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キングスマン:ファースト・エージェント


久しぶりに映画を観てきました。
キングスマンです!!

キングスマンシリーズはかなりファンで
一作目の興奮は忘れません。笑
元々007とかスパイモノは大好きですが
特殊メカとか秘密の部屋とか
そういうのって映画好きは大抵ワクワクするものです。笑

今回はちょっと大いにネタバレあるので
それ踏まえて読んでください!!



史実に基づいた歴史アクション映画

今回のキングスマンは、今までのキングスマンの
始まりの物語です。
つまりエピソード0ってことですね。
最近流行りですよね、ゼロ系。

他の方のレビューで

俳優の華やかさもアクションの爽快さも
シリーズの中で一番欠ける、正直残念

みたいなのものを見つけました。

めちゃくちゃもったいない見方してる!
って思いました。
だって今回のキングスマンは
ただのキングスマンではないからです。
キングスマンという歴史の中の始まりではなく
歴史になぞらえた列記とした史実映画でした。

まあもちろん完璧ではありませんし
ちょっとコメディー要素も交えたなぞらえ方
ではあると思いますが。

でもかなりちゃんとなぞって行くんです。
出来事も事の顛末も。
南アフリカのボーア戦争を幕開けとして、
キッチナーがボーア人(オランダ系移民)の収容所に居たりしますが、
彼は実際にボーア人虐待を黙認していた
と言われてたりします。
「BRITONS wants YOU」の募兵ポスターは、
まんまだと思います。笑
私も世界史に詳しいわけじゃないですが。

ロシアに向かう装甲巡洋艦ハンプシャーは、
モートンの裏切りにより、ドイツ軍Uボートの魚雷で
撃沈されます。
この今回の最大の悪役モートンは
後にドイツ軍工作員となったボーア軍軍人である、
フリッツ・ジュベール・デュケインフリッツ・ジュベール・デュケインという
実在した史上最悪の工作員と言われた男が
モデルだそうです。
この男の人生は波乱そのものだそうで、
実際に「キッチナーを殺した男」として知られています。

ボーア戦争時代、キッチナーはイギリス軍の総指揮官。
その指示による焦土作戦で、デュケインの両親の農場は
焼き払われ、妹はレイプ後殺害され、
母親はボーア人の収容所で亡くなっています。
これがデュケインに反英国精神を植え付け、
更にはキッチナーへの復讐心へとなる訳です。

現時点では真偽が定かではないにせよ、デュケインは紆余曲折の末、
ドイツ軍工作員となり(これは事実)、
キッチナーが乗船する巡洋艦ハンプシャーにスコットランドで乗船。
待機中のUボートに海上から合図を送った後、
救命ボートで脱出。
Uボートはハンプシャーを魚雷で攻撃後、
デュケインを回収した、と言われており、
ほぼ、まんまが映画では再現されてました。

こんなほぼ完璧になぞらえた史実を
既存のアクション映画【キングスマン】に落とし込むって
凄いことだと思いませんか?!

モートンはスコットランド人という設定で
デュケインはフランス系のボーア人ですが
デュケインは実際に第二次世界大戦中に
「デュケインのスパイ網」なる組織を自ら組織し、
米国でドイツ側スパイとしての工作活動を行っていました。

その他にもラスプーチンとかヴィルヘルム2世とか
歴史上の悪をそのまま悪役にして進んでいく
大英帝国主義的映画かと思いきや甘っちょろくない。
死ぬ時は、誰であろうが死ぬ。
情け容赦ありません。
自国の歴史にも手厳しい。
大英帝国の血塗れの歴史にも突っ込んでましたね。

ラスプーチンと対決するシーンは、単純にめちゃくちゃ笑いました。笑
流れる曲に合わせてダンス仕立ての殺陣で
ラスプーチンが肉体派アクションを見せてくれます。
本物のラスプーチンが剣を使えるかは知りませんが
キングスマンらしいアクションシーンで
爽快さもあって、ここが一番面白かったかも。

ジョージ5世、ヴィルヘルム2世、ニコライ2世が
トム・ホランダーによる一人三役もよかったですね。笑
これも思わず笑っちゃいました、悪意ある演出で。笑

ただこの映画が面白かったな〜で終われる理由は
「あくまでモチーフ」にした「軽い」娯楽作品だというところ。
骨格だけ取ってあとはキングスマンのアクションコメディーに徹する。
下手に複雑化してないのが気軽に楽しめる映画になったミソだと思います。

本編シリーズにはないシリアス

「悪」は双方向性。
つまり、私達から見れば彼らこそが「悪」であっても
あちらから見れば私達こそが「悪」。
だから、戦争に正義は無いわけです。

ただただ、若者の命が使い捨てられる。
戦争とはそういうものだと、西部戦線の描写は
かなりリアルで下手な戦争映画よりも真に迫っていました。

ラストのヒトラー出てくるところも。
確実に、あの山羊は「絶対悪」。
レーニンとヒトラーの両者を操るってのは
さすがにアレですけど、戦争する両者を煽ったり
迂回支援したり、ってのが現実の現代社会な訳で。
ラストは、そこにチクリってことでしょうか。
嫌味ですよね。笑

息子が死んだ時は残酷だと思ったけど
ほれみたことか、お父さんの言うこと聞かないからだぞ
とも思ったし。
清々しいほどの偽善固めた英国貴族だけど
戦争という巨悪の前では可愛くも見える。

サラッと重い。程よい重みとテンポ感だと思いました。


ある程度理解できる

前述したようにあくまでモチーフなところが
この映画が楽しいと思える要素の大きな理由だと思います。

「貴族階級殲滅」というある程度理解できる大義があり
悪には悪の正義があり。
物語も段階を程よく進行して、誰でも理解しやすくしていて
アクションもちょうど良い。

とりあえず、ノン・ストップ・アクション・エンタメとしての完成度も
一見偽善的にも見えるメッセージ性も
上手く塩梅が取れていて面白かったです。

過去作を見返したくもなりますよね。
ここからあのスパイアイテムたちは生まれていったんだなぁとか。
靴からナイフ出るやつとか、今回のことで
やっぱ必要だなとか思ったんだろうなぁみたいな。笑

とにかくかなり面白かったです。
シリーズ見てない方も単体映画として十分楽しめると思います!


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