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なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか? 言語学者、小学生の質問に本気で答える/川原繁人(2023/07/21)【読書ノート】

言語の本質に迫る、小学生からの素朴な疑問の数々。授業をのぞくような感覚で読むうちに、ことばの旅は始まっている!小学生からの質問に、言語学者が本気で答えます!
Q.パピコ、ポッキー、アポロ、チョコパイ…etcお菓子の名前にパピプペポが多いのはなんで?
Q.日本語には「゛」「゜」が付く文字と付かない文字があるのはなんで?
Q.「にぴき」「ごぴき」はなんで間違いなの?
Q.日本は「にほん」と呼べばいいの? 「にっぽん」と呼べばいいの?
Q.ポケモンのピィとグラードン、なんでグラードンのほうが強そうなの?
Q.岩手のおじいちゃんのしゃべり方が違うのはなんで?
著者が実際に小学校でおこなった特別授業を書籍化!小学生の純粋かつクリティカルな疑問に答えるうちに、メディアも注目する新進気鋭の言語学者に新たな発見が。言語学をもっと身近に、もっとわかりやすく!
\俵万智さん推薦/ただでさえ⾯⽩い川原先⽣のお話が、さらに分かりやすく刺激的になっている。⼩学⽣はもちろん、かつて⼩学⽣だった⼤⼈にも薦めたい。


川原氏は、音声学の基礎からフリースタイル言語学まで、幅広いトピックを扱っており、そのアプローチは多岐にわたります。特にこの本では、小学生からの素朴な質問に答える形式をとっており、言語学の面白さを伝えるとともに、子供たちの言語に対する感性を大切にしています。
言葉に関する小学生の質問に答えることを通じて、言葉の世界の奥深さと面白さを探っています。例えば、「なぜお菓子の名前にパピプペポが多いのか」や「濁点のある音とない音の違いは何か」など、子供ならではの疑問に対して、川原氏は誠実に、そして面白く答えています。これらの回答は、子供だけでなく大人も楽しめる内容になっており、言語学の魅力を伝える一助となっています。
川原氏は、学術的な研究だけでなく、ラッパーやメイドカフェ、さらには国際ポケモン学会など、様々な分野での活動を通じて、言語学の面白さを広めています。これらの活動は、言葉の研究がどれだけ多面的で魅力的であるかを示しています。また、社会学者との対談を通じて、言葉に対する異なる視点を提供し、読者に新たな発見を提供しています。
小学生の質問に真摯に答えることで、言語学の魅力を伝えると同時に、読者に言語への愛を深める機会を提供しています。川原氏の多様な活動は、言語学の学びがいかに豊かであるかを示しており、本書を通じてその魅力を多くの人に伝えています。

この本は、言語学者が小学生の質問に本気で答えた内容をまとめたものです。私たちが普段何気なく使っている言葉にも、さまざまなルールや歴史があることを発見できます。特に、お菓子の名前に「パピプペポ」の音がよく使われる理由について掘り下げています。
パピプペポの起源
昔は「パピプペポ」の音が日本語にはなく、外国語から多くの単語を借り入れることによって、これらの音が新たに必要となりました。その結果、この音を表すための文字が作られたとされています。
お菓子の名前と外国語
近代になり、外国語の単語を日本語に取り入れる際、「パピプペポ」の音が含まれることが多くなりました。このことから、お菓子の名前にも「パ」「ピ」などの音が頻繁に用いられるようになったと考えられています。例えば「チョコパイ」「アポロ」「ポイフル」などがその例です。これらの音は外国語由来であるため、日本人にとって外国っぽい響きを持つとされ、お菓子のネーミングに活用されることが多いです。
言語と子供たち
子供たち、特に赤ちゃんは、発音しやすい音から言葉を覚え始めます。「パ」や「マ」のような音は唇を閉じて開く動作で出すことができ、初期の言語習得に適しています。これは、子供向け番組や商品の名前にも反映されており、「プリキュア」のような番組名にも「パ」「マ」の音が多用されています。
ポケモンの名前と進化
さらに、ポケモンの名前とその進化に関する面白い研究が紹介されています。ポケモンが進化すると、その名前に含まれる打音の回数が増える傾向があるというものです。これは、進化によりポケモンが大きくなることと関連しており、大きくなることで発音時の口腔内の空間が広がり、低い音や大きな音が出やすくなると考えられています。
本書は、言語学の視点から日常生活に潜む不思議を解き明かし、特にお菓子の名前や子供向けコンテンツに見られる特徴的な音の使用について深く掘り下げています。日常に隠された言語の秘密を知ることで、言葉を見る視点が変わるかもしれません。

00:00 初の試み「ちょいガチ言語学ラジオ」
03:38 そもそも音韻論ってなに?
21:12 「にせたぬきじる」と「にせだぬきじる」
34:21 具体的なテーマ : 外来語からラップまで
47:46 音の並びは意外と制約だらけ
1:13:06 「いっひき、にぴき」はなぜダメなのか
1:27:25 激震を与えた最新理論 : 最適性理論
1:55:38 音声学と音韻論の違いが沼なワケ
2:03:51 最適性理論の柔軟さゆえの問題点
2:10:33 最新理論はどこに向かっていくのか
2:40:47 音韻論を学ぶためのオススメ本
2:50:18 川原先生を言語沼にハメたもの
2:57:02 これから勉強する人へのメッセージ

目次

言語学的ラップの世界

日本語ラップをこよなく愛する言語学者が、韻に込められた「ことば遊び」を分析する言語学エッセイ。Mummy-D、晋平太、TKda黒ぶちへのインタビューも収載。
本文より:学生時代の私は、ただ日本語ラップが好きだった。好きなラップを聴いているうちに、いつしか自分で韻の仕組みを分析するようになっていった。その頃は、何か見返りを求めていたわけではなく、ただただ好奇心に導かれて研究していた。しかし、そんな研究は少しずつ有名になっていき、いつの間にか自らの分析をプロのラッパーたちに披露する機会にも恵まれ、メディアに出演する機会も多く頂くようになった。近年では、日本語ラップを大学教育に取り入れる意義を強く感じるようになり、数多くのラッパーを授業にお招きして、様々なことを言語学者として――そして大学に身を置く教育者として――考え続けている。日本語ラップから我々が学べることは、多岐にわたる。日本語の構造を見つめ直すこともできれば、アメリカの社会状況を理解することもできる。さらに、コロナ禍のようなストレスが溜まる状況で前向きになれる力ももらえる。本書では、これらの「ラップを学問する効用」について具体的に伝えていきたいと思う。



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