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おすすめ作品集 (日常編)

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マガジンの「変わりゆく日々の思い」の中からスキが多かったものと私のスキな作品をまとめてみました。
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それぞれの朝、幸せのカタチ

朝のコンビニの駐車場 今日は平日だけど私はお休み なんとなく家にいたくなくて コンビニで買ったパンとコーヒーを 車の中でモグモグする  私の前にはたくさんの人や車が 行き来している ブカブカな制服の中学生の女の子が ゆるい坂を必死に自転車を漕いでいる 幼稚園バス 高校のスクールバス 病院のバス 近道をしようと駐車場を横切って 車をスイスイと避けてゆく  高校生の男の子 険しい顔でお店から出てくる 中年のサラリーマン いつもコーギーを散歩させている 近所のコーギーおじさん

それでも空は変わらず青い

何をやっても上手くいかない がむしゃらに頑張っても 力を抜いて、ほどほどにやっても 全て上手くいかない たくさん断捨離もしたし 水廻りもキレイに掃除してる レジでお金を落としたおじいさんと 一緒にお金を探して見つけたし 道に落ちてた落とし物も交番に届けた 人に親切にしている方だ 引き寄せの本をたくさん読んで YouTubeもたくさん見て 実践してみた 何も変わらない いったいこの停滞期は いつまで続くんだろう ほとんど投げやりになって 今日一日何もやらないことに

猫の額とスズメの涙

今日がついてない一日でも 今までが冴えない人生だったとしても 明日、何かが変わるかもしれない 周りの人の言うことなんか 所詮、猫の額ほど視野の狭い人の 価値観の押し付けに過ぎない ただの嫉妬かもしれない だから私の可能性とは 何の関係もない そんなことをブツブツ言いながら キッチンのシンクを  ピカピカに磨き上げた 秋の少し冷たい風が 窓の白いカーテンと遊んでいる 何も考えなければ 穏やかな空間なのに 「私何やっているんだろう」 汗ばんだ額をタオルで拭きながら

夜猫

今日も忙しいだけの1日が終わる 仕事帰りにコンビニでお弁当を買う ここ何日か疲れすぎて 自炊できない自分に嫌気がさす 人気も車もない夜の車道は 信号の色の変化が 時間の流れを教えてくれる 信号を待ちながら 「ふぅー」とため息をつく 私はガラクタ だから自分が大嫌い 愛した人から 毎日雑な扱いされてきたから 幸せそうな友達は 可愛くて頼りなくて 私から見ても 守ってあげたくなる でも、私は全てが冴えない まともにやっているつもりだけど パートナーはいつも不機嫌 私をバカ

優しさの無駄遣いにサヨウナラ

長い間、私は  優しさを無駄遣いしてしまった 優しさに気付かない鈍感な人 私を傷つけても何とも思わない人に 私は必死になって 優しさを与え続けてしまった 気付かなかった それが正しいと思っていた  その行動が何一つ実にならない 後になって残るのは 果てしもない虚しさだけだと 今になって、ようやく理解ができた もう、これからは何も与えない 文句をたくさん言われても構わない その人と離れても構わない 優しさを与える相手を 自分に変えてみることにした 自分に優しくした

夕陽に浮かぶ雲に願いを

スーパーのレジの行列から解放され 食材の入った重いエコバッグを車に積む 車のハンドルに手をかけたら 目の前に眩しいオレンジ色の夕陽 今日も忙しさに振り回されるだけの 1日が終わろうとしている 深くため息をつく私 幸せを望んで作り上げた生活が いつしか1人の人間だけが幸せで 残りの家族は幸せのふりをする そんな生活になってしまった 家族のためにと必死に支えてきたのに 私のどこが悪かったのだろう オレンジ色に染まる空を見ていたら 声を出して泣いていた もう私には 幸せなん

気付かなかった小さな幸せ

人気のない駅のホーム 4人がけのベンチに腰を下ろす 秋なのに凍えるような冷たい風 丸めて捨てられたティッシュが コロコロと風に遊ばれている 灰色の空に黒い雲が 少しずつ近づいてくる 私は深くため息をつく ふと思い出すやり切れない思い どうにもならない重い現実が 頭いっぱいに埋め尽くされる 俯いたまま薄汚れたスニーカーを じっと見つめるうちに 涙が溢れてこぼれ落ちた 打ちのめされた私の心に 冷い風が深く染み込んでゆく いつまで私は暗い現実の中で 凍えたまま立ち尽くしてい

いじわる鏡

家の収納の扉に付いている細長い鏡 服を着て前に立つと いつもガッカリする すごく太った体と すごく不細工な顔 ため息を付かない日はない 洗面所の鏡は少し細く映る でも照明の関係で 目の下のクマがひどく目立って 体調も性格も悪い人に見える まるで自分の欠点を 指摘されているみたい でもスーパーとかレストランの鏡は 優しい鏡が多い 顔色やクマの欠点が無くて 体型も思っている程太いわけでもない 他の人の目に映る私は どんな風に映っているのだろう 何をやっても不器用で 優れ

きっと私は海の魚

時々ふと思う 私は何のために生きているのだろう 私が存在する理由は? そんなことを一日中考えてみても 誰も教えてはくれないし 空から降りてくる訳でもない 周りの人達は 楽しそうに過ごしているのに 私だけが透明な厚い壁に覆われて 異空間に閉じ込められている感覚は いったい何なんだろう 無理してその異空間を打ち破って 楽しそうな人たちの側に近寄っても 拒否されて傷つけられ バカにされる 私っていったい何なんだろう きっと私は海の魚 私が今いる場所は湖の中 息苦しいのは仕方

小さい頃は雨が好きだった

雨が上がった 雲の隙間から見える深い青 足を止めて傘をたたむ 足元には大きな水たまり 私は深いため息をついて もう一度空を見上げる 小さい頃は雨が好きだった 傘を差しながら 長靴で水たまりの中をザブザブと 何往復もしていた 気がつくと雨はやんで 水たまりに映っている虹を いつまでも見ていたあの頃 もう戻ることのできないあの頃 いつの頃か虹を見つけても 何もないかのように下を向いて  歩き続ける自分 雨なんて大嫌い 何でこんな風になってしまったんだろう 突然、子どもの笑

真夜中のアップルパイ

突然、夜中に目が覚めた もう一度眠ろうとしたのに モヤモヤした現実を思い出す やれることは全力でやってきた でも失敗することがたくさんあって 上手くいったことは誰かに奪われる 傷つく事ばかりで 状況は何も変わらない 川に浮かぶ葉っぱのように 逆らう事なくただ身を任せて 時の流れにゆっくりと流されていれば 運が味方してくれるのだろうか いつも自慢ばかりしている人は なぜか運がよくて 大した努力もしないのに 簡単に幸せを手に入れる 何も言わずに 周りの人に気を使って ただ黙

自由で素直になれたなら

突然パラパラと降り出した雨 急ぐことなく雨に打たれながら ゆっくりと歩く帰り道 濡れたアスファルトの匂い 小学校の夏休みの プールの帰り道みたいな 軽いだるさと重い荷物 控えめな風鈴の音が  暑い風の中で漂っている 疲れきった日常と 心の中のモヤモヤを 雨が流してくれればいいのに まがり角を曲がると 黄色い傘の少年が 傘のない私を見て傘を放り出す 雨に打たれながら 両手を広げてグルグル回ってる ケラケラと笑って楽しそう 私もつられてクスッと笑う 私もあの子ぐらいの頃

料理って魔法みたい

「料理って魔法みたい」 私が小さい頃、母に言った言葉  その日から私は料理が好きになった いつも褒めてくれない母も 料理の時は優しく笑って褒めてくれた 大人になった私は 夫とその家族に料理を作った 負けず嫌いのおばあちゃんが 「味がない。美味しくない」と毎回言った 他の家族は何も言わない 時の流れと共に 夫は自分の買ってきた スーパーの惣菜を褒めるようになった 時間をかけて作った私の料理は まるでエサのように テレビを見ながら口に放り込む 「こうすると、もっと美味しいよ

不器用な鯉

大きな公園にある草木に囲まれた池には たくさんの鯉の群れがいる 鯉たちは少し背びれを出しながら 水面に映った空と雲を次々と消してゆく エサの袋を手にした子どもたちが 鯉に向かって餌を投げる 一粒づつエサを与えて幸せをじっくり味わう少女 隣にいた少年は右手にいっぱいエサをつかんで 思いっきり鯉に投げつける 少年の幸せの時間はあっという間に 池に飲み込まれてしまう 大人になってしまった私は3粒ずつエサを投げる 大きな鯉たちがどんどん集まり 足元の水辺で暴れだす 私は場所を変え、遠