも「明らかに副作用の危険性が高く、予防効果を全く期待できない」ようなものには医師も乗っからないわけで、むしろ他のいかなる薬剤と同様に副作用の危険性はあっても、確かに効果も望めるものだからこそ、利権に乗っかるということもできるのであろう・・・と私は考える。

ワクチン接種をすすめる医師は副作用が出た場合の対処法まで十分に研究し、具体策を準備することを責任とし、その上で患者さんにすすめてほしい。

より副作用が低くより効果的なワクチンが開発されることや、子宮頸がんへの医療が進歩することを願う。


いくら「唯一の正解」を求めても、科学、医療は常に発展途中のものではあるし、医者は医者の立場でものをいうし、厚労省は厚労省の立場でものをいうだけだ。

少なくとも国は「みんな接種すべし」といった強制的態度を取るべきではないのはもちろん、専門家であり人を病から救うことを存在意義とする医師たちに対して「ワクチン打つな」といった抑圧もすべきではないだろう。

実際に日本の厚労省は積極的に推奨しないという態度をとっていて、それで妥当だと私は思う。WHOは推奨すべきと警告しているようだが…。

これは通常の医療現場と同様、各医師の責任や信頼と、個人の自己決定に任せられる問題ではないか。

今後、他の病気に対しても有効なワクチンが出てくるかもしれないので、振り返り用に記しておこう。

①自分で情報(データ)を確認すること

➁自分の体質や病歴、年齢等を考慮すること

③どのリスクを取るか考えること

・「接種して副作用が出るかもしれない」リスク

・「接種しないことで防げる病を防ぐことをせず、ある病を患う可能性が高まってしまうかもしれない」リスク


★私が参加している「れいわ新選組応援団inErope」(※実際にはヨーロッパ圏外にも広がっています)関連のブログです。フィンランド以外にも各国の政治、文化状況を知ることができます↓