橋羽一恵

このたび登録名を本名に変更いたしました。ですが、本性は変わらずがあがあしゃべるあひるの…

橋羽一恵

このたび登録名を本名に変更いたしました。ですが、本性は変わらずがあがあしゃべるあひるのがあこです。 赤穂緞通とそこから展開した赤穂ギャベの織り手です。 本名に変更した理由は、本気で書いてみようと思ったからです。

マガジン

  • 赤穂緞通工房ひぐらし

    • 82本

    赤穂緞通の工房とギャラリーです。 見学と購入ご希望の方はHPからご連絡ください。 http://akodantsu.com/

  • ひぐらし日記

    赤穂緞通など仕事に関係する記事をまとめました

  • あひる日記

  • 赤穂ギャベ

    • 6本

    今の暮らしに合うように、綿糸でつくる手織りの椅子敷きを制作しています。https://www.akogabbeh.com/

最近の記事

出雲の藍染を追っかける

上の写真は出雲市の長田染工場の作業中写真。天井で染めを乾かしているところを裏から撮ったもの、白い糊にうっすらと藍が滲んでいます。最後の工程で糊をしっかり洗い流し、あのパキッとした筒染になります。 この糊がとても気になったのです。赤穂段通でも縦糸横糸に糊を揉み込みます。米粉4対餅粉6の割合。こちらの糊は餅粉100%でとても硬く練るのだとか。ちょうど今から作られるというので、しっかり見学させていただきました。 すっかり時を忘れて長時間お邪魔してしまって、繊細な筒染のラインを堪能

    • 南国の舟は金と銀の帆をもつ

      写真でしか見たことがない「南国」が公開されると聞き、会期ギリギリに橋本関雪記念館に駆け込みました。仄暗い館内に輝きを放つ金と銀の帆。写真撮影自由と教えてもらったので、もう撮りまくりました。 この説明文は嬉しかったです。 橋本関雪氏の胸の昂りを想像してしまった。 悪猫がいる。この異国では猫も自由に暮らしている。 漢民族っぽい顔立ちのおんなと黒い肌色のおとこが共に作業をしている。 船内には子どもの姿も見える。 安南風の色合いの壺の下部には中国風男性の姿も描かれている。

      • 色あせた御寮の欠片を額に入れる

        この話は春の倉敷はしまやの展示会場から始まる。訪れた方が飾ってあった小さな古緞通額を気に入られたのだけど、それははしまやさんにプレゼントされた非売品だったので、大きめの古緞通額を注文してくださったのだ。藍の色褪せた色合いがお好きだということで、自分用に取っていた古い御寮の欠片を額仕立てにすることにした。 作業をしていて、上部のハセ(結び)が見える処はそのままハセた糸と横糸経糸が見えるように切ることにした。この織り手の技がとても美しくて感動したから。 私たちは100年ぐらい前

        • 日本の鳥の配色で織る

          (トップの画像は広島県緑化センターHPよりお借りしたホトトギス) 今、丸い椅子敷きを日本の鳥の配色で作る試みをしている。 織り手の中に鳥大好き人間がいて、「色だけで、あぁあの鳥か」とわかるような作品を作ってみたいと発案があったのだ。 そこから、使いやすい無地に少しだけ鳥の色を入れる→3色の配色にして無地の中にラインを入れよう→誰でもわかる鳥がいいとなった。 ラインナップはツバメ、スズメ、ウソドリ、タンチョウ、ホトトギス、ルリビタキ、キジ、アオバト、メジロ、ヤマガラetc 驚

        出雲の藍染を追っかける

        マガジン

        • 赤穂緞通工房ひぐらし
          82本
        • ひぐらし日記
          42本
        • あひる日記
          52本
        • 赤穂ギャベ
          6本

        記事

          赤穂緞通「桐唐草」が織られた時代

          私が赤穂緞通の織り手になるきっかけとなった「桐唐草」 大阪から赤穂に移住した父が要介護になって、足しげく実家に通っていたある日。訪れた赤穂緞通工房で先輩が織ってられた「桐唐草」にとても心惹かれたのです。残念ながらその時の糸は藍染めではなくて、現代では本藍染めの糸が入手できないと知って、私が本藍染めの桐唐草を作る!と衝動的に思ったのでした。それから20年近くの年月が流れました。講習生を経て独立したのが14年前、それから探し続けて天野紺屋さんに辿り着いたのが4年前、今ではほとんど

          赤穂緞通「桐唐草」が織られた時代

          大阪弁と大阪気質

          大阪で生まれ育って、京都で数年、神戸にけっこう長く住み、関西の西の果てで十数年、と関西限定で生きてきている。話すことばは大阪弁のみである。昔、韓国語を学習していた時に釜山でタクシーの運転手に、大阪の人やろと言われてビックリしたことがある。その運転手さんが言うには釜山のなまりと大阪のなまりはよく似ているので、すぐわかるそうだ。 習っていた韓国語はもちろん標準韓国語であり、教わっていた先生はバリバリのソウルっこであった。これはイントネーションの問題だろう。私は無自覚に日本語を大阪

          大阪弁と大阪気質

          みんな「本」という物体をどう処理してるのかな?

          今日もどんよりと寒い日。モチベーションが上がらなくて早々と大掃除を断念宣言します。 実は今年は織り仕事が12月10日に一段落したので、懸案だった本棚の整理をしたかったのです。自宅である古民家は床の強度が心配なので、本棚を納屋や納戸を含めて6か所に分散設置しています。これでも昔と比べると絶対量は少ないです。実家に帰ってきた時に溢れる本を全部収納することは不可能だと思ってずいぶん処分して、これからはデジタル本か文庫本しか買わない、図書館にあるのはそこで読む、と決めたのです。が、

          みんな「本」という物体をどう処理してるのかな?

          インドの神が舞い降りる~秋篠寺幻想

          東洋のミューズといわれた秋篠寺の伎芸天は大好きな仏像の一つだが、この方は私には男性に見える。なので伎芸天という名も腑に落ちず、謎を感じる仏像の一つである。 インドのアジャンター石窟第1窟のヤクシャ像「蓮華手菩薩」「金剛手菩薩」と法隆寺金堂壁画6号壁「観音菩薩」「勢至菩薩」が似ているという話は有名だが、伎芸天だってすごく似ていると思う。 お盆休みを利用して、この三屈法という優雅な姿態を持つ像の探索の旅をしてみた(図書館とネットで笑) インドのグプタ朝時代はインド古典文化の黄金

          インドの神が舞い降りる~秋篠寺幻想

          語る人がいなくなった戦争の話

          お盆で終戦記念日のこの時期は太平洋戦争から生還した亡き父のことを書く気になるのだが、6年前に書いた文がfacebookで思い出として挙がってきた。 ---------------------------------------- 70年前の今日を父は知覧の特攻基地で迎えた。 三男坊でいらん子だった父は、陸軍に徴兵される前にと17歳目前で海軍に志願した。少なくとも海軍では死ぬ時は将校も二等兵も一緒だからという理由で。上のお兄さん二人は結局徴兵されてあっという間に戦死してしまった

          語る人がいなくなった戦争の話

          四条烏丸へ謎の絨毯を見にいく

          今年も祇園祭山鉾巡行は中止になりました。去年取り換え損ねたチマキはボロボロになってしまったので、オンラインでお取り寄せいたしました。 しかし文化継承の為に一部の鉾立は行われるということで、人混み恐怖症の私にとって、まじかで山鉾を拝見できる千載一遇の機会ではないか!と京都まで行ってきました。しかも人気が無い明け方に鑑賞しようと鉾町ど真ん中に宿泊。 残念ながら雨もよいの天候のためビニールで覆われた長刀鉾ですが、かぶりつきで謎の絨毯をしげしげと観察。かつてNHKがこの絨毯を特集し

          四条烏丸へ謎の絨毯を見にいく

          ピピロッティ・リスト展にいってきた。

          美術館に行ってベッドでうたた寝をするという稀な体験をしてしまった。 《4階から穏やかさへ向かって》 とても寝心地のよいベッドに寝転がって、とても聴き心地のよい音楽の中で水の中の映像を見る至福の時。その前に、きれいな空色のドレスに赤い靴の美人が、いとも楽しそうに笑いながら、次々と車の窓をたたき割っていく《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》でかなりの衝撃を受けていたので、ついウトウト寝てしまった幸せな時間。こんな展示会があるなんて最高!と思っていた。その時は。 最後の展示「リ

          ピピロッティ・リスト展にいってきた。

          変わらない日々を過ごしている

          芒種を過ぎて、季節観測の柿の木はすっかり柿の木らしくなった。 このわきに久しぶりに顔を見かけたご近所さんが、シルバカーに腰を下ろして休憩していた。車を停めて窓越しに大声で話していて、ちょっと可笑しくなった。ご近所さんは耳が遠いので大声で話してたのだが、どっちにしても話は通じないのだ。母が生前ご近所さん2人と話しているのを聞いて笑ってしまったのだが、お互い順番に全く関係ない話をしている。でも楽しく過ごせて満足して別れるのだからそれでいいのだ。私も前後が続かない話をたっぷりして、

          変わらない日々を過ごしている

          芸術は断じて不要不急の案件ではない

          という文化庁長官の声明に様々な意見が飛び交っていますが、とりあえず緊急事態宣言が出ていて人出が少ないうちに鑑賞しておきたいという私的理由で、神戸市博物館の東山魁夷障壁画展と白鶴美術館の展示会に行ってきました。 コロナ発生以来ほんとに久しぶりに神戸市中心地へ。お酒を出す店は休業していることは報道で知っていたのだけど、実際に見てみるとかなりのショックでした。それにもかかわらず歩いている人たちの多いこと。当たり前ですが、博物館界隈はお仕事の中心地でもあり、私も現在でもここにメインバ

          芸術は断じて不要不急の案件ではない

          緑の手の反対は赤の手なのか?

          写真はお隣さんの畑。ご近所の野菜はどこもいわゆる有機農法だが、いつ見ても雑草一つなく清々しい。自分ちに帰ってくると玄関前すら草ぼうぼうでがっかりする。さすがに除草剤を使うのはためらわれるので(猫が時々散歩している)塩水とか撒いたりしてみるが到底かなわない。 とりあえず外に出た時にあまり目につく箇所は手でむしって、後は雑草もそれなりに美しいと言い聞かせるのが一番私に合ってるみたい。 まぁ、雑草はそれほど気にならないのだが、父が残した植木が少しずつなくなっていくのはかなり堪える。

          緑の手の反対は赤の手なのか?

          タンチョウが空を飛ぶ!

          うらうらと暖かい初春の午後、家から近い岡山自然保護センターにタンチョウを見に行ってきました。馬酔木や椿咲く散歩道をアプローチしていると、木のあいだから突然タンチョウが空に飛びだした!ウキーと叫んで走り出したのだけど、池に辿り着いたらあまりの長閑さに走ってきた自分が恥ずかしくなりました。つがいのタンチョウや水鳥たちが優雅に静かに過ごしていらっしゃったのです。 何の予備知識もなしに来て、放し飼いされてるなんて知らなかったので、空を飛ぶタンチョウの姿は衝撃的ではありましたが。 つ

          タンチョウが空を飛ぶ!

          会いたい人には会っておかねば。。

          車にまたもやコロナ対策一式を積んで京都に行ってきました。 細見美術館の一昨年秋に急逝された吉岡幸雄の追悼展へ。 実はその年の夏に吉岡さんの座談会に出席するのを楽しみにしていたのだけれど、急な仕事が入って諦めたのです。また秋にでも、と思っていた矢先の訃報でした。 以前からその手で作られる色に憧れ、作品展を追っかけし本を読ませていただいていて、いつか直接お会いしてお話をお聞きしたいと思うようになっていましたが、のんびりしすぎでした。。 でも、ご本人はいなくなっても美しい色は残りま

          会いたい人には会っておかねば。。