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薬膳で健康な毎日を。

心も体も健康に過ごすために、食事を見直すことはとても重要です。食べたもので体はできているからです。

不調を感じた時は何か原因があり、それは季節や環境によって変化したり、自身の体質にも影響を受けます。

最近では、腸活や断食のすすめもあるように、腸内環境を整えることも、心と体の健康に重要と言われてきています。
食べたものの栄養を吸収する臓器を整えることは最優先です。
まずは、寝る前のドカ食いをやめる、空腹の時間をしっかり作るなど、基本的なところから食生活を改善するように意識してみましょう(健康成人)。

また、以前投稿した気血水や五臓について、自分の体質やバランスを知っておくと、食生活を含めた生活習慣の見直しに参考になるかと思います。

タイトルにあるように今回は薬膳について紹介します。

薬膳は体に良いものと認識されがちですが、それぞれ期待される作用が異なるので、各特徴を知っておくと自分に合った最適な食材を選べます。

薬膳といってもたくさん食材があるので、今回は薬膳として有名な食材を使ったレシピと使用している薬膳の特徴をまとめます。

各薬膳について

今回紹介するレシピに登場する薬膳についていくつか解説します。

①クコの実

世界三大美女のひとり、楊貴妃が毎日食べていたといういわれのある美容フードのクコの実。
実を乾燥させたものは「枸杞子(クコシ)」と言います。
古くから滋養強壮、不老長寿の薬として重宝され、体を丈夫にして視力を回復させたり、老化防止に良いとされています。

・漢方において
四気五味 ・・・甘味、平性
帰経・・・肺、腎、肝
常用量・・・6-12g
効能①滋補肝腎:肝腎陰虚による白髪、めまい、腰膝のだるさ、遺精、消渇(多飲、多食、多尿、痩せ)
滋養に富み、疲労回復を助ける薬膳食材。耳鳴りやめまい、足腰に力が入らない、精力減退などの改善に有効です。
②名目潤肺:肝腎陰虚による視力減退、眼精疲労、肺腎陰虚による慢性咳・喘息
眼精疲労、涙目、視力低下など、目のトラブルによい。

カルシウム、ビタミンB1・2、ビタミンC、ニコチン酸(ビタミン3)や、カロテノイド、アミノ酸の一種ベタイン、鉄、さらにポリフェノールなど、非常に豊富な栄養が含まれています。
食べ過ぎや運動不足で余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に蓄積すると脂肪肝になりますが、ベタインにはこれに拮抗する作用があり、枸杞子の水抽出物には血圧降下作用が認められているので、肝硬変や高血圧などの生活習慣病の予防効果も期待できます。
また、肌荒れにも良いとされます。


*過剰摂取しないようにしてください。
*妊娠・授乳中は避けてください。
*蟹との組み合わせに注意しください。胃腸の弱い人がクコのみとカニを食べ合わせるとお腹を壊し下痢をすることがあります。

②大棗(たいそう)、なつめ

中国では日常的に食されるなつめ。
薬膳では大棗という名前で呼ばれ、漢方で頻繁に使われています。
血を補い、脾と胃を丈夫にする働きは広く知られ、中国では「一日三個の棗を食べれば、歳をとっても老いが現れない」という諺があるほど、滋養強壮に有効です。
棗には筋肉を増強し、白血球の生成を促すことで免疫力を高める効果が確認されています。
また、アレルギー反応を抑えたり、イライラや不眠など心身の疲れにも有効です。

不安感を和らげ、胃腸の調子を整えるなつめは、気持ちが落ち込んで眠れない時や食欲不振の時に、元気を与えてくれます。更年期のイライラや不安などにもよいです。

成分として糖、粘液質、リンゴ酸、酒石酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ビタミンCなどを含みます。

・漢方において
四気五味・・・甘味、温性
帰経・・・脾、胃
常用量・・・好みで良い
・効能①補中益気
脾と胃の虚弱を補益します。
顔色が蒼白、疲れ・咳・喘息・胸悶・息切れ・痰が多い、薄い痰、汗が勝手に出る・食欲不振、膨満感があり食後にひどくなる、むくみあるいは痩せ、下痢などに②養血安神
血を養い、心を補います。
精神不安、顔色が蒼白、唇の色が白、心悸・不眠・夢をよくみる・めまい・健忘などに
③緩和薬性
漢方薬の重要な”調整役"の一つとして、異なる成分の薬理作用の衝突を和らげるため、様々な処方箋によく加えられます。
寒性・涼性、苦味、辛味の食薬の性味を緩和させます。

*肥満・糖尿病の人は控えめにしてください。
棗は補血作用に優れ糖分も多いため、肥満や糖尿病、のぼせがある人には不向きです。

③白木耳(しろきくらげ)

「楊貴妃」が、クコの実・なつめ等と共に食していたことが知られています。
体を潤す補陰の効果は黒キクラゲよりも高いです。
不老長寿の薬として優れた滋養強壮作用があります。漢方では「血」を補ったり「腎」「肺」の働きも補うとされ、肌を潤す美肌食材としても有名です。
また、免疫力を高めるミネラルが豊富で、抗がんや老化防止の効果も認められています。
ビタミンD含有量がとても多いのが特徴で、他に鉄、カルシウム、食物繊維などが含まれています。
ビタミンDは抗菌ペプチドを産生し、細菌やウイルスから体を守る作用もあります。

・漢方において
四気五味 ・・・甘味・淡味、平性
帰経・・・肺、胃、腎
常用量・・・好みで良い
効能①陰液を滋養し、肺を潤す。
(滋陰潤肺)鼻・のど・気管支・肺・皮膚など呼吸に関係する部分を潤します。

②空咳・喀血・のどの渇き、皮膚の乾燥・かゆみなどに胃を補い、津液を生じさせる。
腎(泌尿器系・生殖器系・ホルモン系・免疫系・水分代謝など)の働きを助け、水では補えない深い渇きを癒やして、体に必要な潤いを補います。
胃脘部(上腹部)のシクシクとした持続的な痛み、空腹感はあるが食欲はない、上腹部のつかえ、げっぷ・しゃっくり・痩せ・のどが渇く・便秘・舌が紅い・脈が細くて速いなどに

④蓮の実


スイレン科ハスの芯を除いた種子。でんぷん質・ビタミンB1・カルシウム・カリウム・食物繊維などが豊富に含まれています。一般的には滋養強壮に良いとされます。

・漢方において
四気五味・・・甘・渋、平
帰経・・・脾、腎、心
常用量・・・10-15g
・効能
①脾の虚弱を補い、下痢を止める

胃腸の調子を整えるので、下痢、アンチエイジング対策にも良いです。
②腎気を補い、腎精を貯蔵する
もれ出るものを収める作用(益腎固精)があるため、頻尿や尿失禁、不正出血、おりもの、性機能低下による遺精などにも効果的です。
③血を養い心を補う。
気持ちを鎮めるはたらきがあり、疲れやすい、眠れない、心が落ち着かない時によい食材です。
自律神経失調症・うつ病患者にも処方され、精神を安定させる作用があります。

蓮の実の豊富なカリウムはむくみの改善に効果があります。また、植物繊維も豊富で、糖質を緩やかにサポートする働きや、便秘の解消に繋がります。
蓮の実のに含まれるビタミンB1は、皮膚粘膜の状態を正常に保ち、エネルギーへの代謝促進し、糖質の分解を助けて疲労回復という効能が期待できます。
多量のカルシウムは、骨を構成し、筋肉量の少ない女性も代謝をアップさせて筋肉を効果的に作り出します。        
さらに婦人病にも効く生薬で、月経前失調症などのつらい症状におすすめです。

*胸やのどのつまり、熱性の便秘が気になる時は控えましょう

⑤松の実

松ぼっくりの種子の胚乳部分が「松の実」です。栄養価が高く、精力のつく食材として知られます。体を温める作用があることから、「海松子(かいしょうし)」という名前で、漢方薬や薬膳に利用されてきました
体の中を潤す作用があり、免疫力も高め、加齢による気力や抵抗力の衰えにも役立ちます。さらに空咳の改善や便秘解消、肌や髪の毛、爪を美しく保つなど、幅広い効果が特徴です。

たんぱく質が豊富で、オレイン酸、リノール酸となどの不飽和脂肪酸や、鉄、マンガン、亜鉛などのミネラル類、ビタミンB類、食物繊維の含有量も豊富です。
生活習慣病の予防や改善に効果があり、また、ビタミンB群の働きにより、美肌効果や眼精疲労の改善も期待されます。

他にも、五葉松の実(5枚の葉を持つ五葉松)には、ピノレン酸という特殊な脂肪酸が含まれています。
ピノレン酸は、解熱、鎮痛・抗炎症作用、赤血球を柔らかくする働きがあります。また、アトピーやアレルギーを沈める効果が期待できます。

漢方において
四気五味・・・甘味、温性
帰経・・・肝、肺、大腸
常用量・・・好みで良い (目安は1日10gほどまで)
・効能①潤肺止咳
肺の乾燥による咳・皮膚の乾燥に肺を潤し、咳を止める。
陰液を滋養し、めまい・ふらつき・かゆみ・震え・しびれ・痙攣・ひきつけなどを取り除く。
肺熱の咳・喘息、肺陰虚の空咳・喘息・喀血に効く。
②潤腸通便
陰液不足・大腸の乾燥による便秘に、腸を潤し改善する。 

*油脂が多く、消化しにくいので、下痢気味の人や胃腸が弱い人は控えめに。
*油が酸化して痛みやすいので、密閉できる袋に入れて保存する。


蓮の実ご飯

<材料 3合>  
蓮の実 40粒ほど
米 3合
酒 1/2ー3/4カップほど
昆布 適量(10cm角ほど)
塩 小さじ3ほど

1.鍋に水を入れて沸騰させ、乾燥している蓮の実を15分ほど煮て柔らかくした後、水にさらして粗熱をとる(蓮の実の芯に緑色の芽があれば取り除く)。

2.炊飯器に研いだお米、酒、塩を入れ水を目盛まで入れて混ぜ、蓮の実、昆布を入れて炊く。


3.炊飯後、かき混ぜてむらす。

蓮の実は、茹でたり、おかゆにして食べても良いです。定期的に蓮の実を使ったご飯を食べていると、月経が楽になり、女性ホルモンのバランスを整えてくれます。

ナツメのおかゆ

◯胃の調子が悪い時にお米と棗を合わせる  
体質的に胃が弱い人や、夏バテや疲労で胃の働きが衰えている人は、鶏ガラスープで米と棗を炊き込んで、お粥にして食べると良いです。棗も米も脾を補う作用があり、胃腸の調子を整えることで、食欲がわいて元気になります。


<材料2人分> 
・炊いたご飯 2杯分
・なつめ 1,2個
・水 ご飯がかぶる位の水
・鶏がらスープの素 小さじ2
・生姜(千切り) 少々
・塩 少々

1.棗はたねをとっておく。
2.上記の材料を全て鍋に入れて、水はご飯が被るくらいの量を入れる。

3.弱火ー中火でとろっとするまで炊く。

4.器に盛り付けて、ネギを少々かけて出来上がり。


白木耳と蓮の実のデザート

◯白きくらげ・なつめ・くこの実を煮て甘味をつけた薬膳 
気・血・津液をすべて補う薬膳レシピなので、生理のトラブルや子宝のために、美肌のために食べると良いです。

<材 料(4,5人分)> 
白木耳 2株
クコのみ 20g
干し棗 8個
蓮のみ 50g
お水 1L
砂糖 30g 

1. 蓮の実、白きくらげ、棗を水で30分つけて、その後水を変えてもう一度水に浸します。柔らかくなったらもみ洗いして、水気を切り、キクラゲは適度な大きさに切って使用します。
白木耳は硬い部分が多いので、ミキサーにかけて細かくしてもOK。
蓮の実は中の芽を取り除きます。硬かったらお湯につけて柔らかくしてから取り除いてください。

2. おなべに1と水を入れて、沸騰したらクコのみ、砂糖を入れて弱火で20分煮ます。

3. 器に持って完成。お好みで蜂蜜をかけてもOK。



参鶏湯

鶏肉とにんにく、なつめ、松の実などを煮込んだスープ

<材料> (4人分)
鶏骨つきもも肉小 8本(500g)
もち米 大さじ5
なつめ 7個
松の実 大さじ2
にんにく薄切り 1かけ
生姜薄切り 1かけ
鶏がらスープ 大さじ1
酒 1/2カップ
ねぎ 20cm
塩、粗挽き黒こしょう 適量

1.もち米は洗って10分ほど水に浸してざるに上げる。なつめは水でさっと洗い切り込みを入れる。松の実は先端の黒い部分を取り除く。ねぎは小口切りにする。
鶏肉は中央の関節の部分に包丁を入れて骨にそって切り込みを入れる。

2.鍋に鶏肉、なつめ、松の実、もち米、にんにく、生姜、鶏がらスープ、酒を入れて、水1リットルを注ぎ、ふたをして強火にかける。

4. 5~10分して煮立ったらアクを取って弱めの中火にし、ふたをして30~40分煮たらでき上がり。

5.器に取り分け、ねぎ、塩、粗びき黒こしょう各適宜をかける。

あれば、栗や朝鮮人参を入れると本格的です!

鶏肉と白木耳と松の実のスープ

◯美肌作りに鶏肉と松の実を合わせるのがポイント
肌を潤す白木耳と松の実、(レシピは普通の鶏モモ肉を使ってますが)コラーゲンたっぷりの鳥手羽肉を一緒に煮てスープにします。肺を潤す食材で、漢方では皮膚は肺と関係があり、肺を潤すことで肌を美しくします。相乗効果で乾いた肌を潤し、老化防止にも有効です。

<材料4人前>
鶏肉300g
松の実25g
白木耳2株
生姜1片 細かくしておく
酒大さじ1
水700ml
塩、スープの素少々

1. 白木耳を水で戻し、柔らかい部分を一口大に切りわけ、株の硬い部分はミキサーで粉々にしておく。

2.鶏肉を一口大に切り、鍋に火にかけて油で炒めて焼き目をつける。
3.酒大さじ1を加えて、水を入れて沸騰させる。
4.沸騰したら生姜とキクラゲ、松の実を入れる。
5.中火で30-40分あたためる。
6.最後味付けをして完成。


蓮の実のポテトサラダ 

<材料4人分>
ジャガイモ 3個
人参 1/2個
蓮の実 10gほど
牛乳 50cc
塩 少々
黒胡椒 少々


1、蓮の実を煮て柔らかくし、中の芽を取り出す。

2、じゃがいもを茹でて柔らかくする。人参も茹でて柔らかくする。これら二つを合わせて適度に潰し混ぜる。

3、2に牛乳と塩を入れて混ぜ合わせる。
好みで黒胡椒もかけて完成。


白木耳と豚肉の蒸し物

<材料 小分け4人分>
白木耳 2株くらい
豚肉 100g
生姜 千切り適量
片栗粉 小さじ2
醤油 大さじ2
ごま油 小さじ2
こしょう 少々

1、水で戻した白木耳の硬い部分を取り除き、食べやすい大きさに切る。豚肉は一口サイズに切る。材料、調味料全てボールに混ぜて10分なじませる。

2、耐熱容器に移し、800w 5分程度あっためる。

加熱後

3、お皿に盛り付け、刻み生姜をのせて完成。


小松菜の松の実和え

<材料4人分>
小松菜 4-5束
松の実 大さじ2-3ほど
焼き海苔 適量
鰹節 適量
*酒 大さじ1
*酢 大さじ1
*醤油 大さじ1
*ほんだし顆粒 適量

1、小松菜を熱湯で茹でて、冷水で熱を取り、水分を絞って、5-6等分くらい(適度な大きさ)に切る。

2、松の実をフライパンで煎る。焼き色が付いてきたら取り出す。

3、ボールで鰹節以外全て混ぜ合わせる。

4、器に盛り付け、鰹節をかける。


まとめ

薬膳レシピをいくつか紹介しましたが、どれも簡単に作れるのでお手軽にできると思います。スーパーにないものは、ネットで取り寄せてみるのも楽しいですし、実際、身近にたくさんの薬膳があるので調べてみると面白いですよ。

薬膳を使った料理は、人によって好みが分かれるかもしれません。
一番は美味しく楽しくいただくことなので、いろんなレシピにトライしてお気に入りの食材や料理を見つけていってください。

◎参考文献



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