見出し画像

メイイちゃ~ん

男友達二人。
 
ひとりが相談があると、
家までやって来た。
 
友人の部屋。
 
「ちょっと…聞いてくれる?」
「どうした?」
 
「俺…病気みたいなんだ」
「なにいきなり。
 どうした?」
 
「いや…聞いてほしくて…」
「いいよ、聞くよ。
 どこ悪いの?」
 
「ちょっと…」
「なに?言いにくい病気?」
 
「まあ…」
「でも俺に聞いてほしいんだろ?」
 
「うん…」
「大丈夫。
 おどろかないから、言ってみ?」
 
「ほんと…驚かない?」
「だから驚かないって。
 長い付き合いだろ?」
 
「そう…。
 じゃあ、言うね」
「おお」
 
「実は……精神系の…」
「精神系?」
 
「いいや、やっぱり」
「なんだよ。
 もう精神系まで言ったら、
 精神科にかかるような病気って、
 わかるよ」
 
「そうだけど…馬鹿にしない?」
「しないよ。
 お前は手作りプレゼント渡す前の女子か?」
 
「だってぇ…」
「なんで俺の方にせて、
 甘えた声出してんだよ。
 驚かないし馬鹿にしないから、
 言ってみろって」
 
「じゃあ、勇気をしぼって言うね」
「もうすっかり告白じゃねえか」
 
「実はもうすぐ、記念日じゃない?」
「おい!
 この恋人設定何なんだ!
 それに記念日ってなに?!」
 
「間違えた、入社日だった」
「どういう間違いだよ。
 ああ確かにもうすぐ入社日だな。
 それが病気と関係あるのか?」
 
「うん……実はそれが不安で…」
「それでか…心の病って…。
 まあそうだよな。
 お前、内定もらうの相当苦労してたし。
 途中、もう就職活動したくないって、
 何度も俺んちに来てたもんな」
 
「そう。
 あの頃は本当につらかった。
 でも175社目でやっと貰えた内定で、
 もう天にものぼる思いだったよ。
 あの頃は舞い上がっていた…俺。
 でも、入社日が近づいてきて…
 内定貰った会社のHPホームページ見てたら、
 本当にこの人で良かったのかなって…」
「んん?ひと?」
 
「不安になって会社名でエゴサーチしたの。
 そしたらコメントらんれてて…。
 大量のコメントが…。
 ●黒より黒いブラック企業です。
 ●会社も黒なら上司も腹黒。
 ●上司が喪黒福造もぐろふくぞうに似てる。
 ●入社したら僕しかいませんでした。 
 …ひどい…あんまりよ。
 でもせっかくのめぐり合せだから、
 もう一度信じてみようと思うの。
 どう思う?」
「何で一度別れてり戻すような話に、
 なってんだよ!
 完全にヤバイ会社じゃねえか!」
「だって…」
 
「だってじゃねえよ!
 それによくさっきのコメント見て、
 よく思い直せたな!
 あれ見たら100%きっぱりあきらめるだろ普通」
「良いとこもあるんだよ…」
 
「良いとこ?
 良いとこって何だよ?」
 
「週に1回休みがあるの」
「どこでもあるよ!
 むしろ週2で普通だよ!
 めるのは週3からだよ。
 お前、そんな会社やめとけって。
 それで気持ちをんだのなら、
 なおさら行くべきじゃねえだろ」
 
「そうなんだけどね…」
「通院したんだろ?
 医者にも何か言われたんじゃねえの?」
 
「親しい人に心の内を話してみては、
 どうですかってアドバイスされた」
「そうすればいいじゃん。
 もうここまで聞いたら驚かないし、
 俺はお前の友達で、
 一番の味方だぞ!
 なっ!心配しないで言ってみろよ。
 病名…ちゃんと聞いてやるから」
 
「じゃあ、言うよ」
「ああ」
 
「どうやら僕……」
「……」
 
「ふたつき早い、
 五月病なんだって」
「そんな病気知らねえよ!」
 
 

このお話はフィクションです。
この記事に登場する人物・団体は架空のものです。

この記事が参加している募集

今こんな気分

お疲れ様でした。