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文藝(第60回文藝賞受賞作品掲載)、別冊文藝春秋などを読む

今年も昨年に引き続き、公募に挑戦!などという目標を掲げているわりには、今年に入ってからまっっったく筆が進みません。

たぶん、今までの私だったら底力を無理やりひねくりだして何かしら書くんでしょうけども、今年の目標は今までだったら選ばない選択肢をあえて選ぶことなので、アイディアが降りてくるまで何もしないようにしています。

その間、色んな小説に目を通してみようと思い、純文学の雑誌などを読んだりしました。

以前本屋で立ち読みした、「文藝」を電子書籍で購入して読みました。第60回文藝賞受賞作品と、短編部門受賞作品が全文掲載されているものです。



この中で私は、優秀作に選ばれた佐佐木睦さんの「解答者は走って下さい」に強く惹かれましたね。
多分、トチ狂ってる(本当失礼…すみません)という感想を抱く方が多いように思うのですが、こんな唯一無二の独特の世界観をここまで振り切って書けるのも凄いですし、段落や改行もほとんどなく躍動的に進むストーリーを、一気に読ませる筆力も凄いと思うんですよね。先の読めない展開が続き、常に予想を裏切られます。いい意味で。

なんていうんでしょうね、狂気と芸術って常に紙一重だと私は思うんです。こういう作風や文章は、真似したくてもなかなか真似できない、その方から漲る「何か」を可視化したものですよね。純文学は、なんでもありなところが本当に素敵だなと思います。


あと、短編部門受賞作品である、西野冬器さんの「子宮の夢」も興味深かったです。女性ならではの叙情的な作品であることは確かなのですが、鋭さを伴った豊かな表現力により、「ただの空想物語」という枠に収まらないユニークさを感じさせます。作者の力量ですね。若い方なのに、凄いなあ。


あとは、KindleUnlimitedで読み放題になっていた文藝春秋を読みました。
note創作大賞を受賞された、秋谷りんこ様の「ナースの如月に視えるもの」を拝読しました。


 


患者さんの「思い残し」が視える、療養型病棟看護師の活躍が描かれているんですね。
第一話、第二話が掲載されていたのですが、どちらもとても素敵な物語でした。
意識を失う直前に思ったことが、思念となり残ってしまうこと、あるんじゃないかな…、と私も思います。人間、生と死だけで分けられない、その中間というか、はざまのようなものが存在するように私は思います。

私もむかし療養型病棟に少しだけ勤めていた経験があるので、小説内の様々なエピソードに、「あ〜…わかるわかるわかる…」とひたすらうなづいたり、登場人物の葛藤に共感したりしながら興味深く読みました。私は同業者の活躍を描いたドラマや漫画などがどうにも苦手なのですが、この作品は安心して読めました。


読んでいただきありがとうございます!皆様素敵な週末を!




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